見出し画像

長谷川式簡易知能評価スケールって今の時代にあってます?

認知症かどうかを調べる簡易的な試験として長谷川式簡易知能評価スケールというのがあります。

いくつか簡単な質問をし、回答によって点数をつけ、約30点中20点以下なら認知症の疑いありと判断するものです。試験の内容は「長谷川式簡易知能評価スケール」でぐぐれば見ることができますが、一度見てしまうと実際に病院で試験をするとき、役に立たなくなるのでやめておいた方がいいです。

というのも、簡単な試験ですから試験内容を覚えてしまえば簡単に認知症の疑いなしになってしまうからです。

実際に私が経験した例をお話ししますと、父が某大学病院の精神神経科に通っていたのですが、どうも認知症の気があるのではないかと私が思い、診察の最後にそのことを医師に話したらその場で長谷川式簡易知能評価スケールを実施してくれました。結果は17点で、認知症の疑いありとなり、後日CTともの忘れ検査を受けました(父はペースメーカーを埋めているのでペースメーカーを埋めててもMRI検査を受けられる病院であればMRI検査を受けられるのですが、その大学病院は対応してなかったのでMRI検査は行われませんでした)。

検査の結果は海馬や脳に萎縮が見られるというものでした。

今後の治療の話になったとき、母が家の近くの某大学病院で認知症の治療を受けているのと、今の病院が家から遠いので、母と同じ病院で治療を受けたいことを伝えたところ、母が通院している病院は認知症の治療に力を入れているのでそちらの方がいいですねということになり、紹介状と診療情報提供書を作成していただき、母が通っている病院に電話して予約を取りました。

母が通っている方の某大学病院で最初の診察を受けたのですが、そこでも長谷川式簡易知能評価スケールを受けました。点数は25点と、20点以下ではありませんでした。

医師は「点数は25点なんだけどねぇ」と言いながらも、父に試験の内容を覚えていたかをきかれたところ、1回目は突然の試験だったので気が動転していたけど、今回は落ち着いてできたことと1回目の試験の内容をある程度覚えていたと答えました。

試験というのは誰が何回やっても同じ結果が出ないとダメだと思います。レントゲンを撮るとき、人だったり回数によって違う写真が写ったら困りますしダメですよね。

それと同じように長谷川式簡易知能評価スケールでも同じ結果が出ないと困ります。

長谷川式簡易知能評価スケールを開発した長谷川和夫さんが書いた「ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」という本を読みました(2023年6月10日(土)時点ではKindle Unlimitedに入っていれば0円で読めます)。

まだ認知症のことを痴呆(ちほう)とか呆け(ぼけ)と呼んでいてどう対処すればいいか医師も分からない頃に開発された試験ですので当時としては画期的だったのではないかと思います。ですが今はCTやMRI、RIなどがあり、脳がどのような状態にあるのかより分かるようになっています。誰が何回やっても同じ検査結果が出るでしょう。

そのような状況で1回目と2回目で結果が違ってしまうような検査に意味があるのでしょうか。問診で支離滅裂ならそれでも認知症と分かるのではないでしょうか。

海馬や脳の萎縮があっても常人と変わらない人が多くいるというなら口頭での試験にも意味があるでしょう。でも実際のところ、そのような人っているのでしょうか。

このような経験をしたことにより、長谷川式簡易知能評価スケールは試験内容を全く知らない状態での1回目の試験の結果はある程度参考になると思いますが、試験内容を知っていたり2回目以降の場合は全く参考にならない試験と思いました。

問診で認知症かどうかの判断をする基準が必要とするなら、さらに工夫をこらして誰が何回やっても、そして試験内容を覚えられても同じ結果が出る試験の開発が必要なのではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?