最近妹が「彼氏と暮らす」と言い出し、宣言から1か月もしないうちにさっさと実家を出て行った。暮らす段階になるまで彼氏の存在すら明かしてなかったので、家族全員「？？？」である。まぁ、わたしも学生時代にいた彼氏のこと黙ってたけど。そしてわたしの場合、こんな終わり方を迎えるなら黙っててよかったけど。

で、それが前提として。
引越しに伴う片付けで、妹が「もういらない、捨ててもいい」と実家に置いて行ったものがある。

なんかのコスプレ衣装である。

なんかっていうか、刀剣乱舞っぽい。でもわたしは未履修なので、刀剣乱舞の誰なのかはさっぱりわからない。さっぱりわからないが、捨てるつもりならせっかくだし売りに行こうかな、と思った。母親も、「売れたお金は好きにしていい」って言ってたし。

しかし売りに行くならこんなに知識ゼロだとまずいかもしれない。中に入っていた紙などをヒントになんとか検索した結果、

薬研藤四郎という人の可能性が浮上した。

知識ゼロとはいえボラれたくはないので、コスプレ衣装買取の相場を調べてみた。キャラクターにもよるが、「一式1,000〜2,000円」「定価の1割」くらいが相場らしい。この薬研藤四郎の衣装はどうやら定価15,000円くらいのようなので、一式揃って状態が良ければ1,500円、というところか。わたしには揃ってるかどうかもよくわからないけど。まぁこのキャラクターが今どのくらい最前線にいるのかもわからないし、1,000円になれば最高で、500円になればまぁ御の字、くらいの気持ちでまんだらけ梅田店へ行った。

買取カウンターで、個人情報のもろもろを書かされた。わたしも自分一人の責任でこういうことができるようになったのだな、という感慨が少しあった。小学生のときは親がいないといらない漫画を売ることもできなかったから。

箱に入ったままのモノを「これはなんですか？」と聞かれ、「コスプレ衣装です」と答えると、コスプレ担当の人を呼ぶまでこれをわかる範囲で書いててくださいと紙を一枚渡された。

「作品名」
「キャラクター名」
「購入店」
「着用回数」
「サイズ」
「セット内容」


な〜〜〜んもわからねぇでやんの。

作品名はまぁ刀剣乱舞だろう、キャラクターは薬研藤四郎っぽいが中身を改めたわけじゃないので確信が持てない、購入店は封入されてた紙から調べたところコストモ？天音？というところらしい。妹が持ってたから女性用衣装だろうが、具体的なサイズはわからない。

ウーン、と思いながらほぼ真っ白の紙を眺めているうちに、コスプレ担当の女性店員が来た。なんか青っぽい、男性キャラの和装のコスプレをしている。刀剣乱舞かもしれない。だとしたら、わたしよりよっぽどちゃんと分かる人だろう。（検索してみたところ、大和守安定？っぽかった気がする）

あまりに空白が多く、コスプレの店員さんに「分かる範囲でいいのでご記入お願いします」と言わせてしまった。「すいません、妹のを代わりに持ってきたのであまりわからないんです」「調べた感じ、たぶん薬研藤四郎とかだとは思うんですけど」と素直に打ち明けた。店員さんは優しく、「確かにセット見た感じそんな感じ（薬研藤四郎っぽい）ですね〜」「じゃあ一緒に確認しながらセット内容のとこだけわかる範囲でご記入お願いします」と言ってくれた。優しい店員さんに、感謝……。

このときわたしも初めて中身をちゃんと見たのだが、保存状態はそんなに良くなかった。襟元等にけっこう汚れが残っている。でもベルトだのネクタイだの肩当てだの、細々したパーツは全部揃っているようだった。あのガサツな妹にしてはよくやったと思う。

店員　「パーツは全部揃ってそうですね〜」
わたし「そうですねぇ（わからんけど）」
店員　「ちょっと汚れとかもあるんでぇ、」
わたし（500円来い、せめて500円は来い）
店員　「3,000円でよければになりますけど……」
わたし「！？！？！？！？！？！？」

というわけで、飲み1回分くらいのちょっとしたお小遣いを得た。汚れがあっても定価の2割だ。状態が良かったらいくらになっていたのだろう。
刀剣乱舞の変わらぬ人気に感謝しつつ、来月沖縄に行ったら妹の好物のちんすこうのちょっと良いやつでも買って帰ろうと思った。