「妖かし人の陰陽師 ~鮮血の皆既月食変~」企画書

【作品タイトル】妖かし人の陰陽師 ~鮮血の皆既月食変~
【年齢対象】10代からお楽しみいただけます。
【ジャンル】 #現代ファンタジー   #陰陽師   #妖刀   #モフモフ   #あやかし   #最強


#週刊少年マガジン原作大賞  #企画書部門

キャッチコピー

俺を前に必死に生き抜いてみせろ

が、狂った骨董品と、イカレタ妖刀を持つ古廻に挑んだ代償は安かぁねえぜ?


あらすじ : 296文字

 現代日本に骨董品をこよなく狂い愛する男、古廻戦国は愛する妖刀で、今日も妖かしを討滅するのに忙しい。
 それが出来るのも、一子相伝の謎の古武術の継承者だからであり、陰陽術の使い手でもあるからだ。

 その戦国。免許皆伝の実力を持つが、未だに師匠より皆伝を貰えずモヤる。とある時、国内で皆既月食が始まり、それが終了するも一地点のみ皆既月食は続く。
 該当場所は京都府。速報で古都TVが異常さを全国に放映するも、その原因を戦国は知っている。

 二百年前に一度同じ現象を確認しており、このまま放置すれば国が文字通り滅ぶ。戦国は原因を突き止め皆既月食を討滅しようとするが、今回の事件に深く関わる巫女が現れて……


第一話  : 959文字(ルビを含む)

 京都タワーの頂点で、足元から這い寄る複数の妖かしを見ながら、古廻戦国は妖刀を肩に担ぎ嘆息する。
 それは自分を殺しに来るヤツラの無駄な努力に付き合わされる、自分の不幸を嘆いてだ。

 瞬間、妖刀~悲恋美琴から黒の西陣織りを羽織る娘が出てくると、戦国へと早く処理するように促す。
 ますます嘆息は深まるが、ヤレヤレと後ろを振り返りもせず、背後から迫る鳥の妖かしを、いつのまにか抜いた妖刀で真っ二つにしながら、落ちる残骸を追うように頭から落下。

 途中襲いかかる妖かしを細切れにしつつ、沈まない血色に染まる真っ赤な皆既月食を黒のローファーシューズの下に眺めながら、「面倒事は嫌だねぇ」と実にやる気のない事をいう。

 そんな彼に妖刀の娘〝美琴〟は苦言を叩きつけるが、戦国は左耳をほじりながらその元凶を思い出す。

 あれはそう……全ては過去に終わった祕巫女ひみこの伝承が発端だったのだから。

 ◇◇◇

 ――戦国が京都タワーで妖かしを討滅する半月前に時は戻る。

 異界と現世の間に〝異界骨董やさん〟という茅葺屋根の建物に、ファンシーな文字で書かれた看板を掲げる骨董品店がある。
 ただ、普通の骨董品店ではない。揃えてあるのは全て曰く付きの品々ばかり。
 それと言うのも、その骨董品達には付喪神が宿っており、性格は凶暴なのから弱気なものまで多種多様に存在した。

 さらに熊本の某クマに似たアサシン熊や、超ド変態の神は無論、鬼神や悪神に主神クラスまでいたりする。
 そんなヤバイ骨董店を営むのは、一世紀前より存在する、とある一族のみがその座に付く事を許された存在が居た。
 名を古廻家といい、代々の当主は異界骨董屋さんを管理してきた。

 古廻の者はただの管理者というだけではない。異界骨董屋さんの品々を使役し