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読書感想:ベルサイユのばら〜池田理代子バースへの扉を開いちゃったかもしれない

 先日から読み始めたベルサイユのばらですが、本編と外伝全2冊、どちらも一週間で読了しちゃいました。
 流石は傑作と名高いベルばら、とんでもなく面白かったです。
 ベルばらの象徴ともいえるあのオスカルが実は主人公ではなかった、ということは、読んでみないとピンとこなかったと思います。
 ベルばらはマリー・アントワネットに始まり、マリー・アントワネットに終わったわけで、彼女こそがベルばらの真の主人公でした。

 あるいは、ベルサイユのばらとは、「フランス平民階級の終わりなき苦しみの上に咲き誇っていた、それでもなおその美しさだけは否定し得ない薔薇の園の最後の日々」であり、その中でもっとも艶やかに咲き誇っていた薔薇こそがマリー・アントワネットだった、そんな風に見ることもできます。

 またオスカルにしても、中盤で啓蒙思想に開眼し、さらに自らの人生や人格を自らで決めるという意思と実践する様は涙が出るほど雄々しく美しかったです。その意志に従い、勃発した革命に際して民衆側についたオスカルですが、彼女の本質って、あの時代の中にあっても古い騎士道の美学に殉じるというものでしょう。
 なので、あの市街戦でアンドレと時を置かず戦死しなかったとしても、その後の動乱や恐怖政治などをラ・ファイエット侯ら革命第一世代と共に生き延びることができたとしても、その後に成立する近代市民社会の中では居場所を見つけられなかったんじゃないかなと思えました。

 ついでに言えば、オスカルの領地にあった「旅館・お食事処 アラス」にはたまげました。オスカルん家の領地は軽井沢とか南アルプス市にでもあるんでしょうかね。また、急に親父どのが縁談パーティを進めようとしたら、「結婚反対!」と書かれたプラカードを担いでパーティ会場に乗り込んできた自分のファンクラブの女の子にコナかけはじめたときは、「人間、ガチでキレてヤケを起こすとここまでやるんだなあ」と、妙な関心を抱きました。

 で、調べてみたところ、あの「エロイカ」はベルばらの続編的な作品でもあるそうです。

 あの荒くれ兵士のアランやジャーナリストにして怪盗“黒い騎士”たるベルナール、そしてオスカルを愛した人のひとりであるロザリーのその後も語られるとなると、こちらも読んでみたくなります。

 またさらに、そのエロイカにはポーランド独立の志士たるユゼフ・ポニャトフスキも登場しますし、そのポニャトフスキを主人公にした天の涯までという作品もあります。

 もしかしたら、てんぐは池田理代子バースへの扉を開けちゃったのかなあ。

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