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個人的ナウルガイド

2023年10月20日から26日までの約1週間、オセアニアに位置する絶海の孤島、ナウル共和国を訪れた。
ナウル政府公認の日本語ツイッターアカウントがバズっている事もあり、ネット界隈では「知名度はやたら高い、謎の小さな島国」というイメージを確固たるものにしつつある国だ。
そんなイメージが確立しているだけあって、旅行者の数は少ない。
実際、筆者が10月上旬に受領した観光ビザの番号は400番台。付番が発給されたビザの枚数と考えると、観光ビザを受領した人数は400人程度。ノービザの国もいくつかあるので、あくまで参考値ではあるものの、1国の年間の観光客数としては少ないほうだろう。
旅行者の数もこの程度なので、旅行情報も多くはない。地球の歩き方はもちろん、世界一有名な旅行ガイドブック、ロンリープラネットでさえ、この国を取り上げたガイドブックは発刊されていない。
だったら渡航した自分が書いちゃえと勢いで書き上げたのが、この私的ガイドになる。
なお、ここに著した情報は、2023年秋現在のもので、筆者が見聞きした情報も多数あり、正確性については担保出来ない。実際に渡航する場合は、しっかりと下調べをしてから渡航してほしい。
(ここに著した情報を信じて何かしらの損害を被ったとしても、筆者は一切責任を取れませんのであしからず)

ナウル観光については、以下のサイトも参考にしていただきたい。

ナウル観光情報サイト
https://naurutourism.com.nr/

さざなみ壊変(かずぴーさんが運営するアニメ、漫画の舞台探訪や戦跡巡りを扱うサイト。今回は彼に同行する形でナウルを訪問。)



ナウル共和国基本情報


面積
21.1平方キロメートル(東京都品川区と同程度)

人口
約12,500人(大阪府南河内郡太子町、千葉県香取郡東庄町と同程度)

首都
ヤレン地区
(正式な首都は定められておらず、市町村などの自治体もないが、行政、立法の中枢はヤレン地区に設置されている)

通貨
オーストラリアドル(AUD) 
1AUD=96円程度(2023年12月時点)

日本との時差
+3時間
日本が午後12時の場合、ナウルは午後3時。

外交
主にオーストラリアとの関係が深い。
また、現在13か国のみとなった台湾と国交を結んでいる国家の一つ。
(2024年1月、ナウル政府は中国政府との国交を回復した為、台湾との国交は断絶。ナウルは中国、台湾との国交回復、断絶を何度か繰り返していて、前回中国が国交を維持していたのは3年程度。)
在ナウル日本大使館、在日ナウル大使館は共に設置されていない。
(日本国大使は駐フィジー大使が兼任)

ビザ取得


ノービザや簡易ビザで渡航出来る国の多さから、一部では世界最強とも言われる日本のパスポートだが、ナウルではその威光は通じず、必ずビザの取得が必須になる。
このビザの取得が中々に面倒なのもナウルの特徴の一つだ。日本国内に大使館や領事館もなく、ビザ申請用のウェブサイト等もない為、取得には担当者と直接メールのやり取りが必要。
申請のメールアドレスはちょくちょく変わっていて、コロナ前はGmailを使っている時期もあったが、現在はオーストラリア・ブリスベンの総領事館に勤務している職員のアドレスが窓口になっている。
このアドレスもいつ変わるかわからないので、ビザ取得時にはまず担当者のメールアドレスを調べてほしい。(おそらく、日本語ツイッターアカウントの中の人にDMで尋ねるルートが一番手っ取り早いと思う)

