見出し画像

【本気の噺 ゆかいな仲間たち 第2回】

落語であなたの人生をナビゲート!おとうふメンタル〇ら落語コンシェルジュ®相山・美奈:子:です。

今宵は、愉快な仲間たちの本気の噺を聴きに池袋演芸場へ。

★桃月庵あられ 呑める

声も体も師匠のミニバージョンのよう。手慣れた感じがする。前座さんにしては妙な貫禄。

★古今亭菊志ん 縁切榎

まくらは縁や正蔵師代演の話。主人公は芸者とお嬢さんとどちらを切ろう?で悩むが、どっちも好きはどっちも好きじゃない。彼は自分が好きなだけ。声は出しているが顔で話すのは圧倒される。いいかげんな奴なのに憎めないのは、菊志ん師匠だからか落語国の住人だからか。登場人物の真面目な中におかしみを感じる。

★林家正蔵 鹿政談

突然のハプニング?に顔色一つ変えないのはさすが。雨の夜の池袋演芸場でゆったりとした気分で聴く。奉行の穏やかそうな話し方に、周囲を気遣い本質を見抜く聡明さがある。

★古今亭菊太楼 居残り佐平次

強飯(おこわ)の説明のまくらから。ここで「おこわにかける」の意味をさりげなく。実は私はこの噺は好きではない。佐平次が好きでないのだ。彼のコミュニケーション、器用さ、ずぶとさ、要領のよさはどれも私が持っていないものばかりで、ついああだったら人生はこんなに傷つかないで過ごせたのではと思う。そう思うと胸がチクッとして楽しめなくなってしまう。

佐平次は胸を病んでいると話すシーンがあるが、あれとて本当かどうかわからない。自分にもそんな面があるんだよと仲間にアピールしているようにも感じる。

彼は全力で(そうは見せずに)居残りをし、そこに己の全てをかけて生きている。居残りという生き様。彼も必死。朝になり若い衆に起こされる佐平次の座敷が見え、障子が開き、青い品川の海が見えた。佐平次のことを少し好きになれたような気がした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?