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秘密基地vol.10、感想

こんにちは。
今回は11月14〜17日に行われた「秘密基地vol.10」を観劇したので、その感想を書きます。
14日の19時からの回と、16日の19時からの回、計2回観たので、その違いも書けたらと思います。
長いので、目次使って気になるとこだけでも読んでください。

全体の感想

長い。はちゃめちゃに長い。160分もあった。でも、一個一個の演目の内容が濃いから、観てるとあっという間。そして、各演目、共通点がないように見えて、人とモノとジャグリング、どこかしらが繋がっているなと思った。
軽率に2回行ったけど、回ごとに雰囲気が違ったし、すごくよかった。木曜は最後列から全体を俯瞰、土曜は前から3列目で演者の顔もはっきり見える席、と座る位置を変えたのもよかったのかもしれない。
MCで演目の間に演者にインタビューするやつ、ジャグロリ発表会とおんなじやー!と1人勝手にテンションが上がった。うまく使うとこの形式面白いよね。

あとBGMにSnail's Houseの「ラ・ム・ネ」かかってたのめっちゃテンション上がった。https://youtu.be/HQteI8cPp7k

では、さっそく各演目の感想を(回によって順番が違ったので、HP通り、50音順に書きます)。

aube「走れ!工藤くん」

aube、初めて観ました。時間が短いこともあって、とにかく勢いと熱量がすごい。あと工藤さん(工藤くんが正しい?)の汗も止まらない。
ストーリーは、真面目な男・工藤くんがヒロインに一目惚れ、なんとか親友2人の手を借りてお近づきになろうと頑張るものの過保護な父親の邪魔によって失敗、さらにヒロインはパリ留学が決まっていて…というドタバタなラブコメ。
ちゃんとヒロインの第二外国語はフランス語って伏線もあった。

工藤くんが口を開くたびに面白すぎて。とにかくうるさいんだよね、いい意味で。本来笑うポイントじゃないんだろうなってとこで死ぬほど笑ったし、脚本で笑いを狙ってきてるとこは当然のように大笑いしてるから、結局全編通して笑い倒した。
あと、迷い犬めっちゃかわいい。

公演は「夢を描く」と「夢は踊る」の2種類、ダブルキャスト。描くの方はヒロインが油絵描き、親友がヤンキー(ボール)。踊るの方はヒロインがバレリーナ、親友が漫画オタク(シガー)。奇跡的に両方観られました。どっちの回もベースのストーリー、セリフのニュアンスは同じなのに全く違う雰囲気に仕上がっていて、面白かったです。工藤くんとヒロインのペアルーチンのとこは両方のヒロインの良さが生かされつつ、綺麗にまとまってた、すごかった。
あと、個人的に、漫画オタクだから、漫画をモチーフにしたシガー、っていう流れがすごく好きだった。デコレーションも漫画なのすっごい良い(私、全くもってシガラーではないのだけど、シガーのデコレーション大好きオタクなので)。稲葉さんシガーうま。

ジャグリングパートは本当に劇にトッピングされてる、という感じ。さらっと始まって、さらっと終わる。5cも3ミルもあの劇では所詮おまけなんだよね。aubeが演劇やりたくて始まったってのを聞いて納得した。
まあでも、観てる最中、ふと我に返って、いやいやあそこにJJFチャンピオンいるが?ってなる。そこのギャップも面白くてすごい笑った。
遊園地のシーンでクラブを色んなものに見立ててたのと、ディアボロで歌詞に合わせてターボしてるのがよかった。
あと、なんであんなマシンガントークしながらジャグリングできるんだろう笑
楽しかったです。


