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「試着用店舗」の可能性 #お店の未来

お店の未来を考えるとき、よくいろんなところで話しているのが『試着に特化した店舗』の可能性だ。いつ来るかわからないお客様を待ち、その人が気にいるかわからない商品を揃えておくよりも、事前にお客様が商品を選び、日時を予約した上で来店し、その場で買う/買わないを選択できる方がお互いにとってメリットなのではないか?と考えたのがきっかけだ。

そして実際にNordstromが試着に特化した店舗を展開しはじめ、これがなかなかうまくいっているらしい。

日本の場合は商品の受け取りと返品はコンビニという最強の流通チャネルが請け負ってくれているけれど、複数のブランドを横断して一気に試着できるところはまだない。

これから百貨店やショッピングセンターといった小売業が存在意義を示そうと思ったら、ブランド横断でこうした商品体験の場を作ることが急務なのではないかと私は思っている。

というのも、顧客はもはや『何かを探しに』店舗を訪れるのではなく、欲しいものを『確かめに』行っている側面が強いからだ。つまり、人はどんどん欲しい商品を名指しで買いに行くようになっている。

以前であれば、雑誌に載っているブランドいくつかに目星をつけ、実際にお店に行ってから欲しいものを見つける買い物の仕方が一般的だった。しかし、インスタをはじめとするSNSに情報が溢れる今、顧客はすでにそのブランドで買うべき『正解』を知っている。

ニットならこのブランド、ジーンズならあのブランド、シャツならこのブランドのこの型…。『○○系』という括りが曖昧になってきた背景には、商品という単体ごとの評価の流通量が増えたことで、ブランドという一本の線で評価される機会が減ったからなのかもしれない。

だからこそ買い物の際にはあのブランドからこのブランドへと、商品の目星をつけて渡り歩くことになるのだけど、基本的に試着はそれぞれの場所でしなければならない。例えば白シャツでいくつか目星をつけていたとして、AのブランドとBのブランドで比較したかったらそれぞれのお店に行って試着するしかない。しかもAからBに行ってみたらBでは在庫がなかった、なんてこともよくあり、もし店舗同士の距離が離れていたとしたら『比較もできないし、今日はもういいや』と買い物自体を断念してしまうこともある。

つまり
①ブランド横断して商品を比較しづらいこと
②店頭在庫の有無が事前にわからないこと
の2つが、オンラインとオフラインを跨いだ購買行動に制限をかけているのではないかと思うのだ。

これをもしNordstromのように
①複数ブランドの商品をピックアップして一度に試着ができる
②試着商品は事前に予約でき、来店時にあわせて用意されている
という状態を作ることができたら、購買体験は大幅に改善される。さらに決済はオンラインでできるようにすれば、会計で長蛇の列を作ったり、新しい商品を持ってきてもらうために待たされることもない。

とはいえこの施策は言うは易く行うは難しで、在庫データの管理はブランドによって異なるため、これを統合しようとすると大きな投資が必要になる。Nordstromが実現できたのはおそらく彼らが買い取って仕入れている在庫だからで、ブランドと在庫データのやり取りをしているわけではないのではないかと思う(このデータ管理の話はいつかぜひインタビューしてみたいところ。正直に話してくれる気はしないけれども笑)。

結局購買体験のUX全体を改革しようと思ったら必ず在庫問題が目の前に立ちふさがり、在庫管理システムの効率化とブランド(メーカー)ー小売業間のデータのやりとりのしやすさが問題になる。この在庫管理問題が小売の進化を阻んでいる要因だとは思うのだけど、Nordstromのように自社で在庫を抱える以外の解決策はないものなのだろうか。個人的には、ルミネは圧倒的な地の利があるので試着用店舗の仕組みが整えられたらとても強いと思うのだけど。

というようなことを、買い物しながら考えていた。

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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