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「機動戦士Zガンダム」に学ぶ中間管理職の在り方

 会社組織である程度経験を積んでいくとたどり着く領域、「中間管理職」。経営層と労働者層の間に位置し、経営層でも労働者層でもない存在。中間管理職とはいったいなんだろうか。いくつか手元の辞書を引いてみよう。

【中間管理職】
経営幹部の下で、各部門や現場で仕事を指揮する役割(の人)。部長・課長など。(三省堂国語辞典 第八版)

直接現場や部下を管理する責任者。一般の会社の課長・係長クラス。(大辞林 第四版)

業務の現場にいて部下を直接管理する責任者。一般に、会社の課長や係長などをさす。(新明解国語辞典 第七版)

三省堂国語辞典、大辞林、新明解国語辞典より

 手元の三つの辞書を引いてみたところそれぞれ上のような語釈であった。どうやら「現場」「直接」といったキーワードがポイントになりそうである。ここから見えてくるのは、中間管理職とは社長などの経営幹部が直接現場を指揮しているような規模の組織には存在せず、ある程度規模が大きくなると必要になるポストだということだ。興味深いのは三省堂国語辞典だけが「部長」に言及している点であるが、部長が中間管理職にあたるかどうかはやはり会社の規模によるだろう。部長が直接現場を指揮しているような組織の場合、その上に事業部長というのがいたりする。部長については規模感で変わってきそうだが、いずれにしても課長クラスあたりまでは中間管理職と言えそうだ。

 こうなってくると気になるのが、「中間」ではない管理職とはなにか、である。調べよう。

【管理職】
部長・課長・校長など(三省堂国語辞典 第八版)

管理・監督の任にある職種。また、その任にある人。(大辞林 第四版)

下僚を統率し、その部門の業務に責任を負う職分(新明解国語辞典 第七版)

三省堂国語辞典、大辞林、新明解国語辞典より

「中間」が無くなっただけでなにごとかと思うほど、三冊ともあっさりした説明になった。三省堂国語辞典の「校長」という例が興味深い。文字通り管理するという点において中間かそうでないかに差はないようで、「責任」「管理」といったワードが共通している。一方で「直接」や「現場」はやはり中間管理職の説明にしか登場していない。前線に出て指揮をとるのが中間管理職なのである。

 さて、現場の指揮官として仕事を回していく中間管理職、なんだかかっこ良さそうな雰囲気さえあるが、実際になってみると花形職とは感じられないかもしれない。中間管理職とは下からも上からも様々な要求を浴びる板挟み層なのである。労働者層の権利を守り、ワークライフバランスを維持できるような環境を作る。その上で経営層から要求される数字は達成しなければならない。両手に余る無理難題が次々に降りかかる。初めて中間管理職になった人の多くは、この板挟み状態を目の当たりにして途方に暮れるであろう。どうせなら部下に慕われる上司でありたい。一方で上からも目をかけられる有能な人材でありたい。どちらかに寄せるともう一方が立たなくなったりする。どうすればいいんだ。順風満帆で昇進街道を進んできて昇進したのに、これではむしろ仕打ちではないか。

 困ったときにはやはり先人の知恵が有用だ。板挟みのストレスで病気になる前に、なんらかの事例を参考に中間管理職の職務を学ぼう。

 中間管理職の参考資料として「機動戦士Zガンダム」を強く推したい。Zガンダムはおそらく読めない人はいなかろうが、ゼータガンダムと読む。今中間管理職をしている人の中には、1985年に放送されたこの作品を子どもの頃楽しんだ人も多いのではなかろうか。この作品、実は大人になって改めて見てみると管理職の物語なのである。