鈴木仁「残陽」

偉大なサークルの先輩…!実はちゃんとルーチンを観るのは初めて。
リングを使った演目。最初の5rしながら座るのめっちゃスムーズ。その後は3rで淡々と技をやってたのだけど、ただただかっこいいと感じた。曲とか照明の雰囲気は暗くて重いんだけど、綺麗なんだよね。途中で上手を向いてウェーブをするシーンで"何か"と戦っているような気がした。
ラストに6rをして、椅子に座ってナイフを飲み込んで、息を引き取って終わり。自殺なのか?照明が窓から射す光っぽくしてあったので、夕暮れかなって思った(タイトルの意味調べたらビンゴだった)。
最初は真っ白なメイクにびっくりしたけど、あれは死んで顔色が悪くなったことをイメージしてるのだろうか。
とにかく重い、けど仁さんの上手さに圧倒される演目だった。


田中謙伍「いっせい皿のいっせいの部分」

タイトルだけ聞くとなんのこっちゃって感じだけど、いっせいさん(田中さんのジャグラーネーム)が3Dプリンターで作った、ヘンリース皿改造用の重りだけを使ったルーチン。見た目が完全にプラ○ール。
最初ちゃんとお皿回してて「皿回してるゥゥ!!」って1人で笑ってました。スティック2本で魚みたいな動きしてるのが、Seaweed(注:グリップアイソレーションにフィンガーウェーブをくっつけたクリスタルの技、伝わらない気がする)っぽくて良い〜ってなった。そしてそこからのいっせいの部分への流れが結構好き。最初に使ったお皿もいっせいの部分置きにしてた。
半円と円、エイトリングみたいな輪っかの組み合わせ、そして不思議な立体…と七変化していく様が観ていてとても楽しかった。かわいい音楽と、おもちゃ箱で遊んでるみたいな無邪気ないっせいさんの表情もよかった。代名詞であるバランスも健在。
土曜の公演ではラストの技が決まってて流石!って思いました。


恒吉優紀「 _ 」

木曜だけの出演でしたが、今回の私の大本命です。なぜなら、コンタクトジャグラーだからです。なかなかコンタクトジャグラーのルーチン生で見られる機会ないからね。ほんとに。
もうね、感想は全部かっこいいね上手い!しか出てこない。舞台で観られてよかった。ネック上手いし、足通したり、座ってロールとかもう全部がすごすぎたね。ルーチンで4bチェストやってるし。なにあれ。雷みたいな照明もかっこよすぎる。あと曲。
彼はデカボール使い、トス、ロールメインのコンタクトジャグラーなので、私とは全然やってる系統が違うんだけど、シンプルに「勝てねえ〜〜〜」って思いました。いや勝とうとか思うことがおこがましい。


中西みみず「404 Not Found」

正確には、中西みみず演出、染谷樹出演。大量のノートパソコンを使った、かなり実験的なルーチン。
樹さんがパソコンを色んなところにストールしつつでたらめに入力して、それが真ん中のモニターに映し出され、読み上げられる。やってることはシンプルなんだけど、目が離せなくなる。
途中でパソコンを積むんだけど、天井から伸びたケーブルには届かなくて、結局全部倒して壊してしまう。あと少しなのに。人生という感じがする。壊したパソコンの上を歩くのも、なんか、儚い。もう電源はつかない、もう見つけられない。
affareの木枠でも思ったけど、みみずさんって絵になるルーチンが上手だなって思う。すごい。


focus「対岸の人魚」

土日のみの出演。関矢さんとはRoom Kidsで一緒だから時々会ってるんだけど、いつも撮影してて、ジャグリングしてるとこ観るのは初めてだったので、結構楽しみにしてた。
最初にディアボロを回す野原くんと、アナログ時計を持って座る関矢さん。ナレーションで流れる、猫の話と、生き物の寿命の話。よく分からなかったけど、生命と時間の話が軸なんだろうなとぼんやり思った。
途中で、椅子が倒れて、話の展開が変わって、気が付いたら関矢さんは猫になっていたし、野原くんは飼い主(?)になっていた。ずっと椅子とディアボロと時計で何かを作ろうとする野原くんとそれを邪魔する関矢さん。完成寸前で壊されるのを繰り返す様が、狂気だった。最後は時計を踏んで壊してしまう。そして破片を持って椅子の上に立ち、暗転して終わる。猫は死んでしまったのかな。仁さんと似たようで違う終わり方なのが、よかった。
関矢さんが「生きてる」って思った。目が普段と違う。強い。あとディアボロがうまい。野原くんもずっと3ミル回し続けられるの、うまい…


