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真夏の浜の夢

小雨が舞う横浜は桜木町駅に降り立ったのは正午の12時。
目的地は”ハマスタ”こと横浜スタジアム。最寄り駅は一駅先の関内だが、試合前に咽ぶような湿度と暑さから逃げるように、馬車道のビアスタンドへ行く。鬼門という言葉がピッタリの試合を左右する雨雲を眺めながら、さわやかな麦酒を喉に流し込む。


中日ドラゴンズ 2 - 2 横浜DeNAベイスターズ
勝利投手 横浜 なし
敗戦投手 中日 なし


交流戦期間中に西武ライオンズとの試合を観戦する予定だったが、仕事の都合上キャンセルしてしまったので、一か月振りのNPB現地観戦となる。
7月1日(土)、中日が一番勝てないであろう球場、そう横浜スタジアムで行われる3連戦の2戦目。雨上がりのグランドは湿度の温床となりベンチに座っているだけで汗が出てくる初夏を思わせるには十分な気候であった。

ピカチュウヘルメットを被るサイ・ヤング投手

この日は”ポケモンボールパーク ヨコハマ”と銘打って3連戦ポケモンとコラボした企画が数多く用意されていた。ベイスターズ選手の打撃ヘルメットが黄色いネズミのピカチュウであった。
その昔ダイエーホークスが目とくちばしがデザインされたヘルメットを着用していた事を彷彿とさせる上手い演出と感じた。
ただ私はポケモンをやったことは無く、ピカチュウ以外のポケモンもわからないのは惜しい事をしたと思う。知っていたらもっと楽しめたのかもしれない。
DeNAの演出企画者の手腕たるや、南場会長を始めとしたエンタメ軍団として、プロ野球界屈指の手腕を発揮している。

バウワー対メヒア
当たり前だが、どちらも打撃は苦手

横浜の先発はトレバー・バウワー。
言わずと知れた2020年サイ・ヤング賞(NPBで言うところの沢村賞)受賞ピッチャーが今シーズンからベイスターズで投げているという事で、現役サイ・ヤング投手を日本で見られる機会は滅多にない。一度は生で観戦しなくてはいけないと言う謎使命感で横浜までやって来た。
実は以前にも仕事終わりにバウワー先発の報を聞きつけ、仕事終わりにハマスタまで足を運んだが、まさかの2回7失点で降板してしまったバウワー。
到着時にはマウンド上に姿はなく、リリーフの上茶谷の好投だけが印象に残る日であった。
今日は初回からスタンドに腰を下ろし、YouTuber時々野球選手のバウワーの姿を目に焼き付けるためやって来た。
もちろん中日の応援はマストであるため、バウワーの好投を見ながらも要所で中日が点を取り、試合に勝つのが理想だ。
そうハマスタではその展開は奇跡である。
※前日の初戦は中日が勝利している。

好投を見せたメヒア
今後の活躍を期待したい

中日の先発はメヒア。今シーズン途中から中日に合流したパナマ産まれの26歳。メキシコ・ティファアナー3Aシラキュースからやって来た助っ人右腕。WBCでもパナマ代表として初戦で勝利投手となっている。
6/24のヤクルト戦でNPBデビューを果たしたが、4回94球自責点1という評価しにくい成績であったため未知数の選手だ。

初回、大島がバウワーからの初球を叩き2Bヒット、岡林→周平と続きバウワーから1点を取り試合の主導を握る。2回にも続いて1点追加し2-0でゲームは進んでいく。

バウワーは立ち上がりこそ苦しんだが、その後は安定し6回105球自責点1のQS、サイ・ヤング投手の面目は保った形となった。
いっぽう、中日先発メヒアは7回81球自責点2とQSとなるが8回ノーアウトでソトに2Bを打たれたところで降板。中継ぎのエース清水ですら首位横浜(当時)の勢いが停められずこの回2失点(自責点なし)でゲームが降り出しに。

この後のゲーム展開がツラくて、この写真を最後にスコアボードは撮っていない

正直、7回裏のソトに2B打たれるまでは勝てる気がしていた。
初のハマスタ勝利、2023年ペナントシリーズ初の勝利が目の前にちらついていたし、自分も勝利を匂わせる言葉を発していたに違いない。
野球はそんなに甘くない。
一球・一打でゲームの流れが変わることがある。だから野球が好きなんだ。
そんな好きな観点により勝ちが消えたメヒアを残念に思うも、延長12回まである残りイニングに期待をする気持ちもあった。

しかし、2点目を取った2回以降、中日がホームを踏むことは無かった。

まさかのドロー。
負けてはいない、しかし勝てるゲームでもあった。
好投したメヒア、球数がバウワーの半分程度で打者を打ち取る好投により、中継ぎを休ませたかった意図もあったかもしれない。
結果8回もマウンドに上がり、甘く入った球を打たれてしまい同点のきっかけを作ってしまったのだろうか。
だが、悲観ばかりではなく、とても見ごたえのある試合だった。
負けていない、勝ててもいない、だが今シーズン過去見てきた試合よりは何かしら手ごたえのようなものも感じた。
安打数も増えると反して残塁の多さは残念だが、打が少しずつ線になってきているのかもしれない。打線と呼べる日も近いのではないのであろうか。

野球に限らず、スポーツ観戦は現地に限る

前席の2023昇竜ユニを着たおじさん、後ろの私の会話からドラファンと確信し、事あるごとに話やハイタッチを求めて来てくれた。
横浜在住のドラファンだというおじさん、沖縄キャンプまで行きキャップに今年のドラフトメンバーのサインを貰い愛用するドラキチっぷりは尊敬に値する。
「横浜の関根は中日に来ればよかったんだよーなー!」という中日ファンのTwitterに日々現れるツイートと同義を言葉にして話す姿を見て、おじさんのアカウントに遭遇している可能性は高いな……。
と感じずにはいられなかった。

最後に6回表の龍空のプロにあるまじきアホ走塁を私は許さない。
牧の躊躇い送球も、大和のベースカバーもバウワーそりゃマジ切れするわ。
結果、周平からピッチャーゴロを捕球した後に、ファーストのソトに投げず全力で走り、アウトを自ら取りに行くピッチャーを初めて見たかもしれない。

これにて、今シーズン現地観戦が5戦中0勝4敗1分で私の観戦戦績も引き分けを含み絶賛4連敗中。未だ勝ちゲームを見れず。

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