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「伸びているサービス」に必ずあるもの

Webサービスやアプリなど新しいものを試していて、あるときふと伸びているサービスに共通していることに気づきました。

それはユーザーが作った「独自ルール」が発達していること。

これが一番わかりやすいのはメルカリです。

「即購入不可」「○○専用ページ」など、初心者には理解できない、しかしメルカリ内では当たり前のように使われている、非公式の独自のルールがたくさんあります。

こうしたルールは公式の利用規約やシステムに組み込まれていないため、トラブルにつながることもあり、賛否両論のあるルールではありますが、いいサービスほどこうした開発側の意図していなかったルールや使い方が発生しているように思います。

独自ルールが発達するということは、ユーザー数が増加している証拠であると同時に、サービス自体の機能がシンプルに保たれているため、ユーザー自身が試行錯誤しているということです。

ユーザー数が増えれば、必然的にニーズが多様化していきます。

その時に機能を追加することでユーザーのニーズを満たし、何びとたりとも取りこぼしたくない!と考えてしまうと、あっというまにプロダクトが複雑化し、誰にとっても使いづらいものになってしまいます。

洗練されたプロダクトは、ユーザーを思い通りに動かそうとしたりせず、例外を認める寛容さを持ち合わせているものです。

機能が複雑になるということは、それだけ「こう使って欲しい」という作り手側の押し付けが増えていることに他なりません。

また、ユーザー自身が試行錯誤しているということは、それだけの労力を払ってでも使いたいと思わせている、つまり本質的課題を解決するプロダクトである証拠です。

こうした点からも、「独自ルールの有無」はそのサービスの開発思想をうかがい知ることができる、ひとつの指標なのではないかと思うのです。

さらに、冒頭でご紹介したメルカリの独自ルール以外で個人的に面白いなと思ったのが、NewsPicksの「削除されました」スレ文化です。

普段は政治経済などのかたいコメントを入れているピッカーたちが、【削除されました】というタイトルのPickにだけはほのぼのするような日記風のコメントをいれており、はじめて見たときは頭の中が「???」の嵐でした。

この文化はどうやら、元記事が消された後のPickに雑談コメントを入れ始めたことがきっかけのようで、運営サイドが削除するようなことはそうそう起きないため、「養殖もの」と言われる【削除されました】というタイトルの記事を書いてセルフピックし、ユーザー同士の交流につなげているようです。

これはもちろん公式が意図して用意したものではなく、ユーザーが勝手にはじめた独自ルールです。

NewsPicksはサービス内でユーザー同士が交流する機能がないため、苦肉の策としてユーザー同士が雑談の場を自ら作り出したのだと思われます。

運営側としては、必ずしもこうした独自ルールを歓迎しているわけではないかもしれませんが、やろうと思えばすぐに潰せるユーザー同士の「遊び」を黙認してそのままにしておくという判断は意外とできないものです。

もちろん独自ルールが増えると新規ユーザーが使いづらくなったり、賛否両論を巻起こすこともありますが、プラットフォームである以上は細かく統制しすぎず一定の幅をもって遊ばせる胆力が必要なのではないかと思います。

最近はvaluやpolcaも公開と同時に多くのユーザーが利用し、ユーザー自身が新しい使い方を編み出したり、TIPSを公開する人たちが増えています。

成長中のサービスというのは何かしら既存の仕組みを破壊する存在なので、運営側が思ってもみなかった利用方法や、ときに法律が関わるようなトラブルにつながることもありますが、ユーザーが自由に遊ぶ余白のあるサービスはほぼ確実に伸びていきます。

自分の作っているものにそうした「遊び」はあるか。

シンプルなサービスであり続けるために、常に立ち返るべき問いではないかと思います。

補足:この特徴はプラットフォーム型のサービスに特に当てはまるもので、B向けサービスやツール型サービスなど完全に当てはまらない分野もあるので、そちらは別途考察したいなと思っています。

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(Photo by tomoko morishige)

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