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作劇HowTo「対人取材未経験者のための、とっかかりの作り方例」&3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロク、はじめてのインタビウ」

本日は修正からのお知らせです。

先日公開いたしましたWEBTOON 作品『レヱル・ロマネスク0』
第16話『敷かれたレールの食い違い』のネーム中において

「高低狂い」を「垂直狂い」と記載していたところを、「高低狂い」に修正いたしました。

『ど素人である日々姫や双鉄はもちろん、現業職にあるハチロクさえも保線についてはあやふやな知識しかもってない』ことを表現するセリフとして機能させる――という選択肢もあったのですが。

しかしそのままいくと、こののち保線の専門知識をもっているキャラクターが


「高低狂い」と発言していることについて、「『用語不一致です』というツッコミが出るな」と理解しましたことが、修正の理由です。

今回はそういう感じの修正となりますが、もちろん単に「取材足りてない」「取材事項への理解足りてない」等の理由で、わたくしが明らかな誤記をしてしまうこともいくらでもあろうかと思います。

ので、願わくばそうしたときにはご指摘のほどいただけましたら幸いです。

修正すべき(修正したほうがいい)もので、修正間に合うものは修正いたします。

残念ながら、修正間に合わない、修正不可能、修正したほうがいいことはわかるが修正しないことのメリットの方が大きい――等で対応できない場合もあるかとも存じます。
が、「上路式プレートガーター橋」のご指摘いただいて以来、数多くのご指摘いただき修正させていただいてきた(勉強不足申し訳なく思うばかりの)実績もまた、恥ずかしながらございます。

と、申しますか。
そもそもからして、資料写真のご提供をいただいたり、貴重な音源のご提供をいただいたり、専門知識のご教示をいただくことも多数な
「みなさまのお力をお借りしつつ作っていくコンテンツ」というのが
『レヱル・ロマネスク0』へと続いてきた全てのレールの本質であるとも理解しております。

ので、繰り返しのお願いとはなりますが、今後共、『これは――』と思われる箇所ございましたら、どうぞこっそりとでも公にでも、その旨ご教示いただけましたら、とても幸いに存じます。

そんな流れですので本日は、#作劇Howto の番外編的に

「どうやって取材ってすればいいの?」

ということを考えていこうと思います。

わたくしの場合の取材の大まかな流れは、以下のケースが多いです

1:文献読む

2:ネットで最新状況を調べる

3:関係してそうでお話聞けそうなところを探す

4:連絡してみる

5:OKいただけたら取材する。NGなら3に戻る

――ってな感じです。

「対人取材したことないんですけど!?」というときに一番の難所となりそうなのが、『3』です。

なにか肩書きがあれば、その肩書きを盾にして――というアプローチもあろうかと思うのですが、かつてのわたくしのように「同人で書いている無名のシナリオライター」等のケースでは、肩書もへったくれもありません。

ではどうするか?

わたくしの場合は、

『XXについてのお話を書きたいと思っているアマチュア作家の(本名)と申す者ですが』

という自己紹介で、最初の糸口に取り付きました。

その「最初の糸口」に選んだのは、「民俗資料館の学芸員さん」です。

わたくしが当時調べていた民間信仰に関する企画展を、その民俗資料館さんが実施したことがあり。
ヤフオクでその企画展のパンフレットを入手したわたくしは、奥付の記載をもとに、

「企画展に関わった方に、ぜひ当該の民間信仰についてのご教示をいただきたい」的にお願いしたのです。

その民俗資料館は公立の施設だったためか、そのお願いは問題なく受け入れていただけ。

ご当地を訪れ、お話をお伺いするうちに

「その件については△△さんが」

「その資料は〇〇旅館にありますね」

等、さらなる取材先をご紹介いただくことができ。

そこから先は「民族資料館のXXさんにご紹介いただいたものですが」という感じで、さらなる取材をできるようになった――という感じです。

まとめると

『取材は、関係者さん、どなたかお一人にお話をお伺いすることができれば、そこからは紹介紹介で進めやすい』

『最初のお一方へのとっかかりを作るためには、問い合わせるしか無い』

『取材者の身分が、プロの表現者である必要は必ずしもない。(免許証等で)自分の身分を明かしているにもかかわらず、アマチュアの創作家であるということを理由に断られたケースは、少なくともわたくしには一度もない』

という感じではないかと思います。

取材――とくに対人取材は、たとえほんの少しでもやっておけば、関連するものを書くときの基礎となる楔を増やせるものかと、わたくしは理解しております。

取材先様にご迷惑をかけないことが絶対の第一条件になりますが――

もし「いま書いている物に取材が必要なんだけど……」という感じでもやもやしてる方がいらっしゃいましたら、本記事を少しでも動き出しの後押しとしてお役立ていただくなり。あるいは反面教師なりにしていただけましたら幸いです。

と、いうことで「対人取材≒インタビュー」をテーマに短いお話を書いてみたいかなと存じます。

登場するレイルロオドはハチロク。

タイトルは「ハチロク、はじめてのインタビウ」です。

どなたにも無料でお楽しみいただけるお話となりますので、どうぞご笑覧いただけましたら幸いです。

■ハチロク■



旧帝鉄8620形蒸気機関車トップナンバー機、8620専用レイルロオド。
現所属は御一夜鉄道。
トップナンバーレイルロオドとして、かつて取材を受けた経験はあるものの、取材側にたつのははじめて。

