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コミュニケーションのゴールは相手の「納得」を作ること

日頃からnoteを書いたりTwitterでつぶやいたりしているからか、伝え方について聞かれることが多くなった。

そうやってコミュニケーションの悩みを聞くうちにふと気づいたのは、コミュニケーションのゴールは『伝える』のもっと先にあるのではないか、ということ。

例えば、顧客に商品を買ってほしいとか、部下にこう動いてほしいとか、自分が相手に求める態度変容を『伝える』ことで解決しようとしてしまうのだけど、本当に求めているのはそれを『知ってもらう』ことではなく、『変わってもらう』ことのはず。

知るということと行動が変わるということの間にはとても大きな隔たりがあって、人は知っただけでは動かない。

人は、『自分が納得したこと』以外は行動にうつせないのだ。

正論では人を動かせないのもまさにそれが理由で、言っていることはわかるけど納得できない、という状況で人は絶対に動かない。

むしろ正論を押し付けられることによってそれを仮想敵とみなし、自分の正義への確信を深めてしまったりする。

だから、本当の意味で『伝える』ためには、『伝えない』方がいいことも往々にしてあるのだ。

一方で、知ってもらわなければ納得にはつながらないという矛盾もあって、その2つを解決するために、何を伝えるかをデザインしなければならないのだと思う。

企業を例に考えれば、最終的には自社の製品を買ってもらったり、サービスを使ってもらうことがコミュニケーションの最終目的だろう。(あくまで自社事業の有益性に全員が確信を持っている前提の話)

でも、その気持ちを前面に出して『買って、買って!』と言われても、受け手は自分で納得できず、情報を押し付けられていると感じる。

そうではなくて、受け手自身がこの商品やサービスについて語りたくなる切り口は何か、そのためには何を伝え、どんな体験をしてもらうべきなのか。

相手が『納得』するまでの道筋を、コミュニケーションチャネルだけでなく体験全体から逆算して考えることが、本当の意味で伝えることを考えるということなのではないかと思う。

そしてそのためには、自分たち自身が、自らの発するメッセージに納得していなければならない。

自分が信じていないことを、人に信じさせることなどできないからだ。

ごまかして発した綺麗事はかならずひとつひとつの行動に表れるし、本当に熱意をもって言っていることはかならず相手の心を動かす。

言行一致を成し遂げるためには、行動よりもまず言葉自体に嘘がないかに立ち還らなければならないのだと思う。

最近海外サービスのInstagramを研究するのがマイブームなのだけど、彼らはもはやSNSを『情報の流通チャネル』としては見ていない気がしている。

例えばストリーズひとつとっても、1万フォロワーを超えたアカウントであればリンクが貼れるので自社サイトに飛ばす導線として価値が上がるのだけど、海外サービスのストーリーズはほとんどが上記のRent the RunwayのようにInstagram内で完結できるように作られている。

これは一見すると損しているように見えるのだけど、彼らは単に目の前のサイト流入を増やすのではなく、自分たちの思想をあらゆる手段で伝え、そこに参加してもらうことでその思想に『納得』してくれる人を増やそうとしているのではないかと思う。

例に出したRent the Runwayも、CEOのインタビューを読むと常に『うまくいきそうとか、儲かりそうという動機でこの事業をはじめたのではない。私たちは女の子のクローゼットをリデザインして、エンパワーメントしたいだけ』という一貫した思想を貫いていて、それがInstagramの施策にも表れている。

だから、『ファッション以外で今週末にやるべきことのアイデア』のような一見自社の利益に関係がなさそうな企画もやるし、サイトへの導線が悪いIGTVで変身企画の番組を流したりする。

それができるのは、彼らがファッションレンタルにおいては世界一のプロダクトを作っている自信があって、ファッションがもたらす喜びや素敵な服を身にまとう楽しさに納得する人が増えれば、自分たちを選んでもらえる可能性が高いという自信があればこそだと思う。

つまり、自分たちの思想への確信と、プロダクトへの自信という2つの『納得』を自分たちが持ってさえいれば、その伝え方は自ずと導き出されるということだ。

もちろん細かいTIPSは無数にあるし、伝えるコンテンツのクオリティも大切なのだけど、それらは最後の盛り付けやサーブの仕方のようなもので、素材のよさと確かな調理技術が根幹になければ、受け手にそのよさを納得してもらうことは難しい。

そしてその『素材のよさと確かな調理技術』こそが、自分たち自身の納得の深さなのではないかと思う。

これは企業の発信に限ったことではなくて、個人間のやりとりでも同じことで、正しさをそのままぶつけることは相手の『納得』を生まないことが多い。

あなたは間違っている、と正面から指摘されたとしても、その人にはその人なりの価値観の中での正義があり、それを否定したところで態度は頑なになっていくだけだろうと思う。

どちらにせよ相手の価値観がすぐ変わることはありえないのだけど、唯一できるとしたら、『自分はそうではないがあなたの意見も理解できる』とお互いがお互いの意見に『納得』することなんじゃないだろうか。

そうすることで、いつか立場が変わったとき、『あれはこういう意味だったのか』と本当の意味で理解することができる。

私が何かを正面から批判したり、白か黒かで意見することをあまりしないようにしているのは、結局何かを本当の意味で変えようと思ったら相手の納得を引き出すことが必要で、そのためにはお互い感情的にならないことが必要だから。

一度生じた感情は理論ではどうしようもなくて、怒りや恐怖は納得や尊重という建設的なコミュニケーションに必要な要素を奪い去ってしまう。

そして正面からぶつかり合うのではなく、ちょっと視点を変えることで相手に気づかせたり、笑いに変えてツッコミどころをつくったりする『変化球』を交えていくほうが、結果的にお互いの納得を作りやすいんじゃないかと思う。

そのとき必要なのは、自分の考えや姿勢を大事に思うのと同じくらい、相手の正義を尊重しリスペクトすることなんじゃないかと思う。

相手が自分を大事にしてくれているという安心感が前提にあるコミュニケーションが、受け手の『納得』を作る。

『納得』が増えれば、たくさんの人を巻き込んでものごとを動かせる。

それこそがコミュニケーションの要諦なのではないかと、私は思っている。

★noteの記事にする前のネタを、Twitterでつぶやいたりしています。

今日のおまけは、SNS戦略の要諦について最近ディスカッションして考えたことをば。

無料部分に書いた『納得を作り、人を動かす』ためのSNS戦略について今の私の考えをメモしておきます。

以前こんなツイートをしたのですが、

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コミュニケーションのゴールは相手の「納得」を作ること

最所あさみ

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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