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ストーリーは、自分から伝えに行くもの

先日、自社のメディアでこんな記事を書きました。

“資金調達”ではなく”ファンを作る”。ファッションとクラウドファンディングの関係性 vol.1

“資金調達”ではなく”ファンを作る”。ファッションとクラウドファンディングの関係性 vol.2

私はまだクラウドファンディングをやったことはないけれど、ただ資金を集めるという目的ではなく、新しい届け方という文脈のように感じています。

たまたま見かけたキングコング西野さんの「絵が1000万円で売れた。」というブログの内容もクラウドファンディングの意義を考える上で非常に参考になったので興味がある方はぜひ。

で、クラウドファンディング自体も面白いなと思ったのですが、今回のイベントで可能性を感じたのはその後の商品体験の部分。

記事内では簡単にしか書けなかったのですが、トークセッション終了後の懇親会タイムに各ブランドの商品を実際に見てさわることができ、メーカーさんやデザイナーさんのお話を直接聞ける時間がありました。

私も含めたくさんの人が熱心に質問して興味をもっていたし、SNSでシェアしたり後日商品を買った人もいるんじゃないかと思います。

これはただお店に立って"売る"だけでは起きないことで、先に有益な話(今回であればクラウドファンディングの成功体験)をしてブランドへの好意をグッと引き上げたからこその反応です。

「ストーリーを伝えることが重要」と言われて久しいですが、ただ店舗で待つだけでは伝えるためのきっかけを探すだけでも一苦労。

誰でも急に販売員に話かけられたら「売りつけられる」と思うし、運良く話す糸口を見つけたとしても延々と語るだけでは最悪の接客です。

一番理想的なのは、すでにお客様とお店の間でストーリーが共有できていて、「この中でどれにしようか」を相談するために来店してくださる、という状況。

そんな状況を作るには、まだ自分たちのブランドを知らないお客様にストーリーを伝えるために自ら出向いて行く姿勢が必要なのではないかと思います。

そういう意味で、今回のようなトークイベント+商品展示のやり方は今後大きな可能性があるように思いました。

ただその際に重要なのは売り込みをしないこと。

最近はWebサービスを中心にセミナーイベントを開催して営業用のリードをとるという流れが一般化してきましたが、タイトルで引きつけておいて実際には自社サービスの説明ばかりというセミナーは、どれだけ営業用の名刺をとれたとしてもブランド価値を大きく毀損しています。

一見すると遠回りに見えても、自社サービスの宣伝は最小限にしてあくまで「この分野で困ったらこの人に聞いてみよう」と思ってもらうことを目指すべき。

それはファッションブランドがセミナーイベントを開催するときも同様で、自分語りではなく社会性のあるテーマを設定できるかどうかが重要なポイントです。

例えば複数のブランドが集まってデザイナーや伝統工芸の職人さんがそれぞれの働き方やキャリアを語ったり、カラーコディネートや正しいサイズの選び方といったレクチャー、ブランドと関連する国や地域に寄せた企画。

そうした人の"知識欲"を掻き立てる視点をテーマに自分たちのブランドのストーリーを伝え、深いファンになってもらうという流れが今後は加速していくように思います。

遠回りに見えても、本質的なこと。

それを焦らず腐らず淡々とやりきれるブランドや企業が、最終的には生き残っていくのかもしれません。

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(Photo by tomoko morishige)

私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら。

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