星の話をしただけなのに。

僕が星を語ることの道を進む原点ともいえる体験が、大学一年生の春休み、初めての海外旅行先、南太平洋の島国バヌアツ共和国で天体観望会をひらいたときのことです。

海外青年協力隊で現地の小学校に赴任していた友人を訪ねに行ったとき、その小学校で天体観望会をひらくことになりました。
当時、学生だった僕はまだ日本でも天体観望会を主催したことはありませんでした。僕の観望会デビューはバヌアツです(笑)
そんなに人は集まらないかな?と思っていたら、物珍しさか小学校の子どもたちだけでなく近所の人たちまで集まってしまって100人くらい参加されていたような気がします。
現地の言葉はビスラマ語といって、英語がちょっと崩れたような言葉、当然日本語は通じませんが、身振り手振りと友人の通訳も交えながら、日本から持っていった望遠鏡で月を見せて、日本とバヌアツで見える星の違いなど必死に、もうほんとに必死に話をしました。
すると、観望会の最後に、バヌアツの子どもたちから日本語で"ありがとうございました"と言ってくれて、それが涙が出るほど嬉しくて、感激しました。
星の話をしただけなのに、人にありがとうと言ってもらえるこの仕事はなんて素敵なんだろう、星のことを勉強していてよかった、と心から思えたんですよね。
その経験が僕の活動の原点です。

この仕事をしてきて、楽しいことだけではなくて、つらいことも時にはあるけれど、たまに初心を思い出して、僕たちの仕事は誰かをちょっと嬉しくできる、幸せを届けることができる素敵な仕事だと胸を張っていきたいですね。

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