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好きな音楽は?クラシック、ジャズ…いや、ヒップホップ?

好きな音楽のジャンルは?アーティストは?
そんな話をした時によく悩みます。そこで人は極めてステレオタイプですから、その答えでその人のおおよその人柄を勝手に決めます。

30代の男性がその答えに答えるなら何がいいのでしょうか?

クラシックとかジャズですと言えば、オシャレですね(格好つけて笑)と言われるし、かと言ってメガデスとかパンテラ(本当は北欧メタル)なんて言うと気持ち悪がられそうですし、無難に髭男ですと言うと、へー(若作り)と思われます。(ちなみにどれも好きですよ一部のヘビメタを除いて)
世代的には所謂メロコアが流行った頃ですので、ハイスタとかグリーンデイとか言えばいいのでしょうか。でもそれを言うと子供っぽいって思われますよね。

じゃあ、 こうしましょう。
ヒップホップ、特に東海岸のニュースクール勢が好き、と言いましょう。ネイティブタンとかビースティとか。でも、約99%の日本人の方は、ヒップホップといえば、ギャングスタを想起してしまいます。で、太いズボンにどでかい金のネックレス、そしてクスリとか拳銃。
いいんですよ、そもそもで最初に言った通り、人は極めてステレオタイプ。特に私たち日本人はコミュニスト、極めて村社会人間ですので、さまざま意見や価値観に一方的な見方しか与えません。それに薬物って実は、昔のジャズミュージシャンのが極めて酷かったんですからね。チャーリーパーカーやビリーホリデイ、チェットベイカー。彼ら、彼女たちの歌や曲がスタバなんかでかかっているのですから。

なんか悪口ばかりになってしまいましたね。やめましょう。

アメリカ音楽での大きな発明の一つがジャズ、そしてそれに類するのがヒップホップいやサンプリングではと個人的に思います。ジャズはそもそものスタンダート曲に様々なアドリブを加えていき、場合によっては原曲そのものを変えてしまいますよね。サンプリングもそれと同じ様に、原曲の一部を活かしつつも、やはり原曲解体する場合もあります。でも、そのまま使ったりすると、よく大ネタ使いなんて言われたりするものです。
でも、その大ネタ使いが結構好きだったりします。ビースティのセカンドアルバムとか、ア・トライブ・コールド・クエストのファーストアルバムとかです。
特にヒップホップを倦厭しているロック好きとかには、ぜひATCQ(A tribe called quest)のファーストは聴いて欲しいですね。スティービーワンダーのsir dukeビートルズのオール・ユー・ニーズ・ラブやルー・リードのWalk on the Wild sideをサンプリングした楽曲には痺れもんです。でも彼らの代表作はセカンドアルバム”Low and Theory”やその次の”Midnight marauders”なんですよね。特にセカンドはジャズベーシストの御大、ロン・カーターを客演に迎え、ファーストの陽気さと比較して、よりジャズとかソウルの黒さを獲得したアルバムとして評価されました。
でも今回紹介したいのは、さらに彼らのヒップホップとしてのビートミュージックを確立した、4thアルバム”Beats,Rhymes,and Life”です。
これと 5thアルバムは、評価が割れる、と言うか好みが分かれると頃ですが、この二つのアルバムもとても好きです。やはり多くの人に言われる様にJ Dillaのコミット具合が高まり、サンプリングとMPC独自の打ち込み音が非常にドープな感じを出しています。セカンドアルバムの黒さとも違う、MPCの乾き切ったハイハット音。2曲目のGet a holdでまさにその渇いたMPCの音が感じられますよね。でも、今までの明るいファーストやサードアルバムや、一聴すると同じ様なドープですが、より明朗なサンプリングで響かせたセカンドとも違う、無機質さが漂う感じです。ただ無機質と言っても、ビートの響かせ方は、バックビート(裏拍)が効いていて、所謂EDMミュージックとは異なってノリがいい。この辺がJ dillaの妙技かなと。乾いたビート音と人間的なリズムのノリ。だからこそクールな無機質さとどこかであたたかさを感じぜずにはいられない。
ヒップホップをきわめて純粋なビートミュージックかつ芸術的領域までに高めたグループだと思います。

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でも、4thや5thアルバムの頃には、ATCQの音楽的頭脳で有るQ-tipとラッパーのPhifeが仲悪くなり、その後はしばらく開店休止状態。ところが、2016年に突然新譜を発表。と同時に、Phifeがかねてから抱えていた持病の糖尿病で亡くなってしまう。そんな訳でオリジナルメンバー最後の新作は“We Got It from Here... Thank You 4 Your Service“となってしまうのですが、こちらもまさに集大成といった感じでとてもカッコいいアルバムになっています。そして今までにはなかったメッセージ性も高まり、歌詞も考えさせる内容になっています。ぜひこの中の”We the People”を聴いてください。

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と言うわけで、好きな音楽はヒップホップと言われても懐疑的な目で見るのはやめましょうね。

※そういえば、ピューリッツァー賞でクラシックやジャズ以外の初めての受賞がディランやブルース・スプリングスティーンでもなくケンドリック・ラマーでしたしね。アメリカでは一つの純粋音楽として市民権を得ていると思われます。

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