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ファンド分析 ニッセイNASDAQ100投信

1. はじめに 

 3/15日にニッセイアセットマネジメントから以下の発表がありました。

 <購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド(以下、ニッセイナスダック100)と<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)(以下、ニッセイSOX)の設定についてです。 

2. ニッセイNASDAQ100爆誕

 なんだ、ナスダック100連動投信の追加かと思われがちですが信託報酬が激安です。これまでナスダック100連動投信は安いファンドでも0.4%台とS&P500連動投信などの激安ファンドと比較し割高でした。 

 今回のニッセイナスダック100連動投信は年率0.2035%(税抜0.185%)とぶっちぎりの業界最安水準となりました。これまでの最安水準からさらに半額です。この水準は本家である米国ETF(QQQ)の手数料率である0.20%と比較しても遜色ありません。 

 手数料率が米国ETFと同率の場合、圧倒的に投信の方が利便性が高いです。利点は①為替での外貨調達コストが不要、②売買手数料が不要、③配当金の再投資が自動対応、④金額指定の積立が可能、という点です。 

 為替に関してはヘッジ無しなので為替リスク自体は負っていますが、外貨の両替コストがかかりません。次に売買手数料ですがネット証券の場合、片道で0.45%(税込0.495%)かかりますが、投信の場合はノーロードで手数料は発生しません。 

 ETFの場合、配当金が定期的に発生しますが再投資は自分で対応が必要ですが、投信の場合は複利効果を優先し配当金を出さない場合、再投資が自動完結します。

 ETFも積立は可能ですが株数指定か使い勝手の悪い金額指定しか方法がありません。投信の積立はドルコスト平均法を活用できますがETFの積立は利用できず平均単価の調整に活用できません。 

 これらの理由から今回ニッセイアセットからQQQと同程度の経費率(信託報酬)でナスダック100連動投信が設定されたことは大きな価値を持ちます。一年運用し運用報告書が作成されないと実質コストは分かりませんが、実質コストも0.25%程度に収まるのではないかと思います。(SBI証券前提の話ですが、この水準のファンドの場合、投信マイレージのポイントは多分0.05%になるので、差引の実質コストは0.20%程度になります) 

 今後、来年からスタートする新NISAの資金獲得を目指した戦略的なファンドが各運用会社から設定されると思います。今回のニッセイナスダック100は既存のナスダック100連動投信界隈に衝撃を与える結果になるはずです。

 3/31以降に新規でナスダック100を購入・積立される方はニッセイナスダック100一択というレベルです。ニッセイナスダック100の登場でイーマキシスやiFreeは対応を迫られることになります。対抗策を打ち出さない場合、新規資金はニッセイアセットに流れるのが目に見えております。 

 尚、PayPay投信のナスダック100ファンドは候補に含めない方が良さそうです。PayPay投信は表面コストと実質コストの差が大きく詐欺的なファンドです。表面コストは年0.418%(税抜年0.38%)ですが、運用報告書記載の実質コストは1.77%でした。一期目であることを勘案しても言い訳出来ないレベルです。 

 今後、新規購入はニッセイナスダック100で問題ないことが分かりました。次の検討事項は既存のナスダック100ファンドの一本化の必要性です。これは各人の状況次第ですが、損益通算でプラマイゼロに調整できるのであれば既存ファンドを売却し、売却分をニッセイナスダック100に切り替えた方が良いです。 

 逆に既存のナスダック100が大きな含み益を抱えており、ぶつけることが出来るマイナスが存在しない場合は急ぐ必要はありません。20%の税金は大きな損失なので損益通算が出来るタイミングまで保有します。 

3. ニッセイSOX爆誕

 半導体指数連動商品の選択肢はこれまでは米国ETFのみでした。2020年・2021年は半導体銘柄が大きく値上がりしたこともあり、SMH・SOXXあたりを物色していたかもしれませんが、経費率の高さがボトルネックでした。

 一般にセクターETFは割高な場合が多く、半導体ETFの場合、0.35%程度の経費が発生します。(日本からの購入の場合は登録の関係でSMHになるかと思います) 

 今回のニッセイSOXは年率0.1815%(税抜0.165%)という激安水準です。既存ETFの約半分の経費率です。SOX指数は半導体関連銘柄30種で構成される代表的な指数です。

 類似指数であるICE半導体指数との違いはICE半導体指数が浮動株調整後時価総額加重方式で、SOX指数は浮動株率を考慮していない点です。(あまり違いはありません) 

 ニッセイSOXファンドの位置付けですが、ナスダック100よりも更にハイリスク・ハイリターンな位置付けです。構成銘柄が30種と少ないこと、半導体というボラティリティの大きな銘柄で構成されていることが要因です。 

 各ファンドのリスク度合い・集中度は以下の通りです。(左ほど分散されリスクも標準的、右に行くほどに分散が薄れリスクも増加) 

