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3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクご所望のビイフカレエ」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第30話「体験! レストラン列車」ネーム&字コンテ(全)

本日、非常に久しぶりに「喫茶店」にいきました。

数年前までは「喫茶店で打ち合わせ」などということが珍しくなかったのですが、
コロナ以降はほとんどの打ち合わせがオンラインとなり。

さらに、半年前からうちに赤ちゃんが来てくれた関係で、
静けさを売りのひとつとしている喫茶店には、ほとんどいくことがなくなってしまっておりましたのです。

そういうわけで半年かそれ以上ぶりとなりました喫茶店。
お客さんたちも打ち合わせではなく「一人の時間を楽しむ」という感じに見える方が大多数で、
旧来よりも際立った、大人の空間――として成立しているように見えました。

チェーンではない、街の、個人経営の喫茶店。

もし、一人の時間を楽しみたい――という気持ちになられた折などには、さがしていってみてもいいのではないか、と、
わたくし感じましたです。

そういえば原稿作業、
わたくしは自宅以外だと集中できない、というタイプなのですが、
かつては「喫茶店で」という方も結構いらしたように記憶しております。

昨今ははたしていかがなものでございますのでしょうか?
わたくし、多少気になります。

そんな自宅作業の結晶のひとつであるところの
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテ。

本日は、第30話「体験! レストラン列車」のアバン+全部を公開いたします。

ネームは通常、メンバーシップ会員さまのみが閲覧可能となるものなのですが、
アバンタイトル部分についてはどなたにも無償でご覧いただけますので、
よろしければそちらだけでもチェックいただけますと幸いです。

で、本日の短いお話は、ネームの内容とややリンクさせ
『食堂車のメニュー』をテーマとして書いてみたく思います。

タイトルは
『ハチロクご所望のビイフカレエ』

登場するレイルロオドは、ハチロクとオリヴィでございます。

■ハチロク■


旧帝鉄8620形トップナンバー機 8620専用レイルロオド。
トップナンバー・レイルロオドであるゆえに、
他のレイルロオドよりも多種多様な経験を重ねてきている。

■オリヴィ■

冥国製のジェネリック・レイルロオド――なのだが
日ノ本ではⅨ号機関車専用レイルロオドのような運用をされつづけてきた。
大ベテランで3つの鉄道事業者を渡り歩いて来たがゆえ、こちらも経験の幅が広い。



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『ハチロクご所望のビイフカレエ』

「ふぅっ……」

「??? どしたの、ハチロク? うらやましそーな顔してるけど」

「あら」

わたくし、顔に出てしまっていたのですね。
あさましく、恥ずかしいことでございます。

「その……日々姫がですね? 双鉄様とレストラン列車に乗られたということで、そのお土産話を聞かされまして」

「あー、乗ってた! なんていってた? カンソー」

「それはもう素晴らしい経験だったと、キラキラ本当に嬉しそうに目を輝かせて」

「それならよかったー!」

「日々姫の話を聞くうちに、わたくしもなんだかつられてしまって……
ついつい、往年の憧れを思い出してしまいましたのです」

「アコガレ? どんな?」

「食堂車への憧れです」

やせてもかれても、わたくしは栄光の8620形のトップナンバー機。
新列車お披露目の際などの案内役をつとめさせていただくことも、珍しいことではありませんでした。

「旧帝鉄の、いく種類かの食堂車に、わたくし、乗車――と申しますか、添乗させていただいたことがあるのですけれど」

「うんうん」

「そのどれもに共通していたメニウの一つに、強く憧れていたのです。
『叶うなら、一度口にしてみたいものです』と」

「ワカル! オリヴィあてたげる!!
それって食堂車の定番中の大定番メニューでしょ?」

「!」

「やっぱりね! カレーライス!!」

「で、ございます。ビイフカレエライス――
あの香りは、人間のお食事を食することが叶わないわたくしにも、
とても魅力的なものとして響いてまいりまして」

「わかるわかる、チョーわかっちゃう!! 一回はさ、多少お腹とか痛くなっても、食べてみたいよね!」

(がらっ!)

