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こざき亜衣/あさひなぐ(33)

夏の甲子園、王者・大阪桐蔭が敗れた。
久々に解禁された甲子園の大観衆に、
王者の余裕が奪われたという報道もあった。
王者が敗れる瞬間、
ジャイアントキリングを求める観衆の声が、
王者の余裕を奪い、焦りを生んだときく。
王者を苦しめたのは
対抗馬とされたチームではなく、
ノーマークから這い上がって来たチームだった。

インターハイ決勝。
個人種目の場合、最後に残るのは、
そこまで結果を出し勝ち上がってきた者だ。
ひとつずつトーナメントを昇り、
相手を打ち破り、ここまで退けてきた者。
苦戦や接戦はあったとしても、
ほぼ負け知らずでなくてはたどり着けない。

団体種目はそうとは限らない。
負け続け、一度も勝利をあげぬまま、
決勝の舞台に立つ者もいる。
本調子が出ず、
勝ったり負けたりバラついたり、
晴れやな気持ちでない者もいる。
実力からすると、
その場に立つのがふさわしいとは
言えないかもしれない。
それでも、その場に立つ意味が
あるかないかと問えば、完全にある。

それぞれの役割がある。
決勝の舞台でやることをやり抜く。
意地と意地がぶつかり合い、
役割と役割が真っ向から衝突する。
面白くないわけがない。

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