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「見せ場」の重要性 ~WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第9話シーン4ネーム&字コンテ公開

わたくしの主たる作劇舞台はノベルゲームシナリオです。

ノベルゲームにもいろいろありますが、いまどきは立ち絵が動いたりして、
いわゆる「紙芝居」と言われていたころとは隔世の感がございます。

しかし、昔も今も変わらぬ点といたしまして
「ノベルゲームの花は、やはりイベント絵」というところがあるかと存じます。

ですので、シナリオを書く上では、
イベント絵になったときに映えるようなシーン。
つまりは「見せ場」をきちんと整えることがとても大事となります。

この「見せ場」マンガとゲームシナリオとでは、大きな違いがございますので、本日はその辺について、ご解説していきたいかと存じます。

■マンガの見せ場は「決めゴマ」

マンガの見せ場は、決めゴマです。

紙媒体であるのなら、見開きでどん!!! と決め絵を叩きつける――
といったものが、決めゴマの代表的な使い方かと存じます。

バトルものであれば必殺技を決めた瞬間。
恋愛ものであれば初めてのキスを交わす瞬間。
推理ものであれば「犯人はお前だ!」と指差す瞬間。

どのような瞬間であれ、物語のクライマックスを、それにふさわしい迫力や魅力のある絵に落とし込む。
決めゴマとは、そうしたものであると定義できましょう。

■ノベルゲームの見せ場は「絵になるシーン」

さて。
上記、「決めゴマ」の感覚でノベルゲームシナリオを書いてしまうと、
これは原画家さんをひどく困らせることになってしまいます。

それはなぜか――
おわかりになる方、いらっしゃいますでしょうか?

決めゴマの例としてわたくしがあげた――

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バトルものであれば必殺技を決めた瞬間。

恋愛ものであれば初めてのキスを交わす瞬間。

推理ものであれば「犯人はお前だ!」と指差す瞬間。

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――これらはすべて「瞬間」であり。

「瞬間」とは、ワンクリックで経過されてしまうものだからです。

マンガは、コマを送って次の絵を見ることで物語が展開されていく媒体ですので、どんな決めゴマであれ、一瞬で消費されることはやむなしなのです。

しかし、ノベルゲームシナリオの「イベント絵」は、1クリックで流されてはいけないものです。
気合をいれていただいた美しいイベント絵を、できるだけ長い時間「イベント絵」として表示し続けられるシーンを持つシナリオを組むこと。

これが、ノベルゲームシナリオの作劇においては非常に重要なポイントとなってくるのです。

■具体例で考える、マンガとノベルゲームの「見せ場」の違い

雪の中、ハチロクとオリヴィが寄り添い合って語りあい、やがて、オリヴィが倒れてしまう――

このシーンで考えるなら、マンガでの決めゴマとなるのは、「オリヴィが倒れる瞬間」もしくは「倒れたオリヴィにかけよるハチロクが見せる悲嘆」あたりとなるかと存じます。

ので、「オリヴィとハチロクが語り合うシーンは、見せゴマが一番いきるようなテンポ感にしたいので、だらだらと引っ張ってはならない」というお話づくりになってくるでしょう。

しかし、ノベルゲームの場合。

「雪の中、ハチロクとオリヴィが寄り添い合う」というシーンこそがイベント絵となるべきであり、そこは情感ゆたかに、たっぷりと描かねばなりません。

そしてそのイベント絵が表示終了となる瞬間が、オリヴィの倒れるシーンでとなります。
ですので、それ以上シーンを長々引っ張っることは好ましくなく。
倒れること=次のシーンへのヒキとなるよう構成する等の工夫が必要となってくるかと存じます。

■まとめ

・マンガの決め絵は「瞬間」

・ノベルゲームシナリオの決め絵は「シーン」

・同じ場面を描くとしても、「見せ場」を見せるために最適な物語構成は、媒体によって異なってくる(ので、会わせる必要が生じる)

――という感じです。

自分が作劇する媒体での「決め絵」が、どのような性質を持つものか。
先例となるヒット作品などを学んで、それを言葉で定義しておくことは必ず、あなたの物語のその媒体への適性を高めてくれるかと存じます。

本日は以上です。
少しでもどなたかのお役にたったり、反面教師にしていただけたりな部分がございましたら幸いです。

――ということで本日も
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の第9話
「赤井宮司とニイロク」のネームを掲載してまいります。

先日公開のシーン3

に続きましてのシーン4です

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よければどうぞ、あわせご確認いただけますと幸いです。

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『御一夜鉄道大運動会』

(あらすじ)
ポーレットとの与太話から開催されることとなった
御一夜鉄道大運動会。
運動会が初めてのハチロクは、出場種目に悩みまくります。

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