日本ナウル協会 ツイッターアカウント
https://twitter.com/nauru_jp

アドレスまで辿り着いたら、どんな書類が必要か担当者にメールで聞こう。懇切丁寧に教えてくれる。
筆者申請時は、以下の書類を提出した。

・記入したビザの申請書(PDF)
・ナウル到着、出発の航空券(Eチケット ナウル航空)
・ホテルの予約確認書
・旅行全日程の行程表
・ビザ申請の支払い証明(Revolutアプリの確認欄からDLしたもの)
・パスポートの顔写真ページ(スマートフォンで撮影したもの)
・顔写真(スマートフォンで自撮りしたもの)
・英文付の預金残高証明書
・新型コロナウイルスワクチンの接種証明書(2回以上接種したものに限る)

申請書は担当者からフォーマットがPDFで送られてくる。
筆者はPDF編集ソフトで記入したが、ロゴの透かしが入っている物も受け付けてくれた(送る前に透かしが入っても問題がないか、お伺いは立てておいた方が吉)。印刷してペンなどで記入し、スキャンしたものでも受け取ってくれると思う。
ホテル予約確認書は、ホテル予約完了時のメールの本文をスクショしたもので問題ない。予約が同行者名義の場合でも、メール本文に記述を付けたら受け付けてくれた。
旅行全日程の行程表は、日本から乗る全ての便の搭乗日と、ナウルで滞在するホテルの名前を時系列で記入してメモ帳に纏めた物を送付した。
参考までに、実際に提出した行程表の一部を記載する。

17 OCT Tokyo(Narita) Fiji Air FJ350

18 OCT Nadi/Fiji

19 OCT Nadi/Fiji Fiji Air FJ231
19 OCT Tarawa/Kiribati

20 OCT Tarawa/Kiribati Nauru Airlines ON042
20 OCT Nauru

20 OCT-26 OCT stay Menen Hotel
(以下省略)

ビザ申請料金の支払いは、ナウル政府の物と思われるオーストラリアの銀行口座に振り込む。振込先は申請書が添付されたメールの本文に記載されているはず。
ビザの有効期限は1か月が最小単位で、申請料金は1か月50オーストラリアドル(以下AUD)から。
手数料が安い海外送金サービスを利用して、振込が完了後、送金サービスの送金明細をDLすれば、これが支払い証明になる。
振込時には、振込先の住所が必要。住所はブリスベンのナウル総領事館の住所(Level 3, 99 Creek Street Brisbane, QLD 4000 Australia)を記入。
なお、振込時にはリファレンス欄(筆者が振込に利用したRevolutの日本語アプリだと「参照」欄)に、VISA T-アルファベット記載の自分の苗字 を入力する必要がある。
例えば申請者が山田さんの場合、VISA T-YAMADA となる。入力忘れに注意して頂きたい。

パスポートの顔写真ページと顔写真は、スマートフォンで撮影した簡易なものでも対応してくれた。
預金残高証明書は、申請時点で就業していない人のみ必要となる。会社勤めや自営業の方は、代わりに英文の在職証明書が必要。
ワクチン接種証明書は、紙版の写真でも、アプリ版証明書のスクショでもどちらでも問題なかった。入国の際に提示を求められる事もあるので、出発時にも用意しておいた方が吉。
書類提出時には、申請書類の一式と、振込時に記入したVISA T-〇〇をメール本文に記載し、送付する。ビザ申請、審査には時間がかかるので、余裕をもって申請しよう。
ちなみに、筆者は申請してからビザの受領するまで1か月程度の時間を要した。審査状況についてメールをしても無視され、かなりやきもきした。
あまりに連絡が来ないので、他の担当者にメールをしたり、日本語ツイッターアカウントにDMを送ったりしたら、ようやく元の担当者から返事が来て進展した。
ただ、返事が来てからビザの受領までは更に1週間程度の時間がかかった。こういう事もあるので、ギリギリで提出するのは止めよう。
ビザ申請については、以下のサイトもわかりやすいので、参考にしていただきたい。

さざなみ壊変
「伝説の国ナウルに行く方法がコロナで完全に変わったのでまとめた。苦労の末に日本語で検索してはダメという真理にたどり着く」
https://sazanami.net/20230809-nauru-visa-application-guide/