オルカン>先進国>全米>SP500>ナス100>SOX

 ニュートラルに株式市場のリスクを受け入れる場合は株式市場の全世界平均であるオルカンのリスクを受け入れることと同義です。ここをスタート地点として、新興国のウエイトを下げたい場合は先進国ファンドを選択。先進国ファンドから欧州の低成長を除外したい場合は全米ファンドを選択。米国の中でも更に安定的な利益をあげる大企業に厳選したい場合はSP500を選択。米国の中でも成長性の高い銘柄に投資したい場合はナスダック100を選択。成長性の高い銘柄の中で更に半導体関連にフォーカスしたい場合はSOXを選択、という具体です。 

 SOXファンドはポートフォリオのスパイス的な位置づけとして5%~10%程度保有するのは戦略次第でありかと思いますが、決して全体の50%を占めるようなコアファンドではないことは認識しておく必要があります。 

 コア・サテライト戦略のコアに該当するのはオルカン・先進国・(全米・SP500)までが限度です。全米とSP500は米国に偏っているのでコアとしてはオルカン・先進国のどちらかが好ましいです。 

 SOXはサテライトの中でもかなり尖った位置付けです。同じセクターファンドでもVDC(バンガード 米国生活必需品セクター ETF)の場合、生活必需品という保守的な銘柄で構成されており価格変動もマイルドで安定的な成長が期待でき、SOXとは性質が異なります。 

 セクターETFはバンガードのシリーズが一律で0.1%の経費率なので半導体ETFを設定していればそちらを選ぶのですが、バンガードでは半導体ETFを設定しておりませんのでこれまでは消去法でSMHを選んでおりました。 

 今回、ニッセイSOXが登場することでSMHを選択する可能性は低くなります。どうしても外貨建てで保有したい場合はSMHも選択肢に残りますがトータルコストと利便性を考慮すると先程の理由からニッセイSOXに軍配が上がります。 

 ニッセイSOXの使い方ですが、半導体銘柄は浮き沈みが激しいことから長期保有を視野に入れつつも、相場状況を見ながら定期的に利益確定を繰り返していくスタイルが良さそうです。

 長期視点で見れば需要が豊富であることから伸びが期待できますが、半導体は上下運動が激しいのでオルカンのように脳死で積立は少し危険です。 

4. 新NISAに向けたポートフォリオ考察

 最後に来年から始まる新NISAのポートフォリオを考察します。前提として個別銘柄は含めず投信・ETFのみで検討します。 現時点の私のポートフォリオ案は以下となります。

  •  新NISAのみで完結する場合

・全世界株式:70%
・ナスダック100:30%

  •  新NISA以外にも特定口座で運用する場合

・ナスダック100:66%(成長投資枠全てという趣旨)
・全世界株式:33%

 NISA口座は運用益・配当が非課税になるので基本方針としては譲渡益が大きくなるようなポートフォリオ構成が期待値の最大化に繋がります。譲渡益が大きくなるポートフォリオ構成の場合、必然的に株式ポートフォリオとなります。更に譲渡益の最大化を狙う場合、リスク度合いは高まりますが期待リターンが大きなナスダック100などを選択することになります。

 運用資産が大きく新NISA以外にも特定口座で運用される方は特定口座でオルカンを保有し、新NISAではナスダック100などの成長期待が大きなファンドを購入することで新NISA口座のキャピタルゲイン期待値を高めることが可能です。(同時にリスクも拡大する点には注意が必要です) 

 一方、これから投資を始める方はオルカンを主軸に置いた構成となります。オルカンで株式市場のリターンの平均値を狙い、プラスαのナスダック100でアップサイドを狙う構成です。この場合、オルカン一本と比較し標準偏差は高まりますが、期待値も高めることが可能です。 

 SOXに関してはピーキーすぎるのでシンプルなポートフォリオ構成の場合は採用には至りませんでした。尚、オルカンを先進国ファンドに置き換えても概ね目的は達成できます。(この辺りは好みです) 

 NISAは利益を非課税にする制度です。よってNISA口座の損益がプラスになっていなければ意味がありません。株式は短期では上下に大きく振れますが、長期ではプラスの期待値に収斂します。

 よって株式の長期保有を前提とし、許容できる範囲でリスクを高め、その見返りとして高い期待リターンを目指すのが基本戦略となります。許容できるリスクはそれぞれ異なりますのでリスクを変動パラメーターとして上記の方針に従って自身に相応しいポートフォリオを構築すればOKです。

 これから20214年の新NISAの開始までに更なる低コストファンドが登場することが予測されます。基本的に投資家は新NISAスタート時点で各カテゴリの中で最も手数料率に優れたファンドを選択すれば良いです。

 託報酬0.1%水準のファンドは既に限界まで競争し、更なる手数料の下落余地はありませんが、0.2%~0.5%程度のインデックス投信の場合、年末にかけて0.1%~0.2%をターゲットに信託報酬の引き下げが期待できます。 

 日本の投信事情は2010年代に大きく改善されました。手数料の引き下げだけでなく、オルカンの設定などあったら嬉しいファンドが続々と登場しました。新NISAをきっかけに投信事情はもう一段階改善されるかもしれません。

 ニッセイアセットは大手生保系という安定感を持ちながら積極的に低コストファンドを提供し個人向け投信市場を開拓してきました。個人的に評価の高いアセマネ会社の1つです。

 これまでは「ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」が有名で純資産額も大きなファンドでした。今後は「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」がナスダック100投信の看板ファンドになるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

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