居飛車クリニック②~とある狼くんに捧げる力戦の考え方~

玉頭銀の対処と力戦への考え方

狼と将棋を指しました。
新年ボケに見えますが、私は至って正常です。たぶん……?
ああっ石を投げないで💦

あけましておめでとうございます。
今回は、そんなとある狼さんとの対局を振り返りながら、力戦の考え方を簡単に記していきたいと思います。

は? 玉頭銀? 許さんが???

玉頭銀は許しまへんで~という▲75歩

先手は私、後手はオオカミさん。
早めの玉頭銀を見て躱す手を選択しました(無視して速攻を仕掛けたほうが良いようです)

早い段階で決め打ちされる作戦に対して重要なのは「方針の一貫性」です。
これは仕掛け側、対応側双方において重要です。

方針の一貫性

今回の場合
私「は? 歩なんか渡さんが??? このまま銀はニートにしてくれますわ!!」
狼さん「銀でプレッシャー掛けたるで!! あわよくば歩をくれ!!」
が方針だと思います。

したがって、

私「は? 歩なんか渡さんが??? このまま銀はニートにしてくれますわ!!」
⇒ 銀が仕事をする前に速攻を仕掛ける
銀が働かない+銀を動かした分の手数をまるまる無駄になるので相手の防御が薄い

狼さん「銀でプレッシャー掛けたるで!! あわよくば歩をくれ!!」
⇒とにかく銀に仕事をさせたい
ということは、相手と逆のことをすればいい
相手の速攻を防ぎながら玉の頭で圧をかける

という考え方が基本になります。
もちろん、方針は流動的です。ただ、自分と相手の大きな方針を理解しておくことで、指し手が分かりやすく、高等な駆け引きが可能になると思います。

本局の場合

方針通りの速攻。既に先手が若干ペースを握っているように思えます

本局では、この▲45歩でペースを握ったと感じました。
先手の速攻が成立して、後手は銀が機能しないまま、否応なしに戦いに巻き込まれてしまうからです。
後手は逆に、速攻を受けないように事前に△32金といった手を指しておく必要がありそうです。(今回の場合は珍しく玉移動より優先度が高いです)

また、▲45歩の対応として△54銀も、先手を利するものだったと考えられます。
後手の△65銀と出る手を無駄にさせられただけでなく、戻るためにもう一手分のロスが出たためです。「銀を働かせる」という方針に則ると、銀を戻す手ではなく、速攻に応じる手が正解ですね

その後は、速攻策が戦果を挙げたため、先手は方針を「▲44歩の拠点を活かす」に変更して戦うことで、リードを拡大しました。

結論として

結論としては、力戦に持ち込むときは「方針を一貫させる」ことが重要になります。
明確な方針は、将棋論理的な正しさをもたらすだけでなく、
方針を軸にすればいいので、無駄な手を考慮に入れる必要もなく「指し手を考えやすくなる」メリットがあります。
ぜひ、今後は発想の軸に「方針の一貫性」をより強く意識して将棋を指してみてくださいね。

追加レッスン:方針の一貫性+α

既に先手ペースですが、後手は粘っていきたいです。どのように手を考えましょうか?

先手の「▲44歩の拠点を活かす」方針が成功し、4筋から捌きに入りました。後手も▲44歩打に対しての△33飛が良い手で、防御一辺倒から一気に勝負形になりました。

そしてこの局面、先手ペースですが後手も粘りたい局面です。
どのように手を考えていきましょうか。

不利な時の方針の考え方として、
自分の方針が分かりにくい時は相手の方針から考えてみる」ことが肝要です。

今回の場合、先手の狙いは、
「捌きは成功そうなので、角で駒得+飛車で4筋を突破して局面をわかりやすくしたい

逆に後手としては、先手にあっさりKO勝ちされないことが目標となります。
つまり、後手の狙いは
「角で駒得させない+4筋から飛車の成り込みを封じ、局面を安全にしたい
となります。

最終的に局面の複雑化が目標となりますが、その前に分かりやすい負け筋を徹底的に防ぐことが重要です。(この順番が重要)

では、どういった手が考えられるか。
それは、

飛車先を防ぐ歩捨て。まずは飛車先を止めます

△47歩が最善の粘りです。
▲同飛は△46歩で飛車先が止まります。
▲同金(上でも寄でも)には飛車を切り△51銀打や△51金などで金取りを受けます。

この手一発で、金取りと飛車成を一気に受けることに成功し、
後手の方針「角で駒得させない+4筋から飛車の成り込みを封じ、局面を安全にしたい」が達成されます。

ここからも後手は不利な流れが続きますが、間違いなく試合は仕切り直され、第二ラウンドへ突入していきます。
不利な局面では斬り合いに全てを賭けたくなってしまいますが、生き残る限りはチャンスが訪れます。
そしてそれもこれも、「方針」から生まれていきます。

対局にあたって、この記事を書くにあたって、そのことを今一度強く思い起こすことが出来ました。感謝です。

大変勉強になりました。
この度は対局いただきありがとうございます。
機会があればまた指しましょう。いつでも歓迎です!

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