機動戦士Zガンダムという作品

 「機動戦士Zガンダム」は言わずと知れたその前作「機動戦士ガンダム」の続編として作られたアニメ作品だ。一作目のガンダムはアムロというヒネた少年が実は人類の革新たるニュータイプで、彼が戦争に巻き込まれつつそのエスパーのような能力を覚醒させ、超人的に一般兵を蹂躙していく物語である。モビルスーツの性能の差が戦力の絶対的差でないことを証明しようとしたシャアというライバルがいたが、モビルスーツの性能にニュータイプの能力が乗っかったら戦局など一瞬にしてひっくり返るという証明に手を貸して終わった。
 ガンダムが新しかったのは、それまでのロボットアニメは「得体の知れない悪を正義のロボットがぶっ倒す」という勧善懲悪だったのに対し、ガンダムは「溢れかえる人口を宇宙移民させた結果、宇宙に住む人々と地球に残った人々の間に対立が生まれ、宇宙移民が独立戦争を仕掛けた」という話になっている点である。「機動戦士ガンダム」が描いているのは地球連邦政府と宇宙の独立国家(ジオン公国)の対立であり、主人公が連邦に属しているのでなんとなく連邦が善でジオンが悪に見えそうだが、主人公たちは連邦軍の中の独立愚連隊のようなチームで、実のところ作中の悪は地球連邦であるという裏テーマが見え隠れしている。このような構造のロボットアニメはこれ以前にはなかったという点でガンダムは革命だったのである。

 さて、今回題材にしようとしているのは、このような歴史的作品であるガンダムシリーズの二作目として登場した「機動戦士Zガンダム」である。1985年の3月から約一年間にわたって放送されたテレビアニメ作品であった。この作品はカミーユという少年を主人公に据え、彼がやはり戦いに巻き込まれ、ひどい目に合いながら次第に狂っていき、最終的に取り返しのつかないことになる物語である。が、この作品、見れば見るほどカミーユは便宜上主人公が必要だから配置されているだけで、描かれているのは組織の対立なのだ。それも前作のような二者対立からさらに進み、いくつもの思惑が錯綜して複雑な戦争と化している。実は、この複雑な組織の衝突を中間管理職の視点で描いたのがZガンダムという作品なのだ。重要な点なのでもう一度書くが、「機動戦士Zガンダム」という作品は、実は中間管理職による戦争を描いた物語なのである。ここではこの作品に登場する中間管理職たちを観察、分析し、タイプ分けして考察してみる。ほとんどタワゴトみたいな話なのだが、きっと皆さんの身近に彼らに似た中間管理職がいるだろう。ここに、Zガンダムの恐るべきリアリズムがある。

Zガンダムに登場する中間管理職

クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル=キャスバル・ダイクン)

  • 所属組織:エウーゴ

  • 上司:ブレックス・フォーラ

  • タイプ:自身がプレイヤーとして優れているプレイングマネージャータイプ

 この人は前作に主人公のライバルとして登場した、赤い彗星のシャアその人である。自身が大変な能力を持ったスーパープレイヤーでカリスマ性もあるのだが、人を動かすのはあまりうまくない。さらに女に甘いというか弱い上、思わせぶりでありつつ態度を保留するので始末に負えない。女難が付きまとっている。マザコンだがロリータ少女に母を見るという倒錯の極致みたいな状態にある一種の変態である。そんな人物にはたして管理職が務まるのだろうか。
 物語の中盤で上司であるブレックス准将が暗殺され、准将直々のラストメッセージでエウーゴの指導者を任される。つまり彼は中間管理職から経営層へ昇進した人物なのだが、前述のような人物なのでトップには向いていない。そのせいか、のちの「逆襲のシャア」という作品ではいろんな部分がエスカレートして独裁者みたいになってしまった。

 こういうタイプは実際の会社組織でもよく見かける。現場で素晴らしい力を発揮して評価され、とんとん拍子で昇進していく。そのため比較的若くして管理職に昇進するのだが、現場でスタープレイヤー的な活躍を見せた人が管理職として有能かというとそこにあまり相関はない。このケースはいろんなところで思い当たるだろう。例えばプロスポーツでも、選手としてスターだった人が引退して監督として成果を出せるかと言えば、そうとは限らない。クワトロ・バジーナことシャアはまさにそのタイプであり、ものすごい能力を持ったパイロットであったが、組織を率いていくような器ではなかったと言えそうだ。余談だが前作で彼のライバルであったアムロ・レイもこの作品に登場しているのだが、アムロの方は管理職に抜擢されていないどころか軟禁状態にある。さすがにあの男に管理職は無理だと誰もが思うのであろう。アムロは最後まで現場のプレイヤーであり、結局管理職に昇格することはなかった。ある意味適切な人事であろう。このタイプを組織の中で活かせるかどうかは、ひとえに人事にかかっている。