ナウル観光サイト
https://naurutourism.com.nr/apply-for-a-visa/


ホテル

ホテルマップ

観光客はあまり多くないナウルだが、再開されたリン鉱石の掘削や、オーストラリアからの難民を受け入れるキャンプ関係者の需要もあってか、ホテルの空室を探すのは難しい。
また、近年主流のBooking.comやAgodaといった仲介サイトを使える宿や、民泊でおなじみAirbnbに対応している宿もないので、こちらもホテルとメールでのやり取りが必須となる。
※2024年4月現在、Booking.comに対応した新しいホテルが一軒あるのを確認。

下記に挙げたホテルと比べてもコスパは良さそう。


ホテルのメールアドレスは、ビザ申請のメールに添付されている。されていなかったら、担当者にメールで問い合わせてみよう(どのみちホテル予約がないとビザの申請は出来ない)
担当者からアドレスを紹介されたホテルは以下の2件。

①メネンホテル(Menen Hotel)

レセプションや売店の入る棟

今回の渡航で滞在(5泊)した、島の東部に位置する国営ホテル。空港からは車で10分程度で、ナウル航空便に合わせて無料送迎も行っている。
レセプションや高めの部屋が入るメインの建物は、一昔前の南国リゾートのような雰囲気だが、筆者が宿泊した安めの部屋が入る棟はこんな感じ。

インフラ工事用の宿舎かな?
ただ、こんな外見でも部屋はしっかり整備されている。

部屋のクオリティは申し分なかったが、滞在中、いくつか問題もあった。
・急に水が出なくなった(当日中に復旧)
・日曜日はハウスキーピングが休み
・チェックアウト時に何故か1泊辺りの単価が上がっていた(交渉したら元の価格に落ち着いた)
・レセプションで保管してあるはずのチェックイン時の書類(価格も記載)を紛失

至らないところもあるが、部屋のクオリティ等も考えると、ナウルでは上澄みの方ではある。
お値段は1泊2人で160AUD程度から。会計はクレジットカード(VISA,マスター)でも支払い可。

②エワロッジ(Ewa Lodge)

島のほぼ北端に位置するホテル。今回は予約が取れなかった。
設備は非常に整っていると評判。空港からは無料の送迎サービスがあるらしい。
島の中心部である空港周辺からは大分離れた位置にあるが、スーパーマーケットや酒屋などが同居するショッピングモール(日曜定休)に隣接している為、利便性は高い。
レセプションの類は無く、管理人も不在の場合があるため、どういう管理体制になっているかは不明。


この他にも、島内には2軒ほどホテルがある。

①オドゥンアイウォホテル(Od-n Aiwo Hotel)

お洒落な外観

空港や島の中枢からほど近い場所にあるホテル。空港から1kmほど離れた場所にあり、荷物の量次第では徒歩アクセスも可能。
メネンホテルが空港から若干遠いこともあり、出国前日の1泊のみ滞在。
中々年季を感じる外観ではあるが、整備はそれなりにされている印象。
アクセスも良く、設備も悪くないのだが、唯一の欠点は断水。23時から5時まではトイレ、シャワー含め水が一切使えない。
しかもチェックイン時に案内が一切無く、23時を過ぎてから水を使おうとした筆者は非常に困った(10分だけ水のスイッチを入れてくれて難を逃れた)
なお、5時になっても水は使えず(おそらく担当者が寝ていた?)復旧したのは7時半過ぎだったので、シャワーやトイレを気兼ねなく使いたい人にはあまりお勧めできない。
会計は現金払いのみ。

②ブダペスト(Budapest Hotel)

かつては島内屈指のホテルと評判だったが…

島の北部に位置するホテル。
かつてはナウル国内でもトップクラスのホテルと評判だったが、コロナ後に状況が変わったのか、現在は現地人の住居に転用されたよう。
一応宿泊もできるようだが、内部を見たかずぴーさん曰く、「大分荒廃している」との評だったのでおすすめはしない。


