女の朝パート25
7月8日月曜日。
今日の天気は晴れ。湿気は多め。
ここは吉祥寺駅の駅ビルアトレ2階にあるTULLY'Scoffee店である。
店内激混み。
とりあえず、荷物を退けて貰って座った女は、
腕時計に視線を落としながら椅子に腰を下ろした。
女の臀部が横に拡がる瞬間だ。
そして、
さっきまで右へ左へと揺れていた心が一ヶ所に落ち着く時でもあるが、直ぐに又ふらふらとさ迷い始める時でもある。
つまらない事やどうでも良いことが頭に浮かび、ちょっと前に心かき乱された出来事までも想いだし、又気に病んでいたりもする。
かと思ったら突拍子もなく、次にやるべき事が頭に浮かび又想いを患わせる。
勿論楽しかった事を思いだしたり、次の約束や展開を思い描いたりもするが、
いずれ来るその時のやりくりまでも頭のどこかで永続的に考えているのだ。
頭の中がループになってゆく。
同じ考えが何度も反復され、ひとつも前にも進まない時間が始まるのだ。
暗転
女は今しがた買ってきたアイスコーヒーに向けてスマフォのレンズを向ける。
写メをする事事態どうでも良いし痛い事ではないけれど、
女は、心なしか、女の心がここに在らずと言う感じである事に気がついた。
女の視線はどことなく寂しげで、
女の人差し指は、生気を失った商店街のように静けさを示していたからだ。
雲散霧消と言う言葉が相応しいと言うか、何と言うか、今は良くは解らない。
ただ、もしかしたら、
これは何かの前兆であるのかもしれないとも思える。
緊張と当惑。
女は今、自分の顔がそうなっているかもと思った。
指は尚も硬直し、伝えたい言葉もないし伝えたいとも思っていない女に問題があるのだろうか?
解らないし解せない。
ただ自問自答を繰り返すもその答えはここにはないのだ。
そして時と言うものは絶えず流れてゆくのは確かなのである。
暗転
ああ残念。やっぱり残念。
女が一人笑いながら呟いていた。
完
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