※この記事はこちらのポッドキャストを元に加筆修正を行ったものです。
音声版もよろしくお願い致します。

舞台ヒプノシスマイク（通称：ヒプステ）には、原作キャラクターに勝るとも劣らない個性的なオリジナルキャラクターたちが登場する。

スタイリストの中原幸子氏による衣装を纏う彼らのデザインは素晴らしいの一言。
頭のてっぺんから爪先まで。散りばめられた小物まで。その全てに意味が込めに込められている。無意味なパーツはひとつもない。
その中でも今回はスニーカーに思いを馳せてみたい。なぜか？

ヒプステのオリジナルキャラクターが全員共通で身につけている唯一のアイテムが実はスニーカーなのだ。

日本語ラップをテーマに据えるヒプノシスマイクというコンテンツにおいて、オリジナルキャラ全員にB-BOYファッションの象徴であるスニーカーをチョイスする。
そこにヒップホップへのリスペクトを感じると同時に、相当なこだわりを持って選んでいるのだろうとスニーカー好きとしては考えてしまうのだ。

前回のアカバネ・ディビジョンに続き、今度はTrack.2で登場したアサクサ・ディビジョンのスニーカー及び衣装について考察してみたい。
例によって、まずは彼らの愛用するスニーカーのモデルをまとめてみる。

雷の門番を自称する甚八なので、直球でサンダーと付くモデルをチョイスしたのだろうか。筆者はスニーカーをある程度齧ってはいるが、確かにこのモデル以外で雷のイメージのものは簡単には思いつかない。余談だが、鬼瓦ボンバーズは元々草野球のチームであり、衣装も野球を意識したデザインだが、PUMAというブランド自体はどちらかと言えばサッカーのイメージが強いところが面白い。

マサさんこと正宗が愛用するジョーダンワイノットゼロ2は、後に大蜘蛛弾襄も履くこととなるジョーダンシリーズの派生形。このモデルを調べてみると、「家族で履けるフルサイズ展開」という紹介が。酒を囲めばお前も兄弟と歌う、人懐っこい性格のマサさんのキャラクター性とぴったりである。マサさんを慕う下町の仲間たちも同じ型のスニーカーを履いているのかもしれない。

アサクサのヤングガンこと道四郎のスニーカーはエアフォースワンのミッド。ハイカットほどではないが、ローカットよりは高さがあるという絶妙なサイズ感で独特の存在感を醸し出す。エアフォースワンといえば、スニーカーとしてもストリートファッションとしてもこれ以上無いほどの王道モデルである。一スニーカーファンとしてヒプステの世界に採用されているのが嬉しい限り。
前回のアカバネの回でも触れたのだが、衣装担当の中原氏はあえてオリジナルキャラたちのスニーカーを汚したままにしておくことで、彼らがヒプステの世界で生きている様を表現している。この工夫が特によく出ているのが道四郎の履くエアフォースワン。喧嘩っ早い彼の生き様は足元から刻まれているのだ。

アサクサ・ディビジョンはオリジナルキャラの中で唯一、チーム内でスニーカーの色が統一されており、彼らの結束力の強さを感じさせる。服装も性格もバラバラな3人だが、足元が同じ色なのは彼らの向いている方向が同じであることを思わせる。

サーモンピンクのカラーリングは彼らの守るアサクサに停車する都営浅草線の色からだろうか。ヒプマイのディビジョンごとのテーマカラーは、その街を走る電車からも取られているのでは？と個人的には思っている。肌色に近いピンクはどんな色にもマッチする。彼らのとっつきやすい性格を色の馴染みやすさで表している……というのは考え過ぎか。

また、3人共所謂ダッドスニーカーと呼ばれる大きめのスニーカーを履いているところにも注目したい。アサクサの男たちは足元からどっしりと構えているのだ。
全員がヒプステらしい三者三様の重ね着でありながら、コーディネートはスポーツミックスなので全体で見ると重くは見えないという絶妙なバランスなのが流石と言わざるを得ない。

次回は道頓堀ダイバーズのスニーカーを考察します。
またお付き合い頂けますと幸いです。