見出し画像

素材の学校

                            森友見子

 素材の学校の朝は、各授業を担当する先生たちのワークショップの準備から始まります。
 受付や黒板の文字、2つのテントの日よけ布やモビールを下げ、机を黄色と緑の布で覆い椅子を並べる。バックヤードスペースでは、次々スムーズに前の時間と交代できるように道具や材料を準備しつつ、手を動かしながらの楽しいおしゃべりも。
 普段は自分の作品制作で忙しい中、子どもたちに作る楽しさを伝えたい!そう惜しみなく準備する先生方、子どもたち集まるかな?上手に教えられるかな?緊張とワクワクの混ざり合った朝のひと時です。

画像1

 子どもたちの作る姿はいつ見ても良いなと思います。小さな手も真剣なまなざしも。
 できあがった作品も素敵で、思わず写真を撮らずにはいられません。作るということはこんなにも楽しく美しいことなのかと。

 私は自分の担当する紙の時間以外はほぼ受付にいます。受付でのエピソードはたくさんあります。毎年楽しみにおうちの方や兄弟と並んで待ってくれる子。去年の作品を胸に飾ってきてくれる子。
 説明を聞いてからまっすぐな目でこれを作りたいと選ぶ決断力。もう始まっている授業に、後10分でもいいから参加したいという子、恥ずかしそうに来てくれる男の子。
 ふわふわの綿の実を触って、これを作りたいという子。。私はできあがったら見せてね、と子供達にお願いします。授業の後、満足した表情と小さな手のひらの上には可愛い作品が乗っています。

画像2

 「工房からの風」には、素敵な出展作家とその作品を見るために来場者が集まります。
 お家の方と一緒にくる子どもたちもたくさんいます。ワークショップに参加することを目的に来てくれる方も増えてきたように思います。
 素材の学校は、光り輝く出展作家の背中と作品を見た子どもたちが、何かを作るって楽しいことだと知り、作品作りを体験してみる、そんな種まきのような場でありたいと思っています。
 そしていつか出展作家としてこの場に戻ってきてほしい、そういう姿を見てみたいなと。
 それが素材の学校を続けている私の夢でもあり、希望です。

 近年では出展作家のお子さんも参加してくださり嬉しく思います。また自主的に先生をやってみたいと言ってくださる作家の方も増え、何かが確実にこの場から育っているな、と嬉しく思っています。

画像3


森友見子 再生紙での制作を続ける。
2019年工房からの風にワークショップでの参加。

素材の学校
「工房からの風」の中で、工藝作家が子どもたちに工藝、ものづくりの喜びを伝えるワークショッププログラム。
所謂子ども騙しではなく、難易度や危険を考慮しながらも本格的に喜んでもらえるプログラムを構築している。

画像4

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?