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個性と呼びたい中指

久々にグラベルライドに行った。

経験のない道は、どこまでも続くかのような錯覚を起こし、繰り返し走る者を魅了する。絶えず変わる路面に「認知・判断・行動」の3原則を駆使し、タイヤにストレスを掛けないようラインを選びトレースしていく。
荷重・抜重もしかりだ。
一瞬でも気を抜けばタイヤは路面の石に削られ潰され、生命線のエアを抜く。行く末はパンクだ。

日本の地形上、どうしても不整地路があるのは山岳地域が多い。故に良質なグラベルと言うものを走ろうと思うと、それなりの標高を登ることを強いられる。今回もそうだった。

20%に迫る急斜面
ギアは見栄と本音の狭間

ルート序盤である為に体力的な不安はないが、ロー側30T程度しか身に着けいていないリヤスプロケットは、フロントがダブルであろうとも20%越えの斜面にはそれ相応のパワーっ!が必要となる。
現代のコンポーネントは11-34Tなんてラインナップが石を投げれば当たるぐらいある為、機材を選択するのは正解と言えよう。

私は前述の通りギア足らずで踏んで解決したが、右手の中指は存在しないローギアを探すため、Di2のスイッチを虚しく空打ちするばかり。

silky gravelを体現している路面

登り切ってしまえば極上のグラベルライドを堪能するばかり。MTBでは物足りないと思うジープロードも32cを装着した足元と、絶対的な制動力とコントローラブルなフレームジオメトリーのおかげで快適そのもの。
制動力はあればいいってものじゃない。決して止まるものではなく、速度をコントロールする目的で使用するのだ。
進入するコーナーに対し適正速度まで減速してくれれば、制動力としては十二分となる。それを受け止めるフレームの剛性と拡張性、そして所有欲。

「自分のバイクがイケてる」と思うのは至極当然

グラベル系のバイクと一括りに言ってしまうのは少々乱暴ではあるが、太めのタイヤ(42c程度)まで履けるフレームクリアランスを持てるバイクであれば、乗り手の個性も出やすいと感じる。
TdFを走るロードバイクは無駄をそぎ落とし一線級のレースバイクと言うのは擦り切られた表現だろうが、あれは美しさと共に乗り手の色が見えにくいと感じる。
その点、オールロードは乗り手の遊び心が前面に出ている。当たり前だが、レースを目的としていない為、そもそも比較するべき対象ではないのは、理解している。
その個性を見るのが私は好きである。

オーナーの個性の化身

良い・悪いの話じゃない。そのバイクこそが乗り手の写し鏡であり、個性の象徴なんだと思い、眺めるのも一興ではなかろうか。

それを求めて、また山に行く。

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