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めちゃくちゃ伝わりにくい、本当にあった怖い話


こんにちは。
どくのうまみと申します。

今から書く話は、私が小学1年生の頃に体験した、確かに体験したんだけど、伝えようとしたらなんかモニョモニョってなる話です。

絵を描くといくらか分かりやすいんですが、まずは絵なしで語らせてください。


小学1年生の、こたつが出ていたので冬のことだったように思います。

その日は休日で、友だちを何人か家に呼んで、居間で遊んでいました。

同じ部屋には母親もいて、みんなで何をしていたかは忘れたのですが、その遊びが一段落して、ふと障子の方を見たんです。

その障子には、いわゆる障子紙を貼っている部分と、その下にすりガラスの部分、その下に木の板の部分がありました。

そのすりガラスに、猫の影が見えたんです。
猫の影はそのまま、玄関側から寝室の方へ、スーッと歩いていきました。

「猫や!」

そう叫んだのは私だったと思います。
母も同時にそれを見ていました。

「猫やったね〜」

母はなぜか、のんびりした口調で言いました。

今思うとおかしいんです。
母は確かに動物好きで、野良猫を見ると「かわいい〜」と撫でにいくような人ではありました。
しかし、家の中に入った猫にそんな態度は取らないはずなんです。

母は綺麗好きで、かつ防犯意識の高い人です。
外からそのまま猫が家の中に入ることを許すとは思えません。
そして、玄関の扉を開けたままにするはずもありません。

私は母と友だちを連れて、猫が向かったはずの寝室まで走りました。

ところが、猫がいないどころか、猫が歩いたような形跡は全くない。

「窓から出ていったんやろ」

母はそう言いました。
寝室の窓は開いていないのに。

その後、間もなくして友だちはそれぞれの家に帰り、居間で母とふたりになりました。

そのとき、改めて障子を見て、驚きました。

どうしてこの違和感に気づけなかったんだろう。

障子のすりガラスの下には木の板があるので、その裏を猫が歩いても、猫の体は木の板に隠れて、すりガラスに映るはずがないのです。

もちろんこれを母に伝えたのですが、

「不思議やね〜」

と笑うばかりでした。


お分かりいただけましたか?

体験した本人としては結構怖いんですが、
なんか伝わりにくいんですよね。

障子はこんな感じです。

障子。
障子紙、すりガラス、木の板。

そして、猫の影はこんな感じ。

正確に再現できました。

書いていて思ったんですが、
もしかして母のいたずらだったりするんでしょうか。
こう、すりガラスに上手いこと映り込むように猫の影を模した紙をスライドさせて。

これだったらいいですね。
母の態度も納得できます。

今度実家に帰ったとき、聞いてみようと思います。

「あれね、あんたを怖がらせんように平静を装ってたけど、怖かったね」

って言われたらどうしよう。

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