この他、外国人も宿泊可能な民泊施設もある模様。
詳細な情報については、ビザ申請担当者に問い合わせてほしい。


交通

鮮やかな青色が特徴のナウル航空B737-300型機

ナウルへ
島国ではあるが、フェリーなどの客船は無く、アクセスはナウル航空(ON)の便のみ。
ナウル航空はブリスベン(オーストラリア)やナンディ(フィジー)、タラワ(キリバス)など、近隣諸国の空港に週数便程度就航している。
日本からのアクセスだと、ブリスベン経由が一番手っ取り早い。ブリスベンへは、成田空港からカンタス航空(QF)とジェットスター(JQ)が毎日1便ずつ運航。
このほか、23年の冬ダイヤでは、ナンディ便が成田発着のフィジー航空(FJ)便と接続可能な時間帯に運航するようになった。
(待ち時間は日本発ナウル行はナンディで約3時間、ナウル発日本行は約半日。いずれも現地金曜発)
ナウル航空はほとんどの路線がアイランドホッピング便という事もあってか、遅延が多い。また、どの路線も週1~3便程度しか運航していない為、弾丸旅行でナウルに訪問したい方はその点を考慮したうえで、じっくりプランニングをしてほしい。
時間やお金に余裕がある方は、フィジーやキリバス等の近隣諸国を旅程に組み込むのもおすすめ。
路線やダイヤは流動的で、頻繁に変更がかかるため、渡航の際はナウル航空の公式HPでダイヤなどを確認してほしい。
航空券は公式HPから、クレジットカード(ビザ・マスター・アメリカンエキスプレス)で購入可能。

ナウル航空 公式
https://www.nauruair.com/


島内交通

使われなくなったバス停

道路は島内を一周する道路と、採掘場やオーストラリアの難民収容所へのアクセス道路などは舗装されている。信号機は島内に一機もない。
公共交通の類はない。コロナ以前は少ないながら公共のバスが走っていたようだが、今は走っていない模様。
タクシーもなく、島内の移動は基本的にヒッチハイクがメインとなる。
筆者の体感だが、合図を出せば6,7台に1台位の割合で乗せてくれる(朝夕の通勤、帰宅時間帯になると成功率は下がる)
チップは受け取ってくれる人と、受け取らない人が拮抗している印象。念のため、どんな車であっても払う素振りは見せておこう。
(相場は不明だが、筆者は毎回下車する際に1AUDを提示した。)
レンタカーは前述のエワロッジや、いくつかの商店で貸し出されている。
ナウルは国際免許のジュネーブ条約締結国ではないが、日本の外務省によれば、国際免許証でも最長1か月の運転が可能だそう。
また、日本の免許証でも運転出来た事例もある。詳細な情報はレンタカー業者に問い合わせてほしい。

道路交通での注意点は、空港付近の道路。
ナウル空港付近の道路は、空港の誘導路と平面で交差している箇所があり、飛行機の離着陸時は、交差箇所は通行止めとなる。
島の東西の行き来や、島西部から空港のターミナルビルへ向かう際は滑走路南の迂回路を通る必要があるため注意してほしい。

通行止め区間と迂回路
通行止め中。赤いフェンスの向こう側は誘導路兼公道


鉄道は、リン鉱山黄金期に鉱石運搬用の路線が存在したものの、現在は全廃。
鉱山付近にはレールがそのまま残っており、博物館に行けば当時使われていた蒸気機関車が軒下に展示されている。

博物館に展示されている蒸気機関車

通信と金銭


通信
ドコモ、au、ソフトバンク、ahamoのユーザーはローミングサービスを利用出来る。
現地の通信会社はDigicelの1社のみ。Digicelは4GLTEに対応しており、対応バンドはB3(1800)。
速度は計測していないが、動画や画像の多いサイトでなければ無難にブラウジング可能な速度感だった。
SIM購入はシビックセンター内にあるDigicelの店舗が一番手っ取り早そう。空港にもDigicelのカウンターが設置されているが、現在は営業していない様子。
SIMはメネンホテルのレセプションでも購入可能。メネンホテルでの販売価格は以下の通り。個人的にはやや高めに感じる。

SIM代20AUD。データプラン代もプラスと考えるとお高め?