■「ハチロク、はじめてのインタビウ」■

(あらすじ)
御一夜市の広報誌の人気ページ
『雛衣市長にインタビュー』!
そのインタビュアーとして選ばれたハチロクは、大いに慌てふためきます。

///

「広報誌を読んでいないかったのか」

「はずかしながら……レイルロオドのこの身には、関わりがないと思いこんでしまっておりまして」

「ふむ」

広報御一夜は、市政報告のみならず、各種コラムや紹介記事も充実している、なかなかおもしろい読み物だ。
ことに――

「『雛衣市長にインタビュー』は、ポーレットが毎回いろいろな質問に答えるなかなかおもしろい記事だ。ゆえに僕は、御一夜鉄道に関わる者は、みな一読はしているものかと思いこんでいた」

「左様であるのかもしれません。……『みな』からわたくしが、情けなくも漏れてしまっておりましただけで」

「まぁそう落ち込むな。読んだことがないなら読めばいいだけの話だ」

真闇姉の几帳面さは、いつでも僕を助けてくれる。
広報誌は新しいのが来るまでは捨てられることなくマガジンラックに――

「ほら、これだ」

「拝読します……ふむ――ふむ、なるほど」

『雛衣市長にインタビュー』は、タイトル通り、ポーレットがインタビューに答えていく、ただそれだけの内容だ。

が、

「……この記事では、御一夜市幼稚園の園児さんたちがインタビュアアをされておられますね」

「だ。そのように毎号毎号インタビュアーが代わり、それぞれの立場からの質問をぶつけていくのが、内容に深みと面白さを与えてくれている」

『園長先生はどうしていっつもT先生のことばっかり怒っているの?』

という質問。

ならびに

『どうしてなのかなぁ? 園長先生とT先生。それにまわりの先生たちや、お父さんおかあさん、もちろんみんなからもお話をきいて、それがどうしてなのかを市長さんも確かめてみるね?』

というポーレットの回答から、なかなかにその後のドラマを予感させてくれる、緊迫したものを感じさせられた。

「これを……わたくしが?」

「インタビュアーの依頼を受けたのだろう? 1レイルロオドとしてでも、御一夜鉄道の一員という立場からでも、聞きたいことを、そのままポーレットに尋ねればいいさ」

「と申されましても」

……ハチロクの視線が床へと落ちる。

「わたくし、職務を離れたところで、あまり親しくない方に質問をした経験などほとんどなくて」

(あまり親しくない……か)

意外にも思える言葉だが、言われてみればハチロク-ポーレットの直のコミュニケーションは少ないかもだ。
僕かれいなか日々姫かが、ほぼほぼ間に挟まるゆえに。

「ですので、その――」

「ならば、練習してみるか?」

「練習」

「例えば、僕を練習相手に」

「双鉄様では練習になりませぬ!」

「そうか?」

「はい、親しすぎますので」

「――ふふっ」

「?」

「ああいや」

きょとんとかしげられた首に、自らの微笑を自覚する。

「練習相手になれぬのは残念だが――
それを差し引いても嬉しい評価だと思ってな」

「あ!」

ハチロクがみるみる真っ赤になっていく。
照れるようなことでもないと思うが――

「日々姫や真闇姉も、同じ理由でNGか?」

「で、ございますね」

「ならば稀咲は――」

「逆に遠すぎ、質問の糸口もつかめぬのではないかと不安です」

「となれば――」

親しすぎず、遠すぎず。
できればハチロクが緊張せずに練習をできる相手となると――

「凪か? ああ、いや。それよりむしろ」

「むしろ――何でございましょう?」

「レールショップでの待機時間等に、
ポーレット本人を相手に練習させてもらうのではどうか」

「ああ!」

「記者さんがいきなりいては緊張しようが、
まずふたりで練習するならいくらか質問もしやすかろう。
ああ、もしふたりきりが気まずければ、れいなに立ち会ってもらうのもいい」

「はい! 左様ですね。ありがとうございます、双鉄様。
ポーレット様さえご迷惑でなければ、その練習を、ぜひに」

「うむ。では、その旨問い合わせよう」

――そうして同時に問い合わせるのだ。
こっそりと動画を取るなり録音なりして、練習を本番にできぬものかと。

(ハチロクは周囲を気にしすぎるきらいがあるからな。
練習して慣れればむしろ、本番では失礼のないことを最優先した――無難極まる質問しか出さなくなろう)

練習環境でのリラックスしたハチロクから、果たしてどんな質問が飛び出してくるものか。

その方が、記事の趣旨とも噛合うだろうし――

(単純に、僕も知りたくあるからな)

;おしまい

///

いかがでしょうか?
ハチロクとポーレットの一体一の会話、
機会があれば描いてみたいWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』

どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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【メンバーシップ限定記事のご案内】

『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

にご参加いただきますと、レイルロオドたちにかかわる詳細な内部設定資料や掲示板機能などをお楽しみいただくことができます。

『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。

どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

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