ブライト・ノア

  • 所属組織:地球連邦軍(ティターンズ) → エウーゴ(ほとんど追放されるようにして移籍)

  • 上司:バスク・オム → ブレックス・フォーラ → クワトロ・バジーナ

  • タイプ:有能な部下を鼓舞しながら時に超法規的な決断もできるスーパー管理職タイプ

 この人も前作から登場している。彼は行きがかり上の偶然からものすごい若さで戦艦の艦長を任されることになった。しかし経験値のなさをカバーして余りある才覚を見せ、戦局に大きな影響を及ぼした。とんでもない才能を持つ部下に恵まれているという事実はあるものの、彼の采配が無ければ活躍できなかったであろう人材も多かったのは間違いない。この人は実はトップの器を持っているのだが、如何せんカリスマ性が乏しい。人望はあるがオーラのようなものが足りないのだ。彼にシャアのようなカリスマ性があれば宇宙が平和になったかもしれないような人物である。半分ニュータイプみたいな奥さんとの間に、のちにレジスタンスを率いることになる息子がいる。良きパパであり良き指揮官。マイナス要素が目立たず、理想的な管理職に見える。余談だが彼の名のノアは方舟のノアであり、私は彼こそ、ガンダムシリーズにおいて人類最後の希望として描かれた人物だと思っている。

 このタイプの管理職がいる組織はとても強いだろう。部下の才能を見極めて適切に配置し、上に対しては適当にうまいことあしらいながら超法規的なチーム運営をし、とんでもない成果を上げる。やっていることは破天荒だが部下からの信頼は厚く、さらにそれで結果を出すので上からの受けも悪くはない。そして最も重要な点として、「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀の物語において、現時点での最新エピソードである「閃光のハサウェイ」の時間軸まで健康に生きているのは彼と彼の家族ぐらいである。ずっと最前線で戦いながら生還している点こそ、彼のもっとも大きな功績かもしれない。

ヘンケン・ベッケナー

  • 所属組織:エウーゴ

  • 上司:ブレックス・フォーラ

  • タイプ:人情に厚く魅力があり、部下から慕われる良き上司タイプ

 情が厚く人望もある。おそらくほぼすべての部下から慕われていた人物だ。しかしこのことが、最終的に自分の愛する女性を守るために指揮していた艦を乗組員もろとも沈めるという、本来あってはならない結末へと導いた。クルーも彼のために喜んで命を捨てた。彼には経営サイドの視点が欠落しており、下しか見ていないタイプの管理職で、このタイプは部下にとっては良き上司だが会社ごと破滅へ突撃する可能性を秘めている。ブレックス准将の死後、クワトロ大尉がヘンケンをコントロールしようとしなかったことが、エマ・シーン一人を救うために戦艦ラーディッシュが轟沈するという事態を招いたと言える。彼のもとで多くの人たちが命を落としたわけだが、そのことを悔やんでいる人はいないだろう。そのぐらい、部下から慕われた艦長であった。

 このタイプの中間管理職は部下からの信頼が厚く、パッと見ではチーム運営がとてもうまいように見える。実際チームは極めて円滑に稼働するのである。部下はこの上司のためなら喜んで頑張るため、経営層から見ると問題が見えにくい。彼の下にいる社員からは不満が出ず、チームが一丸となって取り組むので成果もしっかり出る。しかしこのタイプには経営層的な視点が無く、リスクを伴う判断を強いられた際に取り返しのつかない決断をする可能性がある。部下たちがみんな彼に全幅の信頼をおいているため、「彼の決断であればそれが間違っていようともついていきますよ!」といった展開になり、制動がかからないまま組織丸ごと破滅へ驀進する危険を秘めている。このような人物を見事な説得力で描いているこの作品にはやはり驚かされる。