この他にも、Amazon等で購入できる一部海外旅行用SIM(タイAIS社など)の他、eSIMのTRAVeSIM(https://www.travesim.com/)もナウルでの利用に対応している。
金銭的には現地でSIMを買うよりも、ahamoのローミングか、AISのSIMやTRAVeSIMを利用する方が負担は軽いと思う。

金銭
日本円の両替は当地では期待できない。
ATMはメネンホテルのレセプションや、エワロッジ併設のショッピングモール、シビックセンターなどに設置されている。
メネンホテルやエワロッジのATMはキャッシングも可能(シビックセンター内のものは出来るか不明)。オーストラリアのベンディゴ銀行がサービスを提供している。
※2023年11月、ベンディゴ銀行はナウルでの事業から24年12月までに撤退する意向を表明。別の銀行が事業を継承する方向で調整中とのこと。
(リンク)
クレジットカードはメネンホテル(レストランを含む)、シビックセンター内のスーパー、エワロッジ併設のショッピングモールや、一部商店、レストランで利用可能。
ビザやマスターカードがメインで、その他のブランドは殆ど利用不可。一部店舗ではグーグルペイやアップルペイでの決済も可能。
カード利用時は手数料が上乗せされる場合もあるので注意。

観光とアクティビティ

観光マップ


第二次大戦の戦跡

山の上に放置された高射砲
海岸に佇むバンカー

第二次世界大戦中の1942年から日本の占領下にあったナウル。
占領中に日本軍が設置した防空壕や刑務所、大砲(高射砲)などは、現在も一部がそのまま残っている。
特にバンカーは海岸をしばらく歩いていれば、1個は確実に見つかる。
大砲の多くは高地に残されているが、リン鉱石採掘で山の一部を切り開いたり、登山道が全く整備されていなかったりで、アクセス難易度は高めのものが多い。
戦跡についての詳細は、観光情報サイトのコンタクトページで問い合わせるか、
23年冬コミ(C103)にて、かずぴーさんのサークル、さざなみ壊変から出版される「破綻した世界一の金持ち国 ナウル共和国の実態と日本海軍の砲台」を参考にしてほしい。

ナウル観光情報サイト コンタクトページ
https://naurutourismcom.wordpress.com/contact-us/?preview_id=73&preview_nonce=05a8ac1845&preview=true

さざなみ壊変 詳細ページ
https://sazanami.net/20231212-c103/



ナウル国立博物館(Naoero museum)

外観
零戦の残骸

空港の南、ナウル国政の中枢に程近い場所に位置する国立の博物館。Naoeroはナウル語でナウルという意味らしい。
日本軍の日用品、軍票、零戦の残骸や砲弾といった二次大戦関係の収蔵品はもちろん、ナウル全盛期の写真や昔の住宅様式などが展示されており、屋外にはリン鉱石運搬用の蒸気機関車や高射砲も置かれている。
入場は無料。グーグルマップによれば土日休みだそうだが、筆者が訪れた土曜日は開いていた。

台湾大使館

シビックセンターに掲げられていた中華民国旗。大使館は2階に設置されていた。

シビックセンターの2階に入る、台湾(中華民国)の大使館。
特に中に入って何かが出来る訳ではないが、台湾大使館は世界に11か所しかない為、中々貴重。

※2024年1月15日追記
南太平洋の島国ナウル 台湾と断交 中国と国交樹立へ 声明発表(NHK)