福井裕孝「otomodama」

『仮想の観客へ向けてボール《otomodama》の実演販売をやっている様子』を観ている、という二重構造な演目。かなり不思議。実際に観ている我々に向かって話しかけていないので、時々「もっと前の方でご覧ください」「詳しくはパンフレットに」などのセリフに違和感を覚える。お客さんに手渡す動きをするけど誰もいないからそのまま床へポテッと落ちるところも。でもそこが面白い。
otomodamaのキャッチフレーズは"ジャグリングをしていないときに使うジャグリングボール"。その名の通り、実は本編中、全くジャグリングをしていない。代わりに全部マイムが行われている。実際のotomodama使用イメージの部分も全部マイム。
出かけるときに、アクセサリーみたいな感じでどの色にするか悩んでるの可愛い。
途中、客席にボールが回ってきたので、実際に触ってみた。すべすべ。流石「ウルトラスエード」。あとちっちゃかった。
私はクリスタルボールのことが大好きで、よく一緒に寝たりしてる(実際は布団の上で練習してそのまま片付けてない)ので、ジャグリングをする/されるだけじゃない、道具との関係の提案はすごく自分の考えにマッチしてるなと思いました。あと、自分もTシャツ作ったりしてるから「売る」ということが身近に感じた。
終演後にすぐ注文できるのも、実演販売の醍醐味って感じでよかった。


Room Kids & パ技ラボ「Magnetic Sea(short)」

るきさんの作品。ずっと制作過程は知っていたのだけど、中之条ビエンナーレ行けなかったし、今回初めてちゃんと観ることができた。
VHSの中身の磁気テープを使って、ジャグリングをしながら、るきさんの体へテープがどんどん絡まっていくという作品。
途中のラジオ音声、SICFでも使ってたけど、どこかで聞いたことのあるような、記憶を想起させるなにか感がよかった。
木曜と土曜で演出が少し変わっていて、どっちもよかった。特に木曜は初回だったのもあって落ち着いている感じ、土曜は吹っ切れたような、少し強い感じがした。
最初と最後に「懐かしい映像」が挟まる演出も素敵だった。使ったビデオテープに記録されていたのかもと感じる、夕焼けや花火、マリオのゲーム画面、などなど。
ラストのテープの海は、照明も相まってすごく綺麗だった!るきさんも含めて全体に映し出される海の絵、エモ〜〜ってなった。

山田さん、まつけんさんもお疲れさまでした
あ、気になった人は1月の単独公演来てね(突然の宣伝)


山村佑理「REACTION RINGS」

私が空転で見てガチ泣きした佑理さんをまた生で見られるなんて(;_;)
前半部分は無音だから、佑理さんの些細な動きの音も、周りの音もよく聞こえた。木曜は犬の鳴き声がめっちゃ聞こえて、佑理さんもそれに反応してて、大笑いした。🐕
土曜は最前に座ってたおじいちゃんがパンフレット凝視してるのに反応して、見終わるまで待ってたの面白かった。佑理さんの素の部分が垣間見えてすごくかわいい。
6点ストール+口、圧巻だった。
音楽始まってからの後半は自由に動き回る佑理さんを観るタイム。かっこいい。自分もああやってボールと仲良くできたら、最高だなと思った。


気が付いたら5000字近くなってて笑った。終わろ。

これまで動画でしか観たことのなかった秘密基地を観劇できて、よかったです。

おまけ。
実は、木曜、当日制作としてちょっとだけお仕事してました。パンフレットに名前あるから探してみてね。
本当に僅かだけど、秘密基地という公演に携わることができて嬉しいです。みみずさん、制作の皆さんをはじめとするスタッフの皆さん、ありがとうございました!楽しかったです!

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