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イリヤ クーリック - アラジン -

THE 美少年がここにいます。
イリヤを形容するのに〝イケメン″ では陳腐です。
美、美ですよ。ナルキッソスも真っ青の造形美です。

18歳のこの頃は美しさが最も神々しかった。
まだ少年、という感じだったからかもしれません。不可侵!というか…。
一年後、彼はまた違った魅力を携えてきます。それはそれでまたいい…。とりあえずイリヤだったらなんでもいい…。

Centenial on iceという特別な国際大会(何の100周年記念なんだ?よくわからなかった。ジョンソン&ジョンソンがスポンサー??)で、特に素晴らしい演技を披露します。
この時の台乗りはですね、金:彫刻美イリヤクーリック(ほんとに同じ人間と思えない美)銀:ふくふくヤグディン(ほんとに可愛い)銅:優しげウルマノフ(ほんとにトムクルーズと薬丸さんを足して2で割ったような…)…という、豪華すぎるメンバーでした。みんなオリンピック金メダリストやん。
みんなロシアだけど、一応国際大会なので。。サンクトかどこかロシアでやってたけど、ロシアだけの大会じゃないです。

一応これがシニア一年目になるのでしょうか?
いや、前年ジュニアでやってて、欧州選手権からシニアに参戦したんですよね。シニアデビューで優勝しちゃうというセンセーショナルさで。じゃあ一年と半年目??
今でこそデビューで優勝は特に女子でよくある話ですが、旧採点方式では新人はとにもかくにも点数が抑えられがちで、そうそう勝てるもんじゃなかったんですよー(知ったかぶり)それを跳ね除けて勝っちゃうのです。ジュニアのワールドチャンピオンであり、その非凡な才能と実力はよく知られているところではありましたが、それでも難しい偉業だったのです。
ま,よくわからんが、このシーズンが一年目ってことにします。

まー、ジャンプがこれでもかと綺麗に決まること!
このシーズンでしたでしょうか。ボイタノがイリヤクーリックのジャンプを神の如くと評したのは。
※多回転すれば神を名乗れるってもんじゃないと思う…。神々しさがないとね!

3Aの素晴らしさが目立ちますが、ルッツもこれまた素晴らしい。お手本中のお手本ルッツです。

アクセル得意な人ってルッツも得意な気がします。
…というか、アクセルとルッツが得意ってことは、もうジャンプが得意ってことです。(自分で言っててよくわからないけれども)

イリヤはトーループも得意だし、ループもふわっとまぁキレイ! サルコウ、フリップも当然良い。ルッツが得意な人特有のリップ気味ではありますが、いいんじゃない? ルッツのアウトエッジ踏切は神だし、それに寄ったとしてもフリップも綺麗だもの。

このシーズンはアマチュア時代では最も生き生きと演技していたように思います。この次のシーズン、少し雰囲気が陰に入るんですよね。
タラソワさんがロマン派なら、ヴィクトールさんは古典派のような…。タラソワさんの振り付けですが、可愛らしくも甘さは控えめで正統派。ここはヴィクトールさんの意向が強いように感じられます。

ヴィクトールさんはもともと早くジュニアに上がっても仕方がない、良いことはない…という信念をお持ちで、イリヤは実際無理強いしてシニアの欧州選手権に出たようです。出場するのにコーチの承認は必須でしょうから説得できたのでしょうけど、この考え方の違いがヴィクトールさんの元を去る一因になったようですね。ヴィクトールさんは才能の塊であるイリヤを丁寧にじっくり、競技選手として息長く育てたかったのだと思います。(あぁ、染みる…)ただ、ヴィクトールさんの元を去った要因については周りが言っているだけで、イリヤは言及していません、多分。ヴィクトールさんは、彼はアメリカに行くことに憧れがあったとしています。商業的な観点があったとする…とも。また、この頃のイリヤ少年はフィギュアの実力並に気難しい子とも言われていて、ヴィクトールさんは後方でこっそり支援は続けながら、タラソワさんに彼をよろしく頼むと言ったとか言わなかったとか。しかしながら、当時保護者が介入することなくはじめから自律してフィギュアに取り組めていたのはこの気難しイリヤだけだったそうです。(ヴィクトールさんでもなく、タラソワさんでもないそれなりに有名なロシアのコーチのインタビューより)
スルツカヤも、ヤグも、プルも、みんな親がらみのゴタゴタはいろいろあったそうで…、まぁむしろそれが普通な気もしますけれども。。

イリヤの心を推し量ることはできませんが、同じクラブ内で出場権を争うなども耐え難いものだったそうな…。確かに彼には競争が嫌い、というイメージがありますね。オリンピックシーズンも試練だったと。。

彼の後の行動をみても、とにかく早くシニアにいって実績作って競技生活から抜け出したかったのかもしれません。現役を続けて4回転地獄で身体が蝕まれるのを避けたかったのかもしれません。長身には特につらい。

このシーズンの時に有香さんが、イリヤとショーで一緒になることがあって、イリヤはショーに出られるようになって、凄く楽しくて仕方がないようだ…と話されていたのを聞きました…。何よりプロに…という想いは早くからあったのでしょうね。ショーでは本当に楽しそうに滑ってますもんね。わたしは無愛想で淡々と滑るイリヤが好きなんですけどね。

演技が終わった直後、可愛らしい笑顔を振り撒きますが、キスクラと表彰式では冷めています。普通もう少し喜ぶと思うんだけどね。そんな冷めたイリヤがとっても素敵。THE イリヤスタンダードです。

世界選手権でも素晴らしい出来だったのに、確かコンビネーションのジャンプを一つつけ忘れて2位でした。この時のキスクラでは軽くちぇっ…とおどけますが、何だかそんなに悔しくなさそう…。もともとあまり順位も気にしないタチ? 真剣に怖いくらいボードを見つめるガリンド選手と対照的ですぞ。
…いや、そんなわけはないですよね。次の年、今度こそ優勝をと期待された97年の世界選手権(ファウストとロミオのプログラム)で、5位に終わったクーリック。ランビエールは会場の駐車場で彼を見かけてサインをお願いしたかったが、彼は深い失意に満ちていてとてもできなかったと…。
パブリックでは平気そうにしてるだけ。苦しまないわけがない。

ついついオリンピックの時のクールで美貌のPerfect manぶりからうっかり神か超人を想像してしまいますが、気分屋で人間臭くてちょっと抜けたところもあって、愉快でサービス精神旺盛で、機転が利くいろいろを知るたびに、胸がいっぱいになります。

でも基本、誰もが羨む才能をもっていながら、もしかしてあんまり本人にその自覚がなかったりするような??(あ、美しさについても)
天才ってそんなものなのかもね。

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