突然国交断交を発表したナウル。
24年1月時点で、既に表札などは撤去された模様。

中々見れない表札だったが、これも過去のものに。


カンティレバー

現在も稼働している機材

空港の滑走路西側から見える、巨大な構造物。
ナウルは遠浅で大型船が接岸できない為、リン鉱石を船に積載する際は、この巨大なクレーン様の装置で船に積載する。
滑走路脇から見渡せる2基は、過去使われていたもので現在は壊れていて使用不可。現役のものは、少し北の第二次世界大戦慰霊碑付近に設置されている。
どちらも砂浜からアクセスすれば接近して見学可能。

哀愁漂う旧型機。これはこれでかっこいい。



国会議事堂(Parliament House)

手前が国会、奥が政府庁舎。
議事堂の内部。これだけ近くで見れる国会も珍しいと思う

空港の南側に位置するピンクの建物が、ナウルの立法府。
平日のビジネスアワーであれば議事堂の内部を見学可能。見学時には職員が付いて案内をしてくれる。(議会開催時はおそらく不可)
日本の国会見学のように傍聴席からではなく、議事堂の内部にも立ち入り可能で、運が良いと議長席の椅子に座れることも。
小国とはいえ、一国の国会議事堂をしっかり見学できるので面白いスポット。

アニバレ漁港

のどかな雰囲気の漁港。

アニバレ地区に位置する、整備された漁港。
整備にはJICAも携わっていて、魚市場スペースもある(利用頻度はあまり高くなさそうだが)。
本来の用途は漁港だが、島全体が遠浅で、ビーチにもゴツゴツした岩が多いナウルにおいて、恐らく一番遊泳に適している場所。
実際、漁船がいない間は地元住民の水遊び場としても機能している。
水も綺麗なので遊泳には最高だが、現役の漁港で船の出入りもある為、安全確認をしっかりしたうえで遊泳してほしい。

ビーチは岩がちな場所も多い。遊泳には向いてないが、景色は面白い。


海釣り

海釣りを終え、アニバレ漁港に帰ってきた船

ナウルを訪れる旅行客の間でおそらく一番メジャーなアクティビティ。
ナウルは遠浅であるものの、沖合に出ると水深がかなり深くなる事から、様々な魚が釣れるらしい。
ボートをチャーターし、沖合に出てキハダマグロ、カジキマグロ等を狙うのがポピュラー。
海釣りツアーはEquatorial Gamefishing Chartersという会社で受け付けている。

Equatorial Gamefishing Charters
https://www.capelle.com.nr/equatorial-gamefishing-charters-nauru


スポッティング

航空写真初心者でも撮りやすい

スポッティングとは、航空ファンが航空機の写真撮影や航空機の動向を追跡する趣味である。 (ウィキペディアより)
ナウルはスポッティング初心者にも優しい国である。ナウル国際空港は滑走路をぐるっと囲むように公道が敷かれており、滑走路の両端での撮影も容易。
加えて、滑走路を囲むフェンスも全体的に低い。高いところでも、身長171cm程度の筆者の顎にかかる程度の高さしかない為、場所さえ間違えなければ障害物を気にせず撮影可能。
望遠レンズさえ持っていれば、ド素人でもそれなりに迫力のある離着陸シーンを撮影する事が出来る。
難点は、航空便が非常に少ない事と、ナウル航空のボーイング737型機くらいしか撮れない事か。撮影時にはFlightradar24などで時刻やルートを確認しておこう。

安全にはご注意を


食事と買い物

食事

レストランの数自体は、人口1万人程度の島国としては多い。
しかし、ナウルのレストランのほとんどは、中国人経営の中華料理屋である。
「あんな南の島なのに、何で中華?」と思われる方も多いかもしれない。
イケイケドンドンだった頃のナウルは、国の主産業であるリン鉱石の採掘を含めて、主要な仕事の多くは外国人労働者がこなしていた。
実際、1986年にはリン鉱石と直接関係ない公務員でさえ3割程度を外国人が占めていたという。
リン採掘の労働者には中国人も多くおり、中華料理屋は恐らく彼ら相手の商売として始まったのだろう。
リン鉱石バブル終焉後、多くの外国人労働者は帰国したものの、島内のレストラン、商店の多くを経営し、
島の民間経済に欠かせない存在となっていた中国人は、ある程度この島に残ったと思われる。
(後半は筆者の想像)

