購買行動において「言い訳」が重要になる理由

ミレニアル世代以下は、昔と比べて購買行動が大きく変わっているとよく言われます。

そもそも物欲がなく、シェアやレンタルへの抵抗もない。
値段の張るブランドもので着飾るより、長く着られるこだわりのものを好む。
ファッションやインテリアを買うより、旅行や勉強などの体験にお金を払う。

こうした傾向は、あらゆるメディアで語られています。

私自身ミレニアル世代ど真ん中の人間であり、日々購買行動を研究していて思うのは、ミレニアルズ以下は商品のよさという「理由」よりも、まず商品に接するための「言い訳」が必要なのではないかということです。

企業が商品を売ろうとするとき、多くの場合は商品を主語にして直接的にその商品のよさを語り、「買うべき理由」を並べてしまいがちです。

圧倒的な魅力があり、他と差別化できていたり、圧倒的なロイヤリティがある場合はそれでも手に取ってもらうことはできますが、ほとんどは顧客から見て識別できるほどの違いはありません。

さらに言えば、ブランドを識別できたところで、それを選ぶ優位性が顧客の中になければ、より価格が安くコストパフォーマンスがよい方に流れるのは、自分が消費者の立場になったことを考えると当たり前のことでもあります。

例えば、魚沼産コシヒカリはお米の高級ブランドとして広く認知されていますが、普段の食事にそうこだわるわけではない人にとっては、あきたこまちだろうとヒノヒカリだろうと、安い方を選ぶのが一般的です。

外食の際も、「あそこのごはんはコシヒカリだから」という理由で選ぶ人がどれだけいるでしょうか。

つい「買うべき理由」ばかりを考えてしまいがちな作り手側は、この点を見落としがちです。

では、今後ミレニアルズにアプローチするには、何が必要なのか。

そのヒントは、「行動の言い訳を用意してあげること」にあると思っています。

前述のお米の例で言えば、高いお米はあえて1、2食分を小分けにして販売することで「たまに自炊するときくらいはいいお米を選ぶ」という言い訳を用意したりや、糖質制限を意識してごはんの量をはじめから少なくしている分高級米を使っている定食屋さんであれば、ご褒美や健康管理という「行動の言い訳」が成り立ちます。

「理由」と「言い訳」は似た意味ですが、「言い訳」として考えることで、主語が自然とモノではなく顧客になるのです。

モノのよさはそもそも語らずともベストを尽くすべきで、自ら語るよりもそれを使った顧客によって語られることが理想です。

であるならば、直接的にモノのよさを語るより、まずはその商品に触れてもらうための「言い訳」を用意する方が、遠回りに見えて有効な策ではないかと思うのです。

ちなみに、言い訳で特に効果が高いのは下記のような分野です。

①健康によい
②仕事や学びにつながる
③プチ贅沢や自分へのご褒美
④時短・効率化

人を動かすためには、どんな言い訳が必要なのか。

世の中のトレンドを読み、自社製品とニーズの差分を埋める言い訳を考え出すことが、これからのマーケターに必要とされることなのかもしれません。

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今回ピックしたのは「AmazonとAlibabaが実店舗に参入する理由」という話題です。

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