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好調と謳われている「いきなり!ステーキ」、企業分析したら意外とピンチだった話(2)#マーケティングトレース

記事に目を通して頂きまして、誠にありがとうございます。

こんにちは!そうです。

前回と同じことを書いて申し訳ないですが、本当に「スキ」が必要なんです。ワンタップ1秒で終わるので、お願いします。
泣いて喜びます。

noteのアカウントから「スキ」をしてくれた方々、フォローさせていただきます。

さぁ、始めましょう!

今回は、前回の記事の続きを書いていきます。
簡単に前回の記事をおさらいすると、

いきなりステーキ最近店舗数が大幅に増えたし絶好調だったよね

基本情報を抑えて、財務諸表を見てみよう

特別損失がめっちゃ多い、なんで?

海外展開がうまくいっていない。国内は?

国内も全体売り上げは上がっているけど、既存店舗の売り上げは芳しくない

ちょっとピンチじゃない?

という流れでした。これ確認していただいた方は、わざわざ前回の記事を全部読まなくても平気です!(「スキ」がまだな方はご一読とハートをワンタップしてくれると嬉しいです。ダブルタップはいけません。)

そこで、今回は、「なぜ海外で失敗したのか?」について考えていきます。
 流れとしては、

①国内で「いきなり!ステーキ事業」が急速に拡大した理由
②なぜ「いきなり!ステーキ事業」は海外で失敗したのか

の2本立てでいきます!
このあたりから、発信も難しくなっていきそうですが、気合入れて書いていきますよ!!

まだまだ知識が浅いので、もし「ここ間違ってない?」という箇所があればフィードバックを頂けると泣いて喜びます。(泣きすぎ)

出来るだけ分かり易い記事を目指していきますので、お付き合いください!
それでは始めます!!

①「いきなり!ステーキ事業」が急速に拡大した理由

「おいおい、お前最初にいきなり!ステーキはちょっとピンチじゃない?とか言ってたじゃねぇか!!」

と怒られそうですが、

大前提、めちゃめちゃうまくいってた事業

去年の財務諸表的は少しピンチだよね

の流れです。分かりづらくてすみません。

2013年12月に1号店を銀座に出店したが、破格の値段で本格的なステーキが食べられると評判になり、たちまち店舗網を拡大した。スタートから1年後の2014年12月には30店舗に、2015年には77店舗に、2016年には115店舗まで増えた。2017年に入っても出店ペースは衰えず、9月末時点では155店舗となっている。
2016年度のいきなりステーキの部門売上高は141億円で、すでに全社的な売上高の6割を超えている。いきなりステーキは開始からわずか3年で同社の大黒柱となった。

引用元

上記の記事のように日本では大成功を収めている事業です。

海外でうまくいかなかった理由と比較する為にもここでしっかりと、なぜ日本で「ここまでの拡大が出来たのか」をはっきりさせたいと思います。


「いきなり!ステーキ事業」のビジネスモデル

「いきなり!ステーキ事業」のコンセプトは、「俺のイタリアン」等で知られる俺のシリーズから生まれたと言われています。

「ん?ドゆこと?」と思われるかもしれませんが、順番に説明します。

こちら前回の投稿にも載せた資料になっているのですが、
注目して頂きたいポイントは、

2018年通期の
売上高:63,509
売上原価:36,275

(単位:百万円)

です。なんと原価率50%を超えています。
一般的に飲食店の原価率は30%が目安だと言われていますので、かなり高い原価率になります。

これは消費者にとっては有難いですが、ビジネスとして利率はあまりよくありません。
ここで先ほど言った通り「いきなり!ステーキ事業」は、俺のシリーズのようにビジネスを考えた点がポイントです。
どのように考えたかというと、

入店→退店までをトータル的に考えたビジネスモデルを展開しているという事。

「いきなり!ステーキ事業」の場合、店舗を立ち食い形式にする事により、「回転率を高める」、またメニューはあまり増やさずに従業員の負担を減らすことで「従業員の数を減らす」事を行っています。

つまり、

「原価率を高めて本格的な料理」は提供しつつも立食形式にすることで「回転率を上げる・従業員を減らすこと」で、利益を上げています。


4P分析

4P分析とは、どんな製品(Product)を、いくら(Price)で、どこで(Place)、どのように(Promotion)して売るかといったマーケティングにおける4つの視点を組み合わせた企業戦略を策定するための分析手法です。

引用元

この4P分析を用いて、「いきなり!ステーキ事業」の強みや特徴を明確にしていこうと思います。

・売り物(Product)
→なにはともあれ、これは「本格的なステーキ」でしょう!
 ヒレステーキやリブロースステーキ、黒毛和牛サーロインステーキ
 等、本格的なステーキが並びます。
 メニューを見てみたい方はこちら

・いくら(Price)
→いきなりステーキは値段がお手頃なのも大きな特徴の1つです。
 ランチメニューは、よりリーズナブルで、
 ワイルドステーキ(300g)、ライス、サラダ、スープ付き:1,350円
 ワイルドハンバーグ(300g)、上記と同じセット:1000円

「値段がお手頃」これもすごく大切です!

 あと、だいたい300gからという大きさからおなかいっぱいお肉を食べられますね。

・どこで(Place)
→東京を中心に全国に展開しており、全店で397店舗あります。(2018年12月末)

 カウンターで立ったまま食べるスタイル。テーブル席よりも収容人数が多く、顧客の回転が速いです。
滞在時間はだいたい20~30分(提供時間が早い事も伺えます)

・どのように(Promotion)
→肉マイレージカードを使い、食べた分量事に「マイル」が貯まる仕組みにしています。カードのランクは食べた量で変わり、受けれる特典も変わっていく仕組みです。
月間で食べた量などをランキング化していて、ゲーム感覚でほかの顧客と競う仕組みになっています。
詳しい説明についてはこちら

以上から4つのPで分析してみました。
ここから僕が感じた「いきなり!ステーキ事業」の強みは、
「お手頃な価格で本格的なステーキをすぐに食べれる」です。

・この強みがステーキ文化がない日本人の一種の文化になった
・立ち食い蕎麦や俺のシリーズでも見られるように「素早く食べてさっと出る」という行動に抵抗感、違和感がなかった
・肉マイレージカードでリピーターを獲得した

この3点がポイントとなり、ここまでの拡大を見せたのではないかと僕は考えました。


②なぜ「いきなり!ステーキ事業」は海外で失敗したのか

さて、半分まできました!もうすぐです!!

まずは、子会社「Kuni's Corporation」ついて調べてみました。すると、アメリカのデラウエア州にあり、下の画像にもある通り「米国での店舗拡大」をしようとしていたことが分かります。

つまり、「いきなり!ステーキ事業」は、アメリカでの拡大に大きく失敗したという事になります。

「日本でうまくいったのになぜアメリカでうまくいかなかったのか?」について調べると、以下のようなことが分かりました。

2018年決算説明会の動画で、

「日本との文化の違いに苦しんだ」というニュアンスと取れる発言をされていました。
そこで、社長のインタビュー記事を拝見すると、より詳しくこのような事が書かれていました。

アメリカは、バーのカウンターで立ってお酒を飲む文化はあるけれど、ステーキというアイテムを食べるときにはやっぱりイスに座って食べた方がいい、という意見をいただきました。少数ですが「イスがないと行きたくない」という声もありました。商売をする上で、そのような意見は少数でも無視はできません。

また、1号店をオープンして顧客の反応を見ながら改善した点はありますか?という質問に対して、

この1年で、日本とアメリカではステーキに対する考え方がずいぶん違うことがわかりました。(中略)アメリカでは、ステーキの食文化は成熟している。したがって我々は特徴づけないと、ただステーキを提供するだけでは顧客は飛びついてきません。今後も「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」という日本のホスピタリティー、フロム・ジャパンのDNAは崩さないようにしつつ、アメリカ人がステーキを食べに行くときにハイテンションになるよう喜びを満たすことが必要だと思っています。

つまり外食に関する考え方がそもそも違うという事です。
このあたりを整理して、ポイントを洗い出すと、

・「立食」という形があまり受け入れられなかった事
・強みにしていた「本格的なステーキ」は、ステーキ文化の熟成したアメリカでは強みにならなかった事

だと思います。

これって、かなり深刻な問題ではないでしょうか?

「原価率を上げて強みとして出していた「本格的なステーキ」が特に魅力的に見えず、利益の為に回転率を上げる立食のビジネスモデルが否定された。」

ここにアメリカでうまく展開できなかった理由が詰まっていると僕は感じました。

また、この記事の続きには、このようなやり取りもありました。

店舗の位置を見ると、チェルシー地区とタイムズスクエア地区で店舗同士が近くにありますが、何か理由はありますか。
紹介された場所を選んだだけで、あまり根拠はないんですよ。今年中に出す店舗の場所はもう決まっていて、今後もマンハッタンのミッドタウンが中心となり、一部ダウンタウン(ウェストビレッジ)も含みます。そのうち1店舗はベンジャミン・ステーキハウスの隣です。

個人的にはかなり衝撃だったのですが、店舗の立地については「紹介された場所を選んだだけ」みたいです。しかも隣がステーキ屋さんです!!(笑)

「マーケティング自体をしていなかったのか、もしくはマーケティングが甘かった」というのもアメリカでの拡大失敗の大きな理由になりそうです。

インタビュー記事はこちら

以上から今回の記事を簡単にまとめます!

日本では、
本格的なステーキを手軽に食べられる強みがはまり、事業が成功した。


アメリカでは、
本格的なステーキは強みにならず、立食が受け入れられない
・マーケティング自体が甘かった可能性

によって失敗した。

という事だと僕は考えました。

最後に

少し長めの記事になってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は、「今後の展望について」と、「自分だったらどのような方法で売り上げを上げるか」について発信していきます。

次回で最終作になりますので、読んでいただけると幸いです。

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!


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