バスク・オム

  • 所属組織:ティターンズ

  • 上司:ジャミトフ・ハイマン

  • タイプ:好戦的で威圧的。上にはうまいこと取り入り、下に対しては恐怖で支配するタイプ。

 ティターンズの創始者であるジャミトフが政治に専念して軍の方を彼に任せたため、一応ジャミトフの部下ではあるが軍部においては最上層である。例えるならホールディングス会社の子会社で社長をやっている、といった感じの立ち位置と言えるのだが、直接現場を指揮しているので中間管理職として差し支えないだろう。彼は上司がなにも言わない状況を作った上で恐怖政治を敷き、非人道的な作戦を次々に展開したサディストである。言ってみれば彼は数値目標を達成した上で企業イメージを暴落させた男であり、彼のやり方についていけなくて抜けていった中には有能な人が大勢いた。管理職としては全方位的にダメなのだが、のちにジャミトフが暗殺されて彼は事実上ティターンズのトップに座ることになった。目覚ましい昇進である。しかし、数字だけ出してイメージを暴落させるような人物がトップでまともなことになるはずはなく、ティターンズがあれだけの財力、戦力を持ちながら破滅したのはひとえに彼の功罪と言えるだろう。

 このタイプは現在は存在をすら許されていない。いわゆる旧時代的根性論タイプの鬼上司であり、恐怖による統治、パワハラ全開である。さすがに40年近く前の作品に登場する人物なので今の感覚からすると時代錯誤も甚だしく見えるのだが、驚くべきことに令和の現在にもまだこういうタイプが支配する会社組織というものが存在し、ときどき不祥事を起こしてニュースになったりしている。と、こんなことを書けば皆さんもきっと比較的最近の事例が思い浮かぶであろう。私も某企業の話題を見ていて「ティターンズみたいな会社だな」と思ったのが記憶に新しい。当然ながら自分が管理職として仕事をする上で、この人物は反面教師以外の何物でもない。このような人物がいる組織は一時の成果は出せたとしても、遠くない将来に綻びるであろう。

ハマーン・カーン

  • 所属組織:ネオジオン

  • 上司:ミネバ・ザビ

  • タイプ:事実上経営層を掌握し、迫力で部下を率いて行く独裁者タイプ

 ほとんど宗教的な意味をもつザビ家の末裔のまだ幼いミネバを担ぎ出し、実権は自分が握ったまま「ミネバ様に仕えるのだ」という姿勢を強要した。ハマーンについては部下に突出した人物がおらず、偶像としてのミネバを餌に駒として動かせる部下を集め、それを自在に動かした事実上の独裁者である。そのためこの人物は組織図的には中間管理職のようなポジションにいるが、実態としては異なる。部下に目立つ人がいないのでマネジメント能力がどの程度かはわからないが、策士ではある。邪推だが、この人物の下に目立つキャラを配置しなかったのは、ある程度能力のある部下をこの上司がどう扱うのか作者にも想像できなかったからではないだろうか。タイプとしては一匹狼が似合う人物だが、個人的には上司にするなら彼女がいい。さすがに私も彼女が理想的な管理職だとは思えないが、こういう上司の元で働きたいという半ばマゾヒスティックな願望がある。

 余談だが今回紹介する「機動戦士Zガンダム」に登場する中間管理職の中で、この人だけが女性である。Zガンダムという作品は管理職の物語であると同時に女性たちの物語でもある。1985年という今よりもはるかに男性優位社会であった時代に、「戦場」という歴史上でも男性中心の場であるものを、女性たちを中心に据えて描いていった作品なのだ。ただ、女性たちは物語を動かす重要な位置で活躍はしたものの、管理職ポストとなるとハマーン一人しかおらず、さらにその描き方も、このように「部下に突出した人物がいない」といった特殊なものになっているあたり、女性が主導する組織というものが想像しづらい時代だったのだろう。なお、1988年になると「攻殻機動隊」という別の作品で、百戦錬磨みたいな屈強な男たちのチームを束ねる圧倒的な女性中間管理職が登場する。

