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絵ができるまで⑤ 「八月のひかり」装画

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「八月のひかり」の絵ができるまでです。
(汐文社、著:中島信子、デザイン:鈴木久美)

あらすじ:
八月、夏休み。
五年生の美貴は、働くお母さんのかわりに料理や洗たくをして、毎日を家ですごしていた。
美貴には、夏休みに遊ぶような仲良しの友達はいない。学校でも、だれとも友達になりたくないと思っていた。
それには理由があって……。
現代の子どもを取り巻く問題と、子ども自身の繊細な気持ちを深く描き出した、傑作児童文学。

1.きっかけ

汐文社の編集の方から、メールにてご依頼をいただきました。装画を誰に依頼するか悩んでいるときに、webサイトで僕の作品を見て、決めてくださったそうです。

2.ラフ

この時は旅行でミャンマーに来ていて、帰国は2週間後の予定だったので、原稿はPDFで送ってもらいました。4月のミャンマーはちょうど暑季で、気温は40℃近くありました。暑い夏のお話を、暑い国で読めることになんだか不思議な縁を感じました。

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ラフは4パターン送りました。編集の方からのリクエストは「夏の風景+女の子(主人公)」で、夏の感じが出ていれば結構自由、という感じだったので、余白の面積を大きく使って夏っぽさを出すことに挑戦してみました。

3.かきこみ

編集さんとデザイナーさんが話し合い、「1」で行くことになりました。木を描きこんでいきます。

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光が当たっている葉っぱと、影になってる葉っぱをしっかり区別し、幹は上に行くにしたがって葉の緑に溶け込んでいくように描きました。

描きこみをしているときはずっと、「本当にちゃんと完成するのかな」という不安な気持ちがあります。こんなに広い面積の葉っぱや幹を、最後まで描ききる技術があるかな、とか。でも迷いながらあれこれやって半分くらい描けると、あ、たぶん大丈夫だな、となってきます。最近は毎回そんな感じ。

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幹や葉の感じは、現地の木を撮影して参考にしました。迫力がすごい。

さて、木は描けたので女の子を描きます。ポーズをいろいろ試したかったので、数パターン描いてみて、木の下に当てはめてみます。ちなみに、ラフでは完全に後ろ姿でしたが、編集さんから「児童書なので顔が見えた方がよい」と言われていたので、少し振り向き気味な感じにしています。

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地面も描きました。白いものは日陰では青くなって綺麗なので、石と女の子の服は白色にしました。この青は、空の色を映しているものなので、空そのものが描かれていなくても、青空をイメージさせる効果があると思います。

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仕上げにまぶしい感じをだすために、細い光の筋と、こまかい白い点を追加しました。

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4.完成

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5.挿絵

今回は本文の挿絵もたくさん描かせていただきました。どれもお気に入りです。

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6.制作期間

最後に、たまに聞かれるので作ってみました。途中ゴールデンウィークをはさんでるので、少しゆっくりめな感じでした。

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では

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