中華料理には困らない島

前置きが長くなってしまったが、それだけ中華料理屋が多いので、中華料理を食べるのには困ることはないと思う。
安い店であれば、8AUD程度で炒飯などのご飯ものを頂ける。
が、毎日中華では飽きてしまう人も少なくないと思うので、中華以外の料理を出してくれる店を纏めて掲載する。

レストランマップ

メネンホテル

ハンバーガーとオニオンリング

広めのレストランが併設されている。
中華などのアジア系料理から、ハンバーガーやステーキなどウエスタン料理を提供。
会計はクレジットカード利用可能。

ザ・ベイ(The Bay Restaurant)

メネンホテルから北へ約1km、アニバレ漁港にほど近いレストラン。
ホテル欄で紹介したエワロッジと経営母体が同じらしい。
ナウル1のレストランと評判で、アジアやウエスタン料理のほか、マグロの刺身も食べられるそう。日曜定休。

トロピカーナカフェ(TOROPICANA CAFE)

エワロッジ併設のショッピングセンター内にあるカフェ。
軽食のメニューが豊富で、デザート類も充実していた。日曜定休。

OMGスシ(OMG Sushi)

島の西部、第二次世界大戦慰霊碑にほど近い位置にあるレストラン。
店名の通り、寿司レストランではあるが、実際は寿司も提供している中華料理屋。
寿司は日本の寿司ではなく、海外のスシ。ネタとなる魚はマグロとサーモンのみで、店主曰くマグロはナウル産らしい。(本当かはわからない)

タウンエース(Town Ace)

これが最高に美味しい。

オドゥンアイウォホテルの近くにあるガソリンスタンド。
スタンド内の店舗では、ヤシの木の樹液に、ハチミツなどを混ぜた「トディ」という飲み物を提供している。
家庭料理を提供するレストラン等がほとんどないナウルにおいて、当地らしい味を楽しめる貴重な場所。
トディ自体は非常に爽やかな飲み物で、特に暑い日に飲むと最高に美味しい。日曜定休。


買い物とサービス

買い物マップ(主要店舗のみ)

商店の数も、1万人規模の島にしては多いと思う。
大型の店舗は少ないが、飲料、食料、日用品などを販売している中小規模の店舗であれば、島内を一周する道路を5~10分程度歩けば1店舗は見つかるはず。
食事の欄でも記載したように、中国人経営の店舗が多い。土日に開いている店もほとんどが中国人経営の店だ。
中小規模の店舗の多くは、現金決済のみの場所が多い。現金は多めに用意しておこう。
クレジットカードも使える大型店舗は以下の2軒。

アイギグスーパーマーケット(Eigigu Supermarket)

シビックセンター1階にあるスーパーマーケット。食料品や日用品などを取り扱っている。
ナウルの日本語ツイッターアカウントでたびたびネタにされる、国営スーパーとはここの事。ナウル産のペットボトルウォーターも購入可能。
ナウル島内では大きい部類に入る店舗だが、船便の寄港間隔が空くと、生鮮食品を中心に一部商品の品ぞろえが不足気味になるのが玉に瑕。
日曜定休。

カペレ(Capelle and Partner)

エワロッジ併設のショッピングモール。
島の規模の割には中々大きいモール。2階建てで、食料品や日用品、衣料品や自転車は1階。2階は家電や家具、楽器やゲームソフトなども販売されている。
アイギグが品不足気味でも、こちらは品ぞろえ豊富な事が多く、島内で一番の買い物スポット。
日曜は併設のトロピカーナカフェや酒屋も含めて定休日。


そのほか、空港周辺の店舗1軒と、コインランドリーを紹介。

ピッキンセーブ(Pick n Save)

