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歩み寄り、巻き込む。島の保育園で学んだ安心のつくり方-五島列島リモートワーク実験4日目-

GW明け、家族3人で滞在した五島列島、福江島。

今回のプロジェクト中、五島市役所のみなさんと保育園の先生方の協力で、息子は3日間一時保育という形で島の保育園に通わせてもらうことになった。

保育園の手続きなどは事前に電話とメールで行い、もし可能であれば登園の前にお子さんと見学に来て下さいと言われて島に着いたその日に息子とレンタルした電動自転車に乗って保育園へ。

その保育園はもともと高校があった敷地に新しく建てられたそうで、学童とこども園が併設されていた。
玄関をあけると広々としたホールと高い天井。園舎の両側にそれぞれに(つまり2つの)ひろーーーい園庭がある。

そんな環境の中で子どもたちはのびのびと遊んでいた。

事務所で先生とお話をして、明日からの教室を見にいってみる?と聞かれてうなずく息子。

教室サイズの幅広い廊下を歩いて一番奥にあるぞう組さんに向かう。

先生や子どもたちが通りすがるたびに、園長先生はその先生や子どもに声をかけ「明日からぞう組さんに通うともくんだよ」と息子のことを紹介してくれる。

帰り際には「あした一緒に遊べるのをまってるよ」と、息子に声をかけてくれ、翌日の初めての登園日にも、息子をみつけると「よくきたね!」と園長先生が声をかけてくれ、担任の先生はクラスの子どもたちに「きのうはなした、新しいおともだちだよ!」と紹介してくれた。

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ここでもまた、五島の「人を受け入れる」スタンスにすごいなと思わされた。

コミュニティに新しいメンバーが入ってくるとき、どんな風に受け入れるだろう?

例えば会社だったら、新しいメンバーに対して新入社員研修的なものをして会社のルールだったり、仕事をするために必要な知識やツールを”教える”ことが多いと思う。

これはつまり、①あとから入ってくる人は知らないことが多いから必要なことを教えて既存のメンバーに早く追いついてもらうというアプローチだ。既存メンバーの立ち位置は変わらない。

そして、五島の保育園の先生がとても丁寧に行ってくれていたのがその反対で、新しいメンバーを受け入れる側の既存のメンバーに対してのものだった。

受け入れる側に、事前に新しいメンバーが入ることを伝える。全体で、個別で、顔を合わせるタイミングで、何度も伝えてくれた。そして、よろしくねとケアを依頼してくれていた。

これは、②コミュニティの既存のメンバーから新しいメンバーに対して歩み寄り迎え入れ、巻き込むようなアプローチだ。

もちろんこの2つのアプローチはどちらも必要で、どっちが大事というものではない。

だけど、ふだん新しいメンバーを受け入れるとき、新しいメンバーに対して早くキャッチアップしてもらう方に重心が置きがちだったかもなぁと気がついた。

同時にこの2つはセットで行うのだけど、②の既存メンバーからの関わりをつくった上で①の新しいメンバーへのインプットを行うとよいのだろうなと思った。

我が家の息子の場合、先生や子どもたちが先に歩み寄ってきてくれて最低限の安心が先に確保されたことで、リュックの置き場所や朝のお支度、東京の保育園とは違う島の保育園のルールにも、親の想像よりもはやく慣れていった。

毎日、給食やお昼寝の時間以外はほぼ外遊び。保育園の帰り道は、園庭でたくさん捕まえたバッタやてんとう虫の話をたくさんしてくれた。

そして登園最終日、ガラス張りの教室の外からそっと覗いてみるとなにやら帰りの会らしきものの途中。
先生に呼ばれて息子が前に立つと、なんと3日間の写真を貼った大きなカードをプレゼントされて、「またいつでも島に遊びにきてね」と声をかけられていた。

今回のリモートワーク実験の中で、唯一心配をしていたのが息子が保育園に通えるか?ということだった。

生後6ヶ月で保育園に通い始めたとき、園で断固としてミルクを飲まず預けて2時間で呼び出されたり、1歳で転園してからも離乳食を食べず、食べるようになってからも最初は自分が安心できる先生からしか食べなかった息子。

5歳になった今でも新しい場所はそんなに得意な方ではない。

だから先生からもし泣いてしまったりしたら早めに迎えてきてもらいたいと言われたときには電話かかってくるかもなぁと思っていた。

そんな息子がなんと一度も泣くこともぐずることもなく、3日間保育園に通うのをとても楽しみにしていて、最後の日にはまだ帰りたくないと言っていいた。

一時保育という新しい環境で緊張しながら島の子どもたちと遊んでいる息子はたくましくて、先生方が教えてくれる息子の様子はのびのびと楽しそうで、なんだか息子の成長を感じる毎日で。

五島市のみなさん、保育園の先生方、改めてありがとうございました!


◎五島列島リモートワーク実験レポート◎

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