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パートナー(代理店)契約の種類①

皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
前回のnoteでは「パートナー制度の開始前に実施すべき自社分析の方法」について書かせていただきました。

今回は主にパートナー制度(代理店制度)をこれから開始するベンダー企業様に向けて、パートナー契約の形態について書ければと思います。
パートナー(代理店)と契約を締結する際の契約形態には、いくつか種類がありますが、今回はそのうち、まずはSaaS界隈で一般的な3つの契約モデルから解説させていただきます。


1.紹介モデル(取次店モデル)

SaaS界隈のパートナー制度で最も多いのがこの紹介モデル(取次店モデルという呼称にしているベンダーもあります)。パートナーからベンダー側へ顧客の紹介を行い、契約時にマージンを支払うという契約モデルです(ただし、1社紹介につき紹介マージンを支払うというモデルで展開しているケースもあります)。

紹介モデル(取次店モデル)

パートナー側のメリットとしては、顧客を紹介するのみであるため業務負担が少ない、初期費用なしでリスクなく始められる、サイドビジネスとして始められる(パートナーが個人の場合は副業として始められる)などが挙げられます。一方のベンダー側のメリットとしては、商談からクロージングまでメインはベンダー側が行いますので、パートナーの育成コストがあまりかからないというメリットがあります。

しかしながら、育成コストが低いとはいえ、ベンダー側は何をしなくてもパートナー側から案件の紹介が来るわけではありません。パートナーからの案件紹介を促すためにも、パートナー側の事業戦略やビジネスモデルなどをしっかり理解し、パートナー側の事業も伸びていくような双方Win-Winの体制を構築することが重要です。

私の現職でもこの紹介モデルがパートナー制度の1番メインとなっていますが、ただパートナー契約をして顧客の紹介を待つだけではほぼ紹介は来ないです。
※パートナー契約すれば勝手に顧客の紹介が来ると考えていらっしゃる方も一部いたりすることがありますが、その考えはそもそも大きな間違いです。

2.販売代理モデル(販売代理店)

ベンダーがパートナーに対して、自社商材の販売を委託又は許諾する内容の契約です。パートナー側が案件創出から営業、クロージングまでを担当し、契約時にベンダーからパートナーへマージンが支払われます。なお、顧客との契約自体はベンダーと顧客との間での直接契約となります。

販売代理モデル(販売代理店)

パートナー側のメリットとしては、ブランド力のある商材や売りやすい商材であれば安定した売上が期待できること、ベンダーのブランド力を活用して自社の認知度が高められるなどが挙げられます。一方のベンダー側のメリットとしては、販売代理店側の流通網が活用できたり、商談からクロージングまでパートナー側が行うため販促にかかる手間と辞任を削減できることなどがメリットです。

しかしながら、上述の紹介モデルよりも育成コストが非常に高いため、紹介モデル以上に定期的な営業支援コンテンツの提供や勉強会の実施、細かな新機能の共有、パートナー側で提案している案件動向のモニタリングなど、本格的に立ち上がるまでに非常に時間と工数がかかってきます。

3.卸しモデル(リセラー・再販代理店)

卸しモデルとは、パートナー側がベンダーから商材を買い取り(仕入れ)、その商材を自ら顧客に対して販売する契約手法です。企業によってはリセラー、再販代理店と呼ぶ企業もあります。パートナーの利益は、購入時と販売時の差額によって生まれます。

卸しモデル(リセラー・再販代理店)

パートナー側にとっては、販売代理モデルよりも一商品当たりの利益が大きい傾向にあることがメリットである反面、売れ残った場合の損失を被らなければならないというデメリットもあります。一方のベンダー側にとっては、販売代理店に商品を卸した時点で売上が立つため、収益予測をしやすい点が大きなメリットとなってくる一方で、再販価格の制限ができないため自社商材の販売価格値崩れが起きてしまう可能性があるというデメリットもあります。加えて、販売代理モデル同様、パートナー側が顧客へ営業からクロージング、契約締結まで一括で行うことになるため、本格的に立ち上がるまでに非常に時間と工数がかかってきます。

最後に

以上の3つの契約形態がSaaS界隈で最もよくある主要なパートナー契約の種
類となります。ここからは私の私見も入りますが、パートナー契約を締結するにあたって、まずは紹介モデルから入り、ある程度の案件が創出できるようになった後に販売代理モデルに切り替える(それに付随してマージンも引き上げる)というような流れが1番ベストなのではないかと考えています。

その理由としては、パートナー企業にただ商材を展開しただけではすぐに拡販・すぐに売れるとはならないため、パートナー企業の育成コストを考えるとまずは紹介モデルで成功体験を積み、その後徐々に販売代理店モデルに移管していくという流れの方が良いのではないかと私は考えています。
※ただし、ディストリビューター(例:SB C&S様、ダイワボウ情報システム様、ネットワールド様、等)については、日本の商慣習上、卸モデルでの契約のみしか契約するための手段がありませんので、最初から卸モデルでのスタートとなってしまいます。

まだ日本にパートナー戦略の勝ちパターンが構築されていない状況であるため、このあたりの最初は紹介モデルだけにするか、それとも最初から販売代理モデルも展開するかみたいな議論は何が正解かわかりません。
多くのSaaSベンダーが試行錯誤した末に、今後これについてもどっちが正解かわかってくるでしょう。

次回の記事では、SaaS界隈で稀に出てくるパートナー契約の種類について解説していければと考えております。

最後までお読みいただけた皆さん、ありがとうございました!それではまた次回の更新で!


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