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理想と現実の狭間で

私が(本当の意味での)プロ選手になりたいと走り始めて今季で4シーズン目に入った。
自分の中で一年毎のステップを明確にすることが一番初めだった。

1シーズン目(2020年)はCXのナショナルタイトルを獲り目標値以上の成果が出た。

Photo: kasukabe vision films

2シーズン目(2021年)には前年の結果と縁があってヨーロッパへ行くことができ、ここまですごくスムーズに自分のステップを登っていると感じていた。

しかし3シーズン目(2023年)、サマーシーズンはチームに恵まれMTB W杯へもチャレンジしたものの自分のパフォーマンスの悪さに凹んだ。
そこに加えてウィンターシーズンのCXでもチームが消滅、無所属になり国内で走ることに決めた。ただシーズンを通して自分の思い描いた走りは出来なかった。
今もまだこの感覚に苦しみながらトレーニングとレースをこなしている。
1年目にたてたステップからは大幅に遅れをとっていて自分の中で描いている通りの走りも身体も動かない。

Photo: Kensaku Sakai

思い描く理想と現実のパフォーマンスの乖離に絶望し続けるシーズンを過ごした。
そして絶対に計画通りにはいかないと思ってはいたもののいざ自分が壁にあたり暗闇にいるように感じ、もがくことになると自分の対応力やキャパシティの少なさをまざまざと感じさせられる。
いつ何時に抜けられるかわからない暗闇の中でもがいているうちに目標を見失い自分の芯も見失った。
こうなると人は余裕を失い、ありとあらゆるものに対して興味を持とうとする意識がなくなり競技と自分の状況について悪い方向にしか考えられなくなる。
少し前の自分の状況であり、いまだに抜け出せたとは言えない。

Photo: kasukabe visim films

そんな中で今季はそこから抜け出す努力を少しでもしようと今まで自分でやっていたトレーニングの組み立てを客観的な目で見てもらうためにコーチをつけた。
そして狙った成績が出ず焦る自分を宥めて抑えてくれる存在の大きさを知った。
そして見失った目標値を再設定ししっかりとプライオリティをつけることにした。
これで少し気持ちが楽になりほんの少しの余裕ができたと思う。

Photo: Yuki Asato

残念ながらまだ狙った走りはできていないし成績も出ていない。
ただここまでと違うのは一度経験があるということ、同じ轍は踏まないことを意識できることである。
あとはできるだけ多くの事象をポジティブに捉え推進力に変えていくこと、適正な努力を重ねていくことだと思う。

果たして中身のあるかわからないことをぐだぐだと書いたけれど自分の中ではこうして(人に読んでもらう)文書にすることで思考を整理して自分の置かれている状況を把握できると思っている。
すなわちこれも暗闇から抜け出そうとする努力の一つだと信じている

付け足しのようになってしまうけれど家族を含めて本当に多くの人に支えられて走っていることを強く実感している。
ここまで支えれくれる人たちがいなければとうに走ることをやめていたはずだ。
パスカルの言うように人間は考える葦であるのだから考え続けてもがき続けるしかないのではないか。その先に答えがあるのではないか。
そう信じて明日も練習に向おうと思う。

L'homme n'est qu'un roseau,le plus faible de la nature;mais c'est un roseau pensant. (Pensées, Pascal)

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