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アルジェに見る「レイルロオドの作り方」

みなさんこんばんわ。レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

本日が年内最後のnote更新となります。
開設以来、約3ヶ月でございましたっけか。
まことにお世話になりました。

あくる年は年初――
早ければ1/1。遅くとも1/2から、
「かなり大型の更新」とともにnote展開して行きたく思いますので、どうぞ引き続きのご愛顧いただけますと幸いです。

で、年内最後の更新の方もせっかくですので、メンバーシップ掲示板にいただきました「こんな記事を読んでみたいリクエスト」

から

「レイルロオドをデザインする指針」

について書いていきたく思います。

と、申しましてもグラフィック面でのデザインにはわたくしほとんどかかわりませんので、設定面についてのご案内となりますこと、まずはあらかじめご了承ください。

今回例にあげますのは、いつもイベントでお世話になっております銚子電鉄様のデキ3をイメージモデルといたしております、

『釣子電鉄デキ3専用レイルロオド アルジェマイネ・ドライ』

です。

■ まずは実機を見て写真を取ろう ■

基本的にイメージモデル候補となるのは「保存機が現存している車輌」となります。

銚子電鉄様のデキ3は、銚子電鉄仲之町車庫に現存しており、また、仲之町車庫は仲ノ町駅で入場券を買うことで見学可能となっておりますので、そのようにして資料写真を撮りに行きます。


わたくしが当該の撮影に行きました2018年1月にはちょうどデキ3塗替え中で、グレー(錆止めの色)でトロリーポールもなし、という珍しい状態でした。
このような状態でも形態やディテールの資料にはなりますので、ともかくガンガン撮っていきます。
もし高いところから撮れる環境であれば、屋根上も撮っておくとのちのち大変重宝するのですが、仲ノ町駅では無理だったので、できるだけ多くの角度。
それから足元や銘板類のアップなども撮っておくようにします。

■ 資料を漁ろう ■

ネット上でも紙でも、なるたけ多くの資料を漁ります。
目的とするのは「レイルロオドの性格づけに役立ちそうなエピソードを拾う」ことです。
この際、『資料の信憑性』は余り気にしなくていいかと思います。
「なんでこんな性格になったの?」と言われたとき
「実はこういうエピソードがあると資料でみまして」とお返事できることを、わたくしは重要視しております。

■ 設定を起こそう ■

上記がおわると、だいたいのぼんやりした印象が浮かんできます。
デキ3専用レイルロオドの場合は

・ちっさくて黒い
・アルゲマイネ社製
・現存車輌で最長老の動態保存機
・トロリーポール集電

というあたりが、わたくしてきにはキーとなりました。

躅国製で、最ベテランで、トロリーポールをもっていて、小柄。

となると、イメージとして湧いてくるのは「小柄でキリリとした指揮官」となります。

ので、それを文字起こししていけば、初期設定のできあがりとなります。

実際の初期設定を、それではご覧ください。

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【アルジェ(アルジェマイネ・ドライ)の初期設定】

■釣子電鉄デキ3専用レイルロオド: アルジェマイネ・ドライ(ほしあじちゃん)

髑国製レイルロオドらしい端正な顔立ちとバランスの取れたボディライン。精悍な黒の制服。自らを律し他者を率いる統率力を誇る――
けれどもめちゃめちゃ小柄なレイルロオド。

幼い、のでなく、小さい。

体格的には、れいなが「おちびちゃんですぅ」と思わずいってしまうほどのレベルだが、けれども数語の言葉を交わせば、「れいなよりずっとおねえさんですぅ!」と、背筋も態度もあらたまる、体格が小さいだけの、大変に優秀で経験豊かなレイルロオド。

ともかくスケジュール管理に長け、なにがあろうと遅刻しないし、列車も遅延させない。

現役をほぼほぼしりぞいた今は、現役機レイルロオドたちの共感中継役――つまるところ、実質的な運転指令としても活躍している。

性格は極めて自律的で、仕事においては他者にも厳しい。
ミスをした運転士やレイルロオドとは徹底的に対話して、
「ミスの直接的な原因」
「その原因を招いた背景」
「再発防止策」
を、「それは何故だ?」「何故だ?」「何故だ?」と、徹底的に追い込んでいく。

全般、非常に理路整然としていて、研究熱心。

トロリーポールを模した、黒く長い指揮棒(振り出し式で短くもできる)を愛用している。
最大に伸ばした指揮棒を持った姿は、黒制服と、その整った風貌との組み合わせもあり、鉄道職員というよりも、軍人――それも狙撃兵とか、その辺にさえも見えてしまう。

大変小柄であるにも関わらず、風格というか威厳を自然と発揮して、アルジェがいるとそれだけで、現場の空気は引き締まる。

その甲斐あって、予算不足に常に苦しみ、駅舎も保線も極めて厳しい状態の釣子電鉄は、アルジェマイネ・ドライの着任以来、ただの一度も――大廃線の末期においてすら――重大事故を発生させたことがない。

アジェマイネ・ドライという名前は、「アルジェマイネ社の三号(髑国語でドライ)機関車レイルロオド」という、いわば製造番号にも近いもの。

が、「これは私という個体を最も端的に表している」と、名称変更を求めなかった。

が、その名が長く、普段呼びには非効率とも理解しているので、「アルジェ」「マイネ」等、略称でよばれても特に嫌な顔はしない。

ドライを「乾燥」の意味だと誤解した濡れ煎餅うりのおばちゃんが、アルジェを鯵、ドライを干すだと理解してつけた愛称・「ほしあじちゃん」にさえ、まったく嫌な顔を見せない。

むしろ「干し鯵とは?」と訪ね返し、その製造方法に興味を持ち、実際に製造するに至ったりもしたことがあり。
結果今日では、干し鯵はぬれ煎餅と並ぶ、「釣子電鉄の二大名物」として好評を博し、苦しい経営を支えている。

なお、ぬれ煎餅も、干し鯵も、パッケージにアルジェのイラストが描かれたもののほうが、そうでないものよりも二倍近く売れている。

沿線一番の観光名所でもある、うみねこ達が集まる岬、猫吠埼がお気に入りの場所。

休養を意識的に取るときには、猫吠埼をおとずれ、集まってくるうみねこたちを追い払うこともせず、ただただじっと、海を見続ける。

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で、いただいたキャラデザがこちらで――



アルジェはもう、ズバピタでイメージ共有がうまくいったケースのレイルロオドとなったのではないかと認識しております。

そんなアルジェを主役にした短いお話、

「アルジェとマルロの大掃除」

を、本日は書いて行こうかと思います。

アルジェの後輩、甘えん坊のマルロについては

の方を――

どうぞ、あわせご笑覧いただけますと幸いです。

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『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

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ぜひご参加ご検討ください。

『アルジェとマルロの大掃除』

<あらすじ>

マルロが毎年サボリを決める大掃除。
本年こそは必ず真面目に取り組ませようと、
アルジェは根回しを開始します。

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