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パートナー(代理店)契約の種類②

皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。

前回のnote「パートナー(代理店)契約の種類①」では主にSaaS界隈で一般的な3つの契約モデルについて解説しました。今回は前回の記事とは別の、パートナー契約において稀に出てくる契約モデルについて解説できればと思います。
是非帰りの電車の中ででも読んでいただけたら嬉しいです!


1.OEM

製造(開発)は外部に委託し、自社のブランドとして販売する契約手法です。具体的には、ベンダー(メーカー)のプロダクトのブランド名を自社プロダクト名にリブランディングし、自社製品として販売する契約を取り交わすイメージです。顧客対応や契約などはパートナー(代理店)側で行われ、商材の製造・開発はベンダー側で行います。

OEM

パートナー側としては、工場や開発の投資なしに製品を顧客に提供できる、小資本でも自社ブランドとして販売できるといったメリットがある一方で、在庫を抱えるリスクがあります。

一方のベンダー側としては、パートナーの販売力と販売網を利用して商材の売上アップが期待できる、販売や顧客サポートなどの工数がかからないといったメリットがあります。

しかしながら、卸モデルでも記載したように、パートナー側が顧客へ営業からクロージング、契約締結、サポートまで一括で行うことになるため、本格的に立ち上がるまでに非常に時間と工数がかかってきます。

なお、卸モデル(リセラー・再販代理店)と同様に「販売価格-卸価格(仕入れ価格)」の差額がパートナーへの報酬として支払われます。

2.マーケティングパートナー(セミナーパートナー)

マーケティングパートナーとは、パートナー制度において、ベンダー側のプロダクトの販売において広告やプロモーションなどのマーケティング活動をサポートするパートナーのことをいいます。

例えば、ベンダー側と共催セミナーを開催してリード獲得を行う、自社(代理店側)の保有顧客リストに対してベンダー側のプロダクトに関するメルマガを配信することでリード獲得を行う、自社(代理店側)のHP上に取り扱い商材としてラインナップに掲載してリード獲得を狙うなどのマーケティング施策からリードを獲得し、ベンダー側にトスアップ(紹介)するようなパートナーのことを指します。

パートナー側のメリットとしては、ベンダー側のブランド力を活用したマーケティング施策が行える、マーケティング施策から獲得したリードから契約が生まれた際にはマージンが入ることなどが挙げられます。

一方のベンダー側のメリットとしては、パートナー側の保有顧客リストに広くアプローチができること、パートナー側でのメルマガ配信やHP掲載であればそこまで自社(ベンダー側)には工数負担がかからずにリード獲得が狙えることなどが挙げられます。

しかし、共催セミナーを開催してリード獲得をしていく場合には、共催セミナー内容の企画から対応しなくてはならないため、一定の工数がかかることもあります。ただし、これは私の現職でもよく行ってますが、自社で既に実施したセミナーコンテンツを流用する形でパートナー企業の保有顧客に向けてセミナーを行う形にすれば、セミナー実施の工数はそこまでかかりませんので、リードをとにかく集めるという観点では効果的な施策となることもあります。ただ一方で、セミナーの中身にもよりますが、集まるリードとしてはMQL(潜在顧客)リードが中心になることも多く、短期での受注には不向きであるケースもあります。

3.コンサルティングパートナー

コンサルティングパートナーとは、パートナーの中でも、特定のプロダクトの専門知識を持ち、顧客に対して提案から導入・サポートまで一貫してサポートするパートナーのことを指します(稀に、CS業務まで含めて、販売代理店と呼称するベンダーもあります)。コンサルティングパートナーは、顧客にベンダー側のプロダクトを販売するだけはなく、契約後の導入支援やカスタマーサクセス(サポート)まで対応してくれるため、顧客にとってはサービスを使用する際のストレスが減り、継続的にサービスを導入してくれる確率が高まります。

また、コンサルティングパートナーは、顧客からプロダクトの改善や開発のフィードバックを直接いただき、ベンダー側にフィードバックを行うことで、プロダクトの品質向上にも貢献してくれることが期待されます。

しかし、パートナー企業がコンサルティングパートナーになるまでには、商材の理解はもちろん、提案方法の理解、カスタマーサクセスとしてのサポート対応の理解なども必要となってくるため、販売代理店になること以上に難易度が高く、コンサルティングパートナーになるまでには販売代理店モデルや卸モデル以上に非常に多大な育成コストがかかる点はデメリットです。

このコンサルティングパートナーになるまでの状態まで持っていけること、およびその社数が多ければ多いほどパートナー戦略がうまくいっているベンダーと言えるのではないでしょうか(ある種、最終の着地点みたいなところかと思います)。

4.ソリューションパートナー(APIパートナー・開発パートナー)

ソリューションパートナーとは、ベンダー(メーカー)側が提供するプロダクトを、パートナーが自社商材と連携して提案することができるパートナーのことをいいます。
パートナー側のメリットとしては、顧客ニーズに合わせた多彩なソリューションを提供することができるため新規顧客獲得や既存顧客へのアップセルにつなげられる機会が増える、組み合わせでの提案による収益の増加が期待できる、パートナー側の顧客満足度が向上してブランドイメージが向上することが期待できる、といったメリットがあります。
一方のベンダー側のメリットとしては、自社プロダクトとパートナー側の商材とを組み合わせて提案いただくことで新しいビジネスチャンスを創出することができる、パートナー企業が持つ販売ネットワークを活用することで新規顧客獲得につながる、パートナー企業に販売を委託することで営業コストやマーケティングコスト削減につなげられることが多い、等のメリットがあります。

また、ソリューションパートナーの中にはAPIパートナー(開発パートナー)も内包されます。APIパートナーとは、APIを提供することで他社のシステムとの連携や開発を支援するパートナーのことを指します。APIパートナーは、他のソリューションパートナーとも連携することで、より高度なソリューションの提供が可能となります。現代ビジネスにおいて、データのやりとりや機能の共有が欠かせないものになっています。特にSaaSやクラウドサービスが普及する中で、企業間での情報共有はますます重要となっています。そのため、APIパートナーは企業のビジネス拡大に欠かせない存在となっています。

最後に

以上の4つの契約形態がSaaS界隈で稀に見るパートナー契約の種類となります。前回の一般的なパートナー制度と合わせて、自社の商材についてはどのパートナー契約モデルが最も適しているのか、是非1度考えてみる材料にしていただけたらと考えています。

最後までお読みいただけた皆さん、ありがとうございました!それではまた次回の更新で!


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