『ナンバMG5』第9話

間宮祥太朗さん主演ドラマ『ナンバMG5』!
推しの主演がそりゃもう嬉しいし、熱く痛快な内容も惹きつけるものがありとにかく面白い。毎週楽しみに観ています。

感想ありきで観ることに疲れた&書く時間があまり無いことと、第1話であまり深く考えず純粋に楽しみたいと感じたので、リアタイしながらワイワイするものの、あまり色々深く考察せずにいたのですが。
先日放送された第9話はそんなわけにはいかなかった。
予告の段階で覚悟はしていましたが、それをさらに超えて胸がえぐられるような苦しい回になりました。
色々な感情が湧いてくるけどうまくまとめられないので、とにかく思いつくままつらつら書いておこうと思います。


いつかは来るとわかっていた二重生活の終焉。
周囲の話を聞いて美大進学の夢をもつ剛は家族に打ち明けようとするけれど、その矢先に猛にバレてしまう。

今日こそはと特服に着替えて帰ろうとする矢先、猛と鉢合わせた時の剛の目が良かった。完全にバレたと悟って覚悟を決めたのが一瞬の僅かな視線の揺らぎで伝わってきた。

その後の猛と対峙する場面はただただ緊迫。本当のことを言おうとする弟の表情をした剛と、一切受け入れる気のない絶対的に君臨する兄の構図。
「誰が強えとか弱えとか興味ない」「兄ちゃんとは違う」「中3のとき兄ちゃんに言ってたら兄ちゃん聞いてくれたのかよ」
猛には届かない剛の気持ちの欠片が切なかった。

そこからの難破家の場面はもう息が詰まる展開で。
黙って白百合を受験して通っていたこと、家族の嬉しそうな顔を見ると本当のことを言えなかったこと。
素直に謝る表情も、泣きじゃくりながらブンブン頷く様子も、難破家の二男坊としてこの家で育った子の顔をしていて、気を張って二重生活をしていた自らを悔いているように見えた。

けれど、謝ってすんなり収まりはしなかった。
嘘をつかれていたことにショックを受けて顔をそむける父ちゃん、天下無敵を背負う特服を脱げと感情を爆発させる母ちゃん。
「自分の行きたい学校に行っただけだろ」「こんな家に産んでもらって迷惑なんだよ」
心の底から絞り出すように顔をグシャグシャにして、家族の期待の象徴ともいえる特服を床に投げつける剛の姿は見ていて苦しかった。

剛は、父ちゃんと母ちゃんには本当のことを言ったら分かってもらえると思っていたんだろうな。
けれど、気持ちをじっくり聞いてもらうどころか、白百合に行ったこと自体を受け入れてもらえないような状態だった。

嘘、騙す、裏切り…
その違いって何なんだろう。
勉強して部活したい…そんな自分の気持ちに正直でいるために剛が家族についた嘘は、ヤンキーとして剛が全国制覇する姿が見たい家族にとっては裏切りでしかなかったということなのか。
けれど、家族の期待に応えるために市松に進学すれば、剛は気持ちに蓋をして自分を騙して高校生活を送ることになる。
普通の高校生活を送りたい気持ちも、家族を大切に思う気持ちも本当。
かみ合わない歯車を抱えて二重生活を送ってきた剛の気持ちを思うと胸が締め付けられた。

そして、逆恨みから白百合にグレとグロが乗り込んでくる。

止める弥生に「大丈夫、こんなこと今までいくらでもあったから」という剛の表情が印象的だった。今までとは絶対違うと分かっていて、きっと元のようにはもどれないだろうと覚悟を決めている。悲しそうな微笑みが目に焼き付いた。

弥生をはじめ、兄ちゃん出てくんなよと祈る吟子、敵を引きつける伍代と大丸…剛が高校生活を本当に大切に真剣に送っているのを知っているからこそ、剛をどうにか逃がそうとする4人に胸を打たれた。

あと、島崎の存在もここにきて大きいなぁと。特服が剛だと気付いてもあえて難破とは言わない。高校に入って初めて友だちになったやつに似ていると告げ、剛もそうかとだけ返す。姿が変わっても友情は変わらない。アニキを友達と言い直して「助けてやりたいのに怖くて動けねえ」という島崎が剛を見守る視線が真っすぐで良かった。

結局、特服姿で現れた剛。おもむろにマスクを外して、本来の姿の難破剛として対峙する。
「大事な場所を踏み荒らしてぐちゃぐちゃにしやがって」
白百合で好き勝手させない。大事なものを守るために、やられてもやられても立ち上がる姿に胸が熱くなった。

取り押さえられて警察に連行される剛。
雨に濡れて髪もぺしゃんこになり、全てを失った捨て犬のような風貌。

パトカーに乗る直前、藤田さんに向けた視線に込められた思いはどんなものだったのだろう。
守れて良かったという安堵なのか、結局好きだと伝えられなかった恋の終わりなのか。

「…終わっちまったな」と呟いて瞬きもせずに一筋の涙を流す剛の瞳は深く暗い穴のように空虚で。

ただただ涙があふれてきた。すれすれの二重生活の中、大切に守ってきたものがこんなに一瞬でガシャンと壊れてしまうとは。
しかも、白百合での高校生活を大事にして卒業を誰より願っている剛が、自らの手の中のささやかな幸せと希望を握りつぶして白百合を守り抜くという矛盾というか皮肉。

こんな展開になるとは思わなかったなぁ。
家族にバレて修羅場になるのはともかく、学校生活のほうはバレるとしてもこんなふうに自ら手放すことになるとは思わなかった。

けれど、逃げも隠れもしない、自分の信念に従って、自分よりも他人のために熱く行動を起こすのが剛だと思うので。

だからこそ伍代と大丸とも最高の”ツレ”になった。
剛のことを本当に気にかけて、高校生活がやり通せるよう協力してくれる二人みたいな親友、素敵だなと思う。

そして、間宮さんの演技がまたいいんですよね…。
台詞が無くても、ほんの一瞬の些細な表情の変化で剛の感情の揺れが伝わってくる。苦悩する場面も多かった今回の話、瞳の光まで操っているかのような目で語るお芝居も、感情の爆発も、剛の息遣いが感じられるほどリアリティがあって、だからこそこんなに剛に感情移入して観てしまうのだろう。


…まとまらないまま長々書いてしまったけれど、それだけ第9話は色々詰まっていたし神回と呼ぶにふさわしかったと思う!

次回、最終回。
剛の未来に明るい光が差すと信じて見届けたいと思います。


2022.6.19 うーたん

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