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サウジアラビアの記者と皇太子

サウジアラビアの若き皇太子ムハンマド(3
3)その独裁ぶりに昨今批判も出てきていました。

ムハンマド皇太子は去年大胆に舵を切ったのです。2017年11月に突然サウジアラビアの王子や実業家等をサウジアラビアにあるホテルリッツカールトンに逮捕監禁したのです。

その数なんと200名!どうしてこのような事をしたのでしょうか。

逮捕の理由は汚職に絡んだこととされているのですが、それにしても一度に約200名の逮捕監禁はクーデターと言われてもおかしくありません。

サウジアラビアのムハンマド皇太子

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サウジアラビアは一夫多妻制のため王家に沢山の異母兄弟がいるのです。

多数いる王子の中で、自分こそが次期国王だとムハンマド皇太子が内外に向けて宣言したようなものなのです。

去年逮捕監禁された王子は11名を数えました。

しかしその強引な手腕に、ムハンマド皇太子へサウジアラビア国内からも反対の声が上がるようになっていきましたがそこは独裁ですので、表立ってムハンマド皇太子へ異を唱えることは憚られます。どんな目に合うかわかりません。

ところが、そんなこともお構いなく、声を上げてムハンマド皇太子やサウジアラビアの国家としての運営方法に抗議の声を上げていたのが、ジャマル・カショギ氏でした。

トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館で殺害されたジャーナリストのジャマルカショーギ氏。領事館という国の出先機関での殺害事件に世界が震撼している。

ここで領事館について少し説明しますと、大使館が国の外交を請け負うのに対し、領事館はその国に滞在している自国民に対してパスポートを手配したり、結婚や離婚の書類を提出したりと、市役所のような役目をしています。

大使館はその国の首都に置かれますが、領事館は地方都市に置かれるのもその役目の違いがあるからです。

例えば日本にあるアメリカ大使館は東京都港区赤坂にありますが、アメリカ領事館は日本では、札幌、名古屋、大阪、福岡、沖縄の5カ所に置かれています。

今回の事件はトルコ国内にサウジアラビアが置く領事館内で起きました。

2018年10月2日午後1時14分、サウジアラビア領事館に入っていくカショギ氏の映像が捉えられています。そして、それっきり同氏は行方不明になっていました。

ジャマル・カショギ氏

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ジャマルカショギ氏はサウジアラビアのジャーナリストとして、アメリカに滞在し米ワシントンポスト氏に記事を掲載するほどの著名な人物でした。

ある人によるとカショギ氏はトルコの血筋でトルコに親戚も多くいるとのことです。今回のことで海外ではカショギ氏について連日のように報道されており、情報によると

カショギ氏自身、大金持ちであのダイアナ妃と共に暗殺されたドディ・アルファイド氏の叔父にあたるというのです。

ダイアナ妃と共に非業の死を遂げたドディ・アルファイド氏

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調べれば調べるほど、カショギ氏がサウジアラビアとアメリカ両政府の深い部分に絡む人物だということが分かってきました。

そして2018年10月20日、サウジアラビアがジャマルカショギ氏殺害を公式に認めました。そしてそれに関して18名に及ぶ高官等を更迭したと発表しています。

サウジアラビアはあくまでムハンマド皇太子の関与は否定しておりますが、ある人物が当日、領事館の監視カメラに映っていることから、今だにムハンマド皇太子の関与は濃厚だと考える人が多くいます。

その人物とはムハンマド皇太子の護衛担当者でした。皇太子についてよく海外にも同行している人物で極めて皇太子の近くにいる人物です。

ジャマルカショギ氏はトルコ人女性と再婚間近でした。領事館に書類を取りに行ったところ、「まだ用意が出来ないので後日受け取りに来てください」と指示されたそう。

その指示された日が10月2日だったのです。さらに一部の情報によるとその日、領事館の職員は午前中でほぼ全員が帰宅するよう命令され領事館の中には総領事と他数名しかいなかったとも言われているのです。

そして、サウジアラビアから15名の殺害チームが飛行機でトルコ入りしました。飛行機は2便に分かれており、最初の便には9名。残りの人物もすぐ直後にトルコに到着しています。

そして彼らはイスタンブールのサウジアラビア領事館に入館しました。ジャマルカショギ氏を殺害するために。

同氏殺害については、各国のマスメディアがかなり断定的に報道していましたので、殺害でほぼ間違いないだろうというのがターロウの当初からの見方でしたが、10月20日にサウジアラビアが公式に同氏殺害を認めたためそれが確定に変わりました。

そして15名の殺害チームのうち1人が数日前にサウジアラビアで不審な交通事故死を遂げたのです。トルコの報道によると「口封じのために殺害された」とする見方が多数を占めているようです。

もし皇太子の命令でジャマルカショギ氏を殺害したとすれば、それを全てしっている殺害チームは危険だとして1人1人殺されるのではないかというのです。なんとも恐ろしいことです。

ところでトルコというのはスパイ大国です。今回同国内にあるサウジアラビア領事館内での殺害についてトルコの諜報機関は音声データを持っているとも言われています。

もともとトルコはほんの100年前までオスマン帝国という強大な帝国を築いていました。トルコからすればサウジアラビアは砂漠の何もないところに突然サウード家が国を興したという認識だそうです。

今回トルコ国内で行われた前代未聞の事件にトルコは嫌悪感を示しており真っ向から抗議をし、領事館や総領事の対在宅まで捜査をしています。

トルコはヨーロッパとアジアと中東が交わる特異な国で、EUに加入することこそ拒まれましたが、自分たちは中東のぽつぽつ出てきた国とは違うという明確な立場を取っている国です。

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