空港に隣接する商店。
ナウル国際空港は、制限エリア外に売店が一切無いため、フライト前にお菓子等を購入したい場合はここがおすすめ。
アクセスは簡単で、ターミナルを出たら左に曲がって少し歩くだけ。健脚な人なら1分もかからないと思う。
土日も営業している。現金決済のみ。

ローンドロマット(Laundromat)

ヤレン地区とメネン地区の境界付近に位置するランドリーショップ。
洗濯と乾燥合わせて10AUD。やや乾燥が甘い時もある。
グーグルマップで検索すると、エワロッジ近辺にも店舗があるようだが、こちらは営業しているか不明。
日曜定休。

土産屋

ナウルTシャツ。1968はナウルが独立国になった年。

せっかく遠方に来たのだから、何かしら土産物を購入したい人も多いだろう。
この項目では、ナウル土産を買える店舗をいくつか紹介する。

カペレ(Capelle and Partner)

エワロッジ併設のショッピングモール。
衣料品コーナーにナウルや釣りがテーマのTシャツなどが販売されている。


ナウル郵便局(Nauru Postal Service)

普通の商店みたいな入口

シビックセンター1階に入る郵便局。切手にNauru Postとアホウドリが描かれたロゴの看板が目印。
大量にファイリングされたナウルオリジナルの切手や、絵葉書も購入可能。切手や絵葉書はレジ付近の棚に置かれている。

切手と絵葉書が載る棚。一番下の棚に置かれているのは、巨大なナウル国旗。


ナウル空港売店

搭乗待合室の隅で営業中。

ナウル国際空港の制限エリア内にある売店。
菓子類や飲料の他、Tシャツやマグカップなど各種土産物も販売。


注意事項


基本的にのどかで平和な島である為、人間由来のトラブルはあまり警戒しなくていいと思う。
しかし、そんな島でも気を付けておきたいポイントをまとめて紹介。

日焼け

赤道直下の国で、1年を通して太陽の位置がほとんど変わらず、日差しも強烈。
そんな国だから、何も対策をしないで出歩くとすぐに肌がこんがり焼き上がる。
筆者は帽子を着用し、長袖長ズボンで行動したが、それでも帽子の影に入らなかった首回りや、手の甲などはガッツリ日焼けしてしまった。
渡航の際は、日焼け止めを忘れずに。

藪の中に隠れていた高射砲

日本軍の高射砲など、一部の戦跡は人里から離れた高地や、藪の中に隠れており、探索すると蚊やハエなどと多数遭遇する。
デング熱など蚊が媒介する病気の発生事例もある事から、行動の際は、強めの虫よけスプレーやクリームを用意したほうが吉。

山の上に今も残るバンカー。戦跡への登山道は基本的にあまり整備されていない。


恐らくナウルで一番怖い生物。島内には放し飼いの犬や、野良犬と思しき犬が多数生息している。
普通に歩いているだけで、追ってきたり吠えてきたりする事も。噛まれる危険性もあり、リードのついていない犬を見かけたら、慎重に距離を取るのが賢明。
また、ごみ箱や木の裏側などの物陰で横になって寝ている事もあるので、間違って踏んだりしないように気を付けよう。
ナウルは狂犬病こそ確認されていないものの、破傷風などのリスクはある。当地は医療機関が充実していない為、くれぐれも嚙まれないように。


長々と書き連ねてきたが、いかがだっただろうか。
正直、日本人の年間渡航者数は3桁どころか、50人もいないであろう国の、6日だけ滞在した旅行者が書いたガイドに需要なんてほとんど無いだろうが、
ナウルへ向かう旅行者や、ナウルに興味のある旅好きの参考になればと思う。
今回の記事はここまで。次はフィジーの温泉について投稿する予定なのでそちらもぜひ。










地球の歩き方さん、需要少ないのはわかるんですけど、ミクロネシアの島々もガイドブック出してください。お願いします。



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