「季節のない街」
クドカンによる2023年の配信ドラマ「季節のない街」をテレビ東京で流してくれています。話題作となった「不適切にもほどがある!」の前に「あまちゃん」のパロディと自己解体のドラマがあったことはもっと考慮すべきでしょう。
『ゼブラーマン』とか「吾輩は主婦である」のように本歌取りが得意というか、ある意味それしかできない宮藤官九郎ですが、それだけに現代的な問題を盛り込むのがうまい脚本家です。
12年、つまり干支が一回りした時期を狙って東日本大震災の復興の内実を描くドラマを打ち立てるのに、山本周五郎と、それから黒澤明の『どですかでん』1970を持ち出すのは、見事と言うしかありません。
山本周五郎は批評に恵まれない作家ですが、それは生前からある人物が解釈権を独占していたという不幸があったからです。その呪縛が解けた今、もう少し縦横に論じられるべき作家だと思います。それは黒澤作品の『椿三十郎』や『赤ひげ』の原作者であるからというだけではありません。
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