スクリーンショット_2017-10-31_21.04.26

バツはなぜ避けるべきなのか

巷にあふれる恋愛相談への回答で「こういう人と結婚してもすぐに離婚するからダメ!」というアドバイスを目にするたびに思うのが、「そもそもなんでバツがつかないように」という前提なんだっけ?ということ。

もちろんはじめから離婚しようと思って結婚する人はいないだろうけど、「結婚生活を続けること」がメインの目的になってしまうのもなんだか違うような気がするのだ。

だって、結婚しても1/3が離婚する時代、「結婚生活50年」なんてファンタジーだと思うから。

***

会社選びは、よく結婚に例えられる。
私の社会人生活を結婚に例えれば、すでにバツ3だ。

そして最終的にフリーランスになって、複数の会社と仕事をして、いろんなプロジェクトに横断的に関わっている。

これが職歴ではなく結婚歴だったら、どんなセレブの遊び人だという感じである。

でも、たしかに私も会社選びと結婚はよく似ていると思う。

新卒で入社した会社は、就活の時にそこしか受けないと決めて入った念願の場所で、離れた今もいい会社だと思っているし、いつか私が役に立つ機会があれば存分に貢献したいと思う。

でも、どんなに好きでも一緒にいられないこともあるのだ。
そして、離れてからの方がより大切な存在になることもある。

田辺聖子の「女が愛に生きるとき」というエッセイの中で、バツイチの友人が元亭主と時々会う、という話をする場面がある。そこにはもう男女の色ごとがあるわけではないけれど、やはり「元亭主」というのは特別な存在なのだと思う。

別れた元亭主いうんは、怒らしたって自分に害のあるわけやなし、気楽でええもんやで〜

私は、離婚はおろか結婚もしたことはないけれど、この感覚はよくわかる。

近い距離にいた時は腹立たしくても、適切な距離さえとれればむしろ前よりも良好な関係を築けるものだからだ。

私はこうした離れてお互いによかった、という経験を重ねてきたので、人と人とが離れるイベントに対して特にネガティブなイメージはない。

むしろ、お互いに次のステップに進むタイミングだったんだなあ、この人たちはこれからどう変わるんだろう?と楽しみですらある。

そして、職場にしろ結婚にしろ、前提として頭にいれておくべきなのは「変数が2つある」ということである。

自分自身の価値観も変わっていくし、相手も変わっていく。

どんなに「このままでいたい」と望んでも、関係性が変わり続けることは避けられない宿命なのだ。

だから、私は「できるだけ結婚生活を続けられそうな人」を選ぶのはあまり意味がないと思っている。

企業の終身雇用制が崩れたように、人生100年時代、お互いにずっと同じ価値観で暮らし続けるなんて奇跡に近いことで、簡単にできないことだからこそ美談になる。

もちろん続ける努力は必要だし、せっかく一緒にいるなら少しでも楽しく過ごす時間を長くしたいと思うけれど、私たちは結局「今」を見ることでしか相手を選べない。

「この人は長く一緒にいられる人か」よりも「今の自分がこの人と一緒にいたいと思うか」で選んだ方が、最終的に後悔が少ないのではないかと思う。

ただ、結婚が恋人関係と違って関係性を公にするということなので、別れたとしてもお互いに相手の名前がずっとついてまわるということは肝に銘じておかなければいけないけれど。

そうか、もう君はいないのか」の城山夫妻のような関係性にも憧れるけれど、現実は現実として、そうなれない可能性の方が高いことを念頭において、現代を賢く生き抜いていかなければならない。

そのためにはやっぱり、「今」の幸せを大切に生きていくことが大切なんじゃないかと思う。

いつか離れる日がくるかもしれないけれど、それまでは全力で幸せにする。

そのくらいの覚悟でいいんじゃないかな、とふわふわ考え続けた1日だった。

***
(Photo by Kazuna.H

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!