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3.逃げ出したクドリャフカ 【#一週間クドリャフカ】

「逃げた先には何もないというのに。そんなことはわかっているのに」
「…こんな子が『クドリャフカ』と名乗っているのです」
「笑いの種です」

リトルバスターズ! クドルートより

フレーバーテキストっぽいことがやりたくて(?)いつも最初に本編の台詞の引用を載せているんですが、この調子で行くと7日中4日分ぐらいは別エンドから取ってくることになりそうですね。

クドリャフカにとっての「クドリャフカ」は、前に進むことのできた存在であり、飛び立つことの出来た存在です。
だから、そんな名前すらも、彼女の過去と一緒に己を苦しめる枷となってしまいました。


彼女は一度逃げ出した身です。
いや、何からも逃げずに生きてきた人間なんてこの世にはいないと思うんですが、彼女の場合は通っていた学校についていけず退学し、そしてそれに伴って故郷からも移住し…と、ちょっと大きめの挫折を味わっています。
これは彼女に色んな爪痕を残しましたが、中でも「後ろめたさ」みたいなものとか、「劣等感」みたいなものは色濃く残ってしまっている節があります。

本来、能美クドリャフカという少女は、夢に向かって真っすぐ歩いていけるひたむきさだとか情熱だとか、そんなものを持っています。そんな彼女を曇らせ、立ち止まらせてしまった要因は、大きく分けて二つ。
一つは今回語っている「逃げ出した」経験、そしてもう一つは母親にまつわる「後悔」の経験。後者については、この企画を無事最後まで続けられたらそこで触れたいと思っています。


さて、「逃げ出した」事に関して、興味深い2つのIFがあります。見てみましょうか。

一つはクドわふたー。
こちらでは、先述した要因のうち2つ目の方に大胆な変更が加わっているのと、やはり理樹と何一つ問題なく結ばれたという精神的な後ろ盾も(?)あってか、かつての自分を乗り越えようとする姿を見る事が出来ます。
生い立ちの変化の影響は相当大きいなあというか。

そしてもう一つが、ソーシャルゲーム「偽りのアリス」にコラボ出演した際のキャラストーリーです。
詳しい説明は省きますが、このゲームの登場人物は皆「失敗作の童話のヒロイン」的な存在であり、コラボキャラであろうともこのルールからは逃れられません。
ということで、この世界にやってきたクドは、「クドわふたーと同じ世界線を辿りつつも、理樹と恋人関係になれなかった」クドです。
更に言うと、「厳しい現実からも、優しい世界(=リトルバスターズの仲間たちの輪)からも逃げ続けた」クドなのです。

これが結構絶妙でして。
そもそもコラボキャラでこんな暗くて救いのない話やるかよ、と、最初は思ったんですよね。
でも、偽りのアリスはそういうゲームですし、リトバスもそういう扱い方をされて差支えの無いゲームですし、よくよく考えたら能美クドリャフカというキャラをちゃんと語るなら、こういう負の要素にも向き合って然るべきだよなあ…と。気づいてしまいました。
その上で、このクドが「失敗作」として世界に送り込まれた=現実のクドはその対極の存在として、元の世界できっとやり切っているんじゃないかな、と、程々に希望を持たせてくれる感じで話は終わります。良い塩梅。



なんだかんだでクドわふたー時空のクドは、この問題、つまるところ「一度は逃げ出してしまった過去」と向き合い、自力でけじめをつけられる程度の余裕があります。そうなるための力も、そういう行動が出来る程度の心の支えもあります。
しかしながら私が追いかけ続け、今もこうして思いを馳せているリトバス時空のクドにはそれはとても難しい事なんじゃないかなあ、と。
あまりにもネガティブな動機かもしれませんが、彼女を覆ってしまっている閉塞感みたいなものも含めて私はクドを気に入ってしまったのかもしれません。

今日はイツアリの話がしたかっただけという説があります。
とりあえず、次回はコーヒーブレイク的な内容です。


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