「想像できる」という強さ。
東京の大学に進学するまで、地方で生まれ育ったわたしにとって東京でいちばん馴染みのある場所は千駄ヶ谷の「東京体育館」だった。
毎年12月に行われるバスケの全国高校選抜大会、ウィンターカップ。
負ければ3年生が引退する、チームの集大成ともいえる特別な大会。
その会場である。(去年は改修で別会場だったけどね)
いまでも千駄ヶ谷に行くと、試合がはじまる緊張感や、先輩たちの涙、3年生最後の試合が終わったときの無念さを思い出してちょっとせつなくなる。
東京体育館に心から幸せな気持ちを思い出せるのは、最後まで勝ち抜いたチームだけなのだ。
高校3年間、携帯禁止の寮生活、週6の練習、家に帰れるのは年に2回、まさにバスケ漬けだった。
日本一になろう。
それを目指して練習し、毎年12月に東京体育館に行ったけど、3年間優勝することはできなかった。
卒業してから2年後。
東京体育館で、自分たちが日本一になれなかった理由がすこしわかったような気がした。
その年、後輩たちがはじめてウィンターカップの決勝に残った。
メインアリーナ3つのコートで同時に3試合が行われる東京体育館。
決勝戦はメインコートと呼ばれる1コートの状態で行われる。
そのとき、わたしはそのメインコートのチーム応援席から後輩たちを応援していた。
メインコートのフロアの広さ。満員の観客席から1つのコートに注がれる熱気。
それははじめてみる景色だった。
高校生のとき一生懸命だった。それは間違いない。
だけど、わたしのメインコートで戦うイメージはとても貧弱だったことに卒業して2年たってやっと気が付いたのだ。
そこで戦うイメージがなくては、そこにたどり着くのは難しい。
それからも後輩たちは毎年すこしづつ、すこしづつ、決勝に残ることが増えて、インターハイ、国体、そしてウィンターカップでも日本一になった。
2018年も、3年ぶりにウィンターカップで優勝した。
新しい結果がでるたびに、またひとつ想像するためのピースが増えていく。
トーナメントを最後まで戦い抜く方法、メインコートでの戦い方、優勝するとどんな対応が必要なのかまで。
より具体的によりリアルに想像する力が、チームの強さになっていく。
はじめての公式戦、はじめての県大会、はじめての全国大会。
さかのぼれば、先生がバスケ部をつくってコートもなくグランドの片隅でバスケ部がはじまったときから、すべてがはじめてだったはず。
わたしたちが当たり前に東京体育館に行けていたのも、先輩たちの積み重ねがあったからこそだった。
数えきれないはじめての中で、負けたことも勝ったこともひとつひとつ積み重ねていく。
一進一退、すこしづつでも、経験は確実に力になっていく。
よい報告を聞くたびにバスケ部の、そして先生の積み重ねの歴史を思い、その力強さに何度も勇気をもらうのだ。
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安江先生、ナナさん、選手・スタッフ・チーム関係者のみなさん、優勝おめでとうございます。
先生と岐阜女子の積み重ねの歴史がこれからも新しく塗り直されていくことを楽しみにしています。
卒業して10年以上たちますが、マネージャーとして過ごした高校3年間で積み重ねたことたちは、わたしがさまざまなことに挑戦する土台となって、今もわたしを支えてくれています。
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