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道頓堀ダイバーズと大蜘蛛弾襄さまのスニーカーを考える

※この記事はこれらのポッドキャストを元に加筆修正を行ったものです。
音声版もよろしくお願い致します。


舞台ヒプノシスマイク(通称:ヒプステ)には、原作キャラクターに勝るとも劣らない個性的なオリジナルキャラクターたちが登場する。

スタイリストの中原幸子氏による衣装を纏う彼らのデザインは素晴らしいの一言。
頭のてっぺんから爪先まで。散りばめられた小物まで。その全てに意味が込めに込められている。無意味なパーツはひとつもない。
その中でも今回はスニーカーに思いを馳せてみたい。なぜか?

ヒプステのオリジナルキャラクターが全員共通で身につけている唯一のアイテムが実はスニーカーなのだ。

日本語ラップをテーマに据えるヒプノシスマイクというコンテンツにおいて、オリジナルキャラ全員にB-BOYファッションの象徴であるスニーカーをチョイスする。
そこにヒップホップへのリスペクトを感じると同時に、相当なこだわりを持って選んでいるのだろうとスニーカー好きとしては考えてしまうのだ。

ヒプステのスニーカー考察も3回目。
今回はTrack.3で登場した道頓堀ダイバーズと糸の会の大蜘蛛弾襄について見ていく。例によって、スニーカーのモデル紹介→解説という流れになる。

3人共VANSのオールドスクールを履いている。
・ハル:黒のチェッカーフラッグ
・ヒロリン:ボルドー
・リョータ:黒をメインカラーに据えセンターには黄色が交じる。黄色部分には「Shit happens」の文字が

Track.3以降での頼もしさとブロマイドでの色気が止まらない小鳥遊ハルが愛用するのはチェッカーフラッグの一足。チェック柄のVANSはVANSと言えばこれ!な代表作であり、スニーカーの王道の内のひとつ。チェッカーフラッグとは、レースなどで終わりを表すために振られる白と黒の柄の旗のこと。道頓堀ダイバーズにおけるハルはツッコミなので、ボケ続けて暴れる2人を止めるという役割からこの柄が選ばれたのではなかろうか。

快活なハスキーボイスで明るくボケまくるヒロリンだが、意外にも足元はボルドーで上品さを感じるチョイス。上品なボルドーを履きながらも、くるぶしから上は短パンに長めの靴下という少年らしい組み合わせを持ってくることで大人っぽくなりすぎないデザインに仕上がっているのは衣装の中原氏のバランス感覚の賜物。ちなみにヒロリンは黒衣装ことBattle of Pride Special Stylingでも短パンだったりする。

ダンス激ウマファッションセンス抜群高校生のリョータが履くのは黒を基調に「Shit happens」の文字が散りばめられた一足。この文字が入ったモデルはVANSから定期的に発売され、スリッポンタイプも存在する。Shit happensは「ツイてない時もあるさ」や「まあしゃあないか」のようなニュアンス。明るく青春を謳歌する彼らにぴったりの言葉。

道頓堀ダイバーズは3人共VANSのオールドスクールで、メーカーだけでなくモデルまで統一されているところに彼らの仲の良さと、H歴でのVANSの流行を感じさせる。VANSの名前の由来は、「ポール・ヴァン・ドレン(創業者)とその仲間たち」からだと言われている。VANSを履く者同士は仲間なのだ。ちなみに堂庵と狐久里もVANSだったり。

また彼らの履くオールドスクールというモデルだが、School=学生という点と、ヒップホップ文化におけるオールドスクールにちなんで選ばれたのではないだろうか。ヒップホップでのオールドスクールとは、文化の黎明期を意味する。道頓堀ダイバーズの3人はまさにこれからH歴において始まっていくキャラクター。ヒプマイの世界には数多くの魅力的な人物が登場するが、そんな彼らの若い頃をイメージして道頓堀ダイバーズはデザインしたと衣装の中原氏は仰っていた。VANSの普遍的モデルであるオールドスクールにここまで意味合いを持たせることができるのは流石。

また、彼らはヒプマイ全体で見てもカラフルな衣装を身にまとっている。これは全てのディビジョンのテーマカラーを合わせたものであるそう。様々な色が混ざった服を着こなす彼らはどんな色にでもなれる=どんな姿にもなれるということの現れなのかもしれない。全てのディビジョンの色を混ぜ合わせた上で、シルエットも、全身の色の配置も、3人でそれぞれ差別化されながらも纏まりがあるデザインに仕上がっているのがプロのこだわりを感じさせる。そこにストリートスタイルのVANSが合わさるのだから、これはもう間違いないセンスだろう。



次に、弾襄さまこと糸の会の大蜘蛛弾襄のスニーカーを見ていこう。
余談だが、弾襄さまは筆者のお気に入りのキャラクターなのでここからはさらに熱が入る。

弾襄さま:NIKE エアジョーダン34 ホワイト/メタリックシルバー
靴の甲部分を覆うようにチェーンがプラスされている。唯一スニーカーに手が加えられているキャラ。さすがは弾襄さま。

弾襄さまがジョーダンを履いている。ダンジョーがジョーダn
彼の履くエアジョーダン34は全体はホワイトのカラーリングで、紐部分を囲うようにプリズム加工されたシルバーが輝く神々しいモデル。かかと部分のNIKEのロゴと履き口のストラップは左右で色が違っており、それぞれ左足がレッド・ピンク・オレンジ・ブラウン、右足がブルー・パープル・グリーン・イエローとなっている。彼の足元には全てのディビジョンのカラーが集結しているのだ。

エアジョーダンといえば知名度も高く、スニーカーヘッズの憧れでもある不朽の名作。今でもその人気は衰えず、新作が発売する際には抽選販売の形式が取られている。弾襄さまも発売日にNIKEの実店舗に並びに行ったのかもしれない。彼の愛用するエアジョーダン34は、大蜘蛛弾襄が発表された時期では最新のモデルだったりする。教祖ではあるが、適度に俗っぽさを感じるのが彼のいいところ。余談だが弾襄さまのモノとは色が違うが、同じモデルをバスケの八村塁選手も使用していた。

スニーカーだけでなく、弾襄さまは衣装やマイク、指先のネイルなど至るところにシルバーが配置されており、未来感や異質さを感じさせる。シルバーといえば言わずと知れた魔除けの意味合いだが、Track.3においてはどちらかと言えば彼が魔の中心であるような。

また、大蜘蛛弾襄といえば神々しい雰囲気のイメージだが、よく見ると手堅くストリートファッションでまとまっているところにも注目したい。正面から見ると、意外にもロンTを着用し、パンツもロールアップすることでくるぶしを見せるスニーカースタイルなのだが、後ろから見ると大きなマントかコートを羽織っているかのようなカリスマ感があり、印象がガラリと変わる。中原氏のファッションマジックが活きるキャラクターデザインである。


ヒプステのスニーカー考察も次でラスト。
次回はD4のスタイルに焦点を当てていきます。
最後までお付き合い頂けると幸いです。

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