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失敗したときはお客様の顔を見て

何をするにも失敗はつきもの。

しかもその失敗の多くは、お客様を巻き込んでしまうものです。

面と向かってお叱りをいただくのは何回経験しても胃が痛むものですが、失敗したときほどお客様の顔を見ることが大切だと思っています。

そう考えるようになったのは、大学生のときにやっていたイタリアンでのアルバイトで失敗してマネージャーから叱られたことがきっかけです。

ホールで働いている人なら経験したことがあるであろう「オーダーの通し忘れ」をしてしまい、お客様を数十分お待たせしてしまったことがありました。

当然クレームになったのですが、マネージャーが直々に謝罪した上でデザートサービスといった対応であまり大きな問題にはならずほっとしていたところでマネージャーから呼ばれた私。

「やばい、怒られる!」とあれこれ言い訳や謝罪の言葉を考えながら向かった私にマネージャーが言ったのは、

「お客様の席の近くまでいって、表情を見てきてごらん」

という一言でした。

頭にたくさん「???」を浮かべながら、言われた通り自然にお客様の席に近づき、その表情を見てマネージャーのもとに戻りました。

「どうだった?どんな顔だった?」

「すごく…怒ってらっしゃいました。不機嫌な感じで。」

「そうだね、でもお客様をそんな顔にさせたのはお前だよ。
すごく楽しみにいらしてくれていたかもしれないのに、お前がそれを台無しにしたんだよ。」

そう言われた瞬間、あまりのショックにその場で泣き崩れそうになったことを昨日のことのように覚えています。

そして年を重ねるごとに、当時のマネージャーの教育スキルの高さをひしひしと感じます。

普通であれば、こうしたクレームを受けた際アルバイトの子にここまで丁寧な教育をすることはないのではないかと思います。

ミスしたことを怒って、二度と同じことをやるなよ!と釘をさして終わり。

それが一般的な対応だと思います。

でも私はこの時マネージャーが丁寧に教えてくれたおかげで、「クレームを受けた際に主語を間違えないこと」を身をもって体感することができました。

マネージャーに叱られる直前まで、私の頭の中は「"私が"怒られる」「ミスは誰にだってあるのに、"私だけじゃない"のに」と主語が自分になってしまっていました。

でもお客様の顔を見るという行動を通して「"お客様が"不快な思いをされている」「"お客様に"より快適に過ごしていただくには」とお客様を主語にした思考に変化させられました。

自分がお客様だったとして、どちらの思考の人間に接客されたいかは明白です。

特にクレームを受けたときは自分のことを守ろうとするあまり、自分を主語にして言い訳を並べてしまいがちです。

お客様にクレームを言わなければならないほど不快な思いをさせてしまったという視点が抜け落ちてしまいがちなのです。

だからこそお叱りを受ける時ほどお客様の顔を見て、自分の行動によって不快にさせてしまった責任を受け止めるべきだと思っています。

もちろんそもそもミスを起こさず、お客様を不快にさせないことが第一ですが、万が一ミスしてしまったときはお客様を主語にして考えること。

あの時の失敗を教訓に、これからもよりよい顧客対応について考えていきたいと思います。

(Photo by tomoko morishige)
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私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら:人のフィルターを通して見る世界

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