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絵ができるまで③ 「かがやけ!虹の架け橋」 装画

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「かがやけ!虹の架け橋」の絵ができるまでです。ラフや修正のことなど。
(アリス館  著:漆原智良  デザイン:城所潤)

1. きっかけ

デザイナーの城所(きどころ)さんが、たまたまTwitterで僕の絵を目にして、今回お声かけしてくださったそうです。木内達郎さんのRTで見たそうなので、お二人には大変感謝しております。Twitterにも感謝。

2. ラフ

今回の本はノンフィクションなので、あまりファンタジー感を出しすぎないこと、また児童向けなので、暗い絵にしないことなどが打ち合わせで決まっていました。さらに著者の漆原さんからのご要望で、絵の中に虹を必ず入れることも決まっていました。画像2

それをふまえて、3つのラフを作成しました。条件を守りすぎてつまらない絵になるのは避けたかったので、自分なりに面白い絵を目指そうと、少し変わった構図に挑戦します。虹は普通に描くとチープになるので、かなり薄めにしました。

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1つめは、子供たちが堤防を駆け下りているところ。さすがに1つ目なので、シンプルで無難な、まあ優等生っぽいラフです。

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2つめは、池のそばを走っているところ。水面に反射している虹を見せたかったかったので、子供たちは上半身あたりでトリミングしました。あえて顔を見せないという、少しキザなラフです。

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3つめは、木に登っている子供たち。これは完全にヤンキーなラフです。最後まで描ききれるかどうかすら怪しいです。かなり冒険しました。通ったら面白いなくらいの気持ちです。

3. 修正

城所さんは、1と3を推してくださいました。特に3は、チャレンジした感じがいいねと。ただファンタジー感が少し強いので、震災モノだとどうしても「天国」を想起させてしまうということもあり、結局1の優等生で進めることになりました。

ここで、タイトルを仮配置したものをいただきました。

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これを見るまではなんとなく、タイトルは右上に縦書きで入るかなーと思っていたので、あーそこに入るのか、と少し驚きました。(ちなみに赤線は、帯の位置を示しています)

これを参考にしながら修正ラフを描きます。担当さんからは、虹をもう少しはっきり描いてほしいと言われていたので、そのように(下図)したところ、

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もう少し濃くしてほしいと言われ、

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これでOKが出ました。
虹はこの本の大切なキーワードなので、おおっぴらに見せたいという意向はなるべく汲みたいのですが、ここまで目立つと、全体の絵としてのバランスが崩れてしまうのではという不安もあります。

4. 全体ラフ

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そんな不安を抱えつつ、全体のラフを描きました。今回は裏表紙にも絵があるので、堤防の景色をそのまま延長させます。城所さんいわく、カバーの重要度は「表紙:背:裏表紙=7:2:1」だそうなので、あまり考えすぎずに描きます。バーコードをひょっとよけるくらい。

5. かきこみ

全体ラフのOKが出たので、描きこんでいきます。

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普段は人物の顔は描かないことが多いですが、今回は児童向けですし、楽しげな表紙にしたかったので、しっかり描くことにしました。やさしい表情が描けて嬉しいです。

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さて、この派手な虹をどうするかは大きな課題でしたが、実は三色で描けることを発見し、あっさり解決しました。主張しすぎず、印象的な虹にすることができました。よかった。

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少しまだファンタジーっぽさがあったので、遠くのほうに建物や車などの人工物を追加して、天国感をやわらげました。

6. 完成

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最終的にこんな感じに。

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バーコードも完全によけきりました。

最後に個人的お気に入りポイントを。

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左奥の車(印刷時車高1mm)

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遠景の建物

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真ん中の女の子の髪

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ひなたの柵

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ひかげの柵

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