「話は聞かせてもらったぞ」

「ひえっ!? 双鉄様!?」「What!? ソーテツ?」

「ビーフカレーもどきであるなら、僕にも恐らく作れそう。
ホームセンターにいってくるので、少しだけ待っていて欲しい」

「えっ、あのっ!?」

「いっちゃった――…………って、もーもどってきた!」

「おまたせだ。では――オリヴィ、すまんがアイスピックを貸してくれ」

「Okey!」

ガツガツ、ガツガツ、双鉄様はアイスピックで石炭を細かく砕かれて、
砕いたものをお皿の半分に敷き詰められます。

「Wow! Is this rice?」

「の、感じが出ているなら方向性は正しいようだな。
では自信をもって、次の段階をすすめていこう」

言うなり双鉄様は大きな鍋にお湯をわかして、その中に小ぶりの鍋を浮かべて――

「コールタールの発火点は200度。ゆえ、怖くてとても直火にはかけられん」

「あ! バレンタインの折にわたくし、日々姫に教えてもらいました」

「オリヴィも知ってる! ユセン!!」

「うむ、湯煎してあたためたコールタールに、おおぶりな瀝青炭を入れ、あたためる」

「It's Beef! Looks delicious!」

「まことですね――見た目はかなり……意外と、ビイフシチウに似ています」

「で、香り付けだ。この程度なら燃焼効率への影響はほぼなかろう」

いいながら双鉄様は、コールタールに茶色い粉を――

「Amazing! The smell of curry!」

「あああ、これです! 本当にカレエライスの香り……」

「ならば完成とさせもらろう!
さすがに容器は間に合せのものとなってしまうが……
まぁご家庭バージョンということで勘弁してくれ」

「いえ……いえ! これはまさしく、わたくしの憧れるビイフカレエそのものでございます!」

「美味しそう! ね? オリヴィも食べてみていいんだよね!」

「無論だ。とても僕には食せぬからな。
その二皿は、ハチロクとオリヴィで平らげてくれ」

「でしたら」「サッソク!」

「「いただきます」」

そっとスプウンをタアルカレエに沈めてすくい、石炭の上にかけて一口――

「(あむっ――ぼりっ――ぼりっ――ごりっ!)――大変おいしうございます!」

「オリヴィのは石炭Beefちゃあんと砕いてくれてるね! Delicious!!」

カレエの香りがあるだけで、いつもと同じ石炭が、これほどエキゾチックに変化するとは――いえ、双鉄様が、左様に変えてくださったのです!

「……ごちそうさまでした。双鉄様。大変美味しうございます。
わたくしお腹いっぱいで――
その何倍も、何十倍もの密度で――胸もいっぱいでございます」

「そうまでよろこんでもらえるのならなによりだ。
オリヴィはどうだった?」

「美味しかったよ! 美味しすぎてオリヴィ、欲張りになっちゃいそうな感じ」

「よくばり、とは?」

「この調子で双鉄にまた、石炭dinnerつくってほしいなぁって」

「ほう……例えばどんな」

「Fried Prawns!! エビフライ!」

「エビフライ!」

それもまた、食堂車メニウの定番中の大定番。
わたくしの遠い憧れのひとつ――

(ぐううううううううううっ!!)

「あははっ!」

「こ、これは――そのっ!」

どうにかごまかす――
より早く、オリヴィちゃんが笑顔をきらり、輝かせます。

「ハチロクのお腹も食べたがってる!!!!」

;おしまい

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いかがでしょうか?

今回のハチロク・オリヴィ・双鉄は
「レヱル・ロマネスク0世界線」のハチロク・オリヴィ・双鉄でございました。

そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の過去話。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで

それ以降のまとめはメンバーシップ特典で

それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

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また『レイルロオド・マニアックス』の掲載時には、紹介されているレイルロオドの設定画や三面図などの資料で存在するものを公開していきたく思っております。

どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

【製品版 WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』のご案内】

本noteでネーム連載をしております『レヱル・ロマネスク0』の完成品は、
WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』として順次リリースされております。

よろしければこちらもぜひご覧ください。

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