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萩あれこれ①

朝晩大分涼しくなってきましたね。

前回、彼岸花をあまりお茶席では見かけないといったことを書いていたら、お茶会で活けてあるのをご覧になった方からご連絡をいただきました。ありがとうございます。わたしも先日、出先の奈良の和菓子屋さんで「まんじゅしゃげ」と名付けられた和菓子を発見。緑のきんとんに鮮やかな赤の飾りを3つほどつけたもの。既に色々お菓子を買った後だったので購入はせず、写真が無くて申し訳ないのですが、彼岸花を使う珍しい例のご報告です。

さて、今日のお題の萩。
我が家の萩は、7月に葉が日焼けしてしまい、このままでは秋にお茶に使えない!と思い切って、一度刈込みました。萩は結構強い草花なので、その後またぐんぐん伸びて、葉も美しい緑になり、そろそろ花が咲こうとしています。

萩が万葉集で一番沢山詠まれている歌だということは耳にされたことがある方も多いかもしれません。で、最初に紹介するにはちょっとあまのじゃくなのですが、こんな歌を。

人皆は 萩を秋と言ふ よし我れは 尾花が末を 秋とは言はむ

人は皆、萩を秋の印というけれど、よしそれならばそれでよい、わたしは尾花を秋の印と言おう(巻十 2110 詠み人知らず)。

「秋」も、秋の花、秋の印、秋を告げる花、などとどう捉えるかでまた印象が変わりそうですが、この歌どう思われるでしょうか。

万葉人は皆、萩を愛でた、という言い方をされることもありますが、当然例外もいらっしゃったようで、多数派に負けず、自分の好みを高らかに詠っています。1300年経った今では、尾花(ススキ)の方に秋を感じる方の方が圧倒的に多いでしょう。日本人は桜が好き、というようなことを今は言いますが、当時は桜より梅を好む人が圧倒的に多いです。好みというのも知らず周囲に影響されるものかもしれませんが、自分の感性も大事にしたいですね。

写真の菓銘は「萩の宿」。
右上に月、左下の粒粒が萩を表しています。物哀しい秋の風情が萩で少し和らぎます。

そうそう、現在出ている芸術新潮2022年10月号は「特集 闘う茶の湯」と題して磯田道史さんと千宗屋さんの対談が掲載されています。回し者ではありませんが、もしご興味おありでしたらご覧になっては。

少し長くなりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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