見出し画像

【R60-SETAGAYA- マッチング事例紹介①】工事に必要な書類の整え役~株式会社中秀工業~

                                                    現在、世田谷区で実施中!「シニアの働く」と「地域の事業者」をつなぐ情報プラットホームを作るモデル事業「R60-SETAGAYA-」。

R60-SETAGAYA-を通して生まれた、地域のシニアと事業者の出会い。今回は、株式会社中秀工業の事例についてご紹介します。


創業から半世紀以上。世田谷区内の小学校の学童施設などの公共事業や歴史的建造物、東京大学数理科学研究科大講義室などの最新の研究施設まで幅広いフィールドで活動してきた株式会社中秀工業。
地域のお客さまが安心で快適に過ごせるような空間、笑顔の増える場所を作りたい、という思いで日々取り組み、厳しい労働環境だといわれる建設業界でも、最新設備や写真の自動整理ソフトなどを導入して、若者の残業軽減にも力を入れてきました。

しかし、安全な工事の裏には膨大な書類がつきもの。そのどれひとつをとっても欠かすことができないため、本業以外に多くの時間がとられていました。
そこで、R60-SETAGAYA-を通して、「必要な書類を確認し、各協力会社に連絡を取って取り揃え、現場に届ける【工事に必要な書類の整え役】」を募集しました。

今回は、この仕事に取り組んでいるSさんと、株式会社中秀工業の代表取締役 中村大路さんにお話をお聞きしました。

業界の悪循環を断ち切る

画像2

中村さん:工事現場の現場監督の仕事の多さは、建設業界全体の課題にもなっています。仕事が多岐にわたって長時間労働となるにもかかわらず、他業種と比べると賃金が伸び悩む。そのせいで若年層の入職者が低下する、といった悪循環の一途をたどっているのです。特に、専門知識を持つ国家資格を取得した者が、その資格がなくてもできる事務作業を行わなくてはならないことについては、生産性向上に繋がらないと考えていました。そこで今回、現場監督でなくても出来る仕事を切り出し、仕事をシニアの方にお願いしようと考えたのです。

この案件に応募したSさんは、前職場を退職後、なんとなく働きたいという思いをもちつつも、具体的に応募する気にならずにいたところ、区報に載っていたR60-SETAGAYA-が目に留まったといいます。

Sさん:最初はよくわからないので、登録してからも様子を見ようと思っていたのですが、運営オフィスの方の後押しもあり、仕事に応募することにしました。多く挙がっている福祉系の案件は、自信がなかったので、【工事に必要な書類の整え役】という案件を選びました。これまでの経験上、書類整理や作成ならばできると思ったからです。ここ何年も仕事をしていなかったので、はじめは能力や体力的に自分に務まるかどうか心配でした。

新しい気付きの生まれる場所

画像3

応募当初は働くことに不安を感じていたSさんでしたが、実際に仕事が始まると気持ちに変化が生まれたといいます。

Sさん:工事現場で働くことは初めてで、建設業界の習慣や仕事の進め方など、知らないことが多く、興味深かったです。社員の方は皆さん親切で、職人さんもプロの方ばかり。皆さん尊敬でき、働きやすい職場だと思いました。自分が過去に働いてきた業界は、ときに罵声が飛ぶような過酷な環境もありましたが、すべてがそうではないのだと、再認識することができました。思い切って応募してよかったと思っています。

Sさんには働くことで新しい気付きがあったようですが、中村さんも新しい人材の参入に前向きのコメントを寄せてくださいました。

中村さん:今回、現場で働いてくださったSさんには、1日4時間、週3日の勤務をお願いしました。長年IT業界にお勤めだったとのことでPC操作にも明るく、これまで培った社会経験ゆえか、やりとりにも安定感があり、他の社員にもいい刺激になったようです。また、若年だった現場監督にも安心して仕事を任せることができました。短期間勝負の工事でしたが、Sさんがこちらの意図を十分に汲み取ってくださり、安全書類、図面修正等の仕事を無事に完遂してくださいました。

「シニア×社会」が生む化学反応

画像2

利用者、事業者ともに信頼し合える関係性が構築できた今回の案件。Sさんは、初めて足を踏み入れた建設業界に関心をもち、現在練習しているCADに加え、建築の基礎についても勉強をしたいと意欲を語ってくれました。
一方、スキルのあるSさんと接することで刺激を受け、社員の皆さんも業務改革に対して考えるきっかけとなったと話す中村さん。働き方改革の一環としてシニア世代の社会参加を促すため、シニア世代の人たち自身が、社会に必要とされている存在なのだということを広く知ってほしい、と訴えます。

中村さん:私たちは建設の技術者としての専門知識を高いレベルで持っていると自負していますが、シニアの方の中にはさらに高いレベルのさまざまな分野での専門知識をお持ちの方もいらっしゃると考えています。ぜひ仕事をご一緒し、スキル・ノウハウを間近で見て、経験談をお聞きしたいと考えています。

中村さんは、地域を盛り上げるために長年地域の活動にも積極的に携わっています。R60-SETAGAYA-でも、仕事だけではなく、利用者の声を聞いたり、他の事業者との繋がりを作るイベントに参加して「シニアの働く」を応援していきたい、と話してくれました。

心地よい働き方を探して

「良い方に来ていただいて助かっています」
中村さんからのご報告に、温かい気持ちになったのがついこの間のことのようです。
Sさんの一歩を踏み出す勇気と、中秀工業さんのシニア人材に任せるという気持ちのどちらが欠けても成立しなかった今回のマッチング。新しい風穴が開くことで、社内でも業界の抱えている問題への意識が高まったことは、大きな変化なのかもしれません。
また、Sさんにとっては「久しぶりに働くにあたり、フルタイムでなくても働けること」もとても重要なポイントだったとのこと。ライフステージの変化に合わせて、無理なく働くことも、心地よい働き方に欠かせない要素の一つですね。

R60-SETAGAYA-では、仕事を探すだけではなく、イベントなどを通して、さまざまな働き方を事業者とともに模索することができます。ぜひ次はあなたも、R60-SETAGAYA-で新しい景色を見てみませんか。

---------------------------------------------------------------
Facebook、Twitterからも情報を発信しています!
【Facebook】https://www.facebook.com/GberSetagaya
【Twitter】https://twitter.com/GberSetagaya
---------------------------------------------------------------
お問い合わせは以下へご連絡ください。

(世田谷区事業者の方)

(世田谷区民の方)

働くをRe:DESIGNする
R60-SETAGAYA-
世田谷版GBER運営オフィス(運営:非営利型株式会社Polaris)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?