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【Column】髭男『Pretender』が売れているのは映画『コンフィデンスマンJP』公式サイトのおかげ?

どうも、初級エンタメマーケターの小鳥遊です!


先日、音楽業界の方々が集まる勉強会に参加してきたのですが、その際にこんな話を耳にしました。


「髭男『Pretender』が売れているのは映画『コンフィデンスマンJP』公式サイトにページ作ってもらってるからだ」


これがもし本当なら、自分たちの会社のタイアップ部隊に伝えてあげねば!と思ったので、調べてみました。


ちなみに髭男『Pretender』とはOfficial髭男dismというアーティストの『Pretender』という曲です。


◆ 事実確認

まず事実確認をしましょう。


順序的には

・そもそも『Pretender』は売れているのか

・『コンフィデンスマンJP』の公式サイトに専用ページがあるのか。

・タイアップの公式サイトに専用ページがあることと売上に相関があるのか。


― そもそも『Pretender』は売れているのか

この問いに対しては、2軸で考えてみます。

①Official髭男dism的に売れているかどうか。

②音楽業界的に売れているかどうか。


まず①ですが、オリコン調べによると、今まで出したどのシングルよりも売れているようです。※引用元

オリコン的ランキングでは、最高位は9位、登場回数は7回と『Stand By You』(登場回数18回)より登場回数が圧倒的に少ないですが、初速からの見込み値ということもあるのでしょう、TOPに君臨しています。


では②音楽業界的に売れているかどうか。


これも売れていると判断して良さそうです。

Billboardのランキングにはここ最近ずっと入っていますし、なにより週間のストリーミング再生回数がヒット曲のそれです。


結論、『Pretender』は売れています


― 『コンフィデンスマンJP』の公式サイトに専用ページがあるのか。

結論を言うとしっかりとありました。


▼▼▼ 公式サイト ▼▼▼

▼▼▼ 専用ページ ▼▼▼

※リンク先の画像が同じですが、遷移URLは間違っていません。


ただ、ここから何かアクションを起こせるわけではなさそうです。

例えば、Appleなどの配信サービスに飛べるリンクがある、とか、YouTubeでMVが観れる、とか


ちょっとこの辺りから小鳥遊的には「これだけで売れるのかなぁ」と疑いはじめました。


― タイアップの公式サイトに専用ページがあることと売上に相関があるのか。

さあ、今日のメインどころですね。

「BillboardのHOT100に継続的に入っていれば売れていると見なす」という少し雑な設定ですが、調査をしてみました。

※本気調査する時間がなかったのでご了承ください。


まずは条件

・6月にBillboard週間ランキングのHOT10にランクインした楽曲

この中から

・Billboard週間ランキングHOT100に10回以上登場

した曲を中心に見ていきます。


そうすると以下の12曲となりました。

①米津玄師 ‐ Lemon
②あいみょん ‐ マリーゴールド
③King Knu ‐ 白日
④NEWS ‐ トップガン
⑤MONSTA X ‐ Alligator
⑥Official髭男dism ‐ Pretender
⑦サカナクション ‐ 忘れられないの
⑧菅田将暉 ‐ まちがいさがし
⑨V6 ‐ ある日願いが叶ったんだ
⑩MAN WITH A MISSION ‐ Remember Me
⑪乃木坂46 ‐ Sing Out!
⑫米津玄師 ‐ 海の幽霊

この中でタイアップがついているのが以下の9曲。

①米津玄師 ‐ Lemon
③King Knu ‐ 白日
④NEWS ‐ トップガン
⑥Official髭男dism ‐ Pretender
⑦サカナクション ‐ 忘れられないの
⑧菅田将暉 ‐ まちがいさがし
⑨V6 ‐ ある日願いが叶ったんだ
⑩MAN WITH A MISSION ‐ Remember Me
⑫米津玄師 ‐ 海の幽霊

タイアップがついていないのが以下の3曲でした。

②あいみょん ‐ マリーゴールド
⑤MONSTA X ‐ Alligator
⑪乃木坂46 ‐ Sing Out!


さて、ここで問いに戻ってみると

「BillboardのHOT100に継続的に入っていれば売れていると見なす」

としているので、

「世の中に音源が出てから何回BillboardのHOT100にランクインしたか」

の割合を解として、出してみようと思います。


するとこんな感じの数値が出ました。

『米津玄師 ‐ Lemon』:88.9%
『あいみょん ‐ マリーゴールド』:92.7%
『King Knu ‐ 白日』:76.0%
『NEWS ‐ トップガン』:25.0%
『MONSTA X ‐ Alligator』:5.3%
『Official髭男dism ‐ Pretender』:68.8%
『サカナクション ‐ 忘れられないの』:33.3%
『菅田将暉 ‐ まちがいさがし』:57.1%
『V6 ‐ ある日願いが叶ったんだ』:7.1%
『MAN WITH A MISSION ‐ Remember Me』:66.7%
『乃木坂46 ‐ Sing Out!』:72.7%
『米津玄師 ‐ 海の幽霊』:60.0%

うむ、、、

ランクイン率だけ見てしまうと

「タイアップの公式サイトに専用ページがあることと売上に相関があるのか。」

以前に、「タイアップの有無」すらも売上との相関はない(※)ということになってしまいますね。

(※読み間違えてほしくないのは、あくまでもそれなりに売れている楽曲の中での話です。そもそもの全体論で言えば「タイアップの有無」と売上に相関はあるかと思います。)


既に結論は出てしまいましたが、念のため「HOT100にランクインした回数」を軸とした偏差値を出してみましたが、全くアテになりませんでした。

それもそうですよね。

全体を対象としていないので、どうしても低く出てしまいます。

(参考までに 『Official髭男dism ‐ Pretender』:47.5)


◆ 結論

雑に調べたとはいえ、この感じだと、丁寧に調べても結論は同じように感じます。

つまり

タイアップの公式サイトに専用ページがあることと売上に相関はない。


これはもう言い切って良い気がします。

もう少し柔らかくして「良い影響を与える可能性がある」くらいに留めておいたほうが良いかもしれないですね。


よくよく考えてみれば、ドラマや映画を観ていて、その中で流れた曲が気になったとき、「公式サイトに飛んで、そこから音楽を調べる」なんてめんどくさいことはせずに、「映画の名前 主題歌」で検索かけちゃいますもんね。

だとすると、検索されたときの着地場所を用意しておくことのほうが重要な気がします。

事実

YouTubeや音楽誌のLPが着地場所として用意されています。


お客様が「検索」したら、これのいずれかで「視聴」し、「意思決定」へと向かっていくんですね。

事実、この曲のほとんどは「ストリーミング再生」されています。

Apple MUSIC、Spotify、LINE MUSICなどの音楽配信サービスで「お気に入り」登録され、繰り返し聴かれているんですね。

そのメイン導線は間違いなく「公式サイト」ではないでしょう。


やはり、今の時代では「検索」から「意思決定」の間に存在しているクッションのようなサービスに情報を集約しておくかが、勝負のカギのような気がします。


そのクッションはできるだけグローバルサービスが良いと思うので、現状ではYouTube一択でしょう。(Google傘下ですし)


むやみやたらにYouTubeに載せれば良いという話ではなく、YouTubeに情報を集約し、整理した状態で情報を掲示しておく、ことが重要です。(→これについてはまた今度)



今日はこの辺で~!

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