パプティマス・シロッコ

  • 所属組織:ティターンズ(のはずだがよくわからない)

  • 上司:ジャミトフ・ハイマン(のはずだがわからない)

  • タイプ:都合の良い上司に頭を下げ、慕ってくる部下をうまいこと使う立ち回りのうまいタイプ

 ものすごくプライドが高いくせに利用できそうな上役には平気で頭も下げ、なんなら血判押したりとか芝居がかったこともできる人物である。慕ってついてくるものに甘い言葉をかけてその気にさせ、報酬に見合わないような仕事でも進んでやらせたりする。彼こそとびぬけて有能な中間管理職なのだが、最も重要な「責任をとる」という姿勢が皆無である。部下が死んでも自己責任。上が死んでも自己責任。名前を聞いてもわからない、わんわんわわんといった無責任ぶりだ。元はティターンズに忠誠を誓っていたはずだが別組織のミネバの前にひざまづき、さらには自身の上司であるはずのジャミトフを暗殺したりとものすごい。最終的には自身のジュピトリスという戦艦を一つの組織のようにし、エウーゴ、ネオジオンと三つ巴の戦いを演じた。基本的に自分が最も優れていて自分以外は全部カスだと思っている。にもかかわらず誰にでも「わたしには君が必要だ」とかいうことを平気で言うまったく信用ならないタイプである。

 この人物は、前述のように実は極めて有能な中間管理職である。この人がもう少し責任感を持って行動できれば物語が全く違うものになったかもしれない。中間管理職は中間であるが故に上と下双方への対処が必要になり、多くの場合どちらかに偏ってしまいがちだ。しかしこのシロッコという男はどちらも驚くほどうまい。さらには上も下も騙して自分が利を得るといった狡猾さも備えており、自分以外のすべてを見下していながら、なかなかどうして「人」というものをよく理解しているのである。彼のもっともまずい点は自信が過剰すぎたことであろう。彼にわずかでも謙虚さというものがあれば、世界は彼の手中に収まったかもしれない。かようにとんでもない人物ではあるが、自分が管理職であればこの人から学べることは実に多い。全部を真似すると管理職云々以前に人としてまずいことになりそうだが、彼のふるまいには参考にできそうな点が無数にある。

理想の中間管理職像とは

 このように改めて並べて眺めてみると、「機動戦士Zガンダム」がいかに優れた作品なのかわかってもらえるだろう。中間管理職だけでもすべて違うタイプの人物をこんなに配置し、それぞれの組織運営を描き、それによって戦局が変化する様を演出している。この作劇手腕には舌を巻く。

 中間管理職を評価しようとすると、一般社員が上司として評価する場合と、経営者が現場責任者として評価する場合で大きく内容が変わる。さらに、自身が中間管理職として目指すべきは、という視点を持ち込むとまた違った見え方をしてくるだろう。組織の目指すところ、業務の内容や方向性、そして自身の性格なども含めると、理想の中間管理職像というのは一つには定まらない。それぞれの組織に、そこに合った理想の中間管理職像があるはずだ。今回紹介した中ではバスク・オムのタイプだけは完全にダメであるが、その他にはそれぞれ見るべき部分がある。クワトロ・バジーナみたいな人をもっと活かせる人事は考えられそうだし、パプティマス・シロッコのような人物を組織の利害に取り込んでしまえば大きな利益をもたらすかもしれない。

 かように中間管理職とは多様なものなのである。もしあなたが中間管理職としてのふるまいに悩んでいたり、あるいは自分が経営者として、中間管理職の扱いに悩んでいたりするのであれば、ぜひ「機動戦士Zガンダム」を、管理職による組織間の戦争として見直してみてほしい。なんらかの大きなブレイクスルーを得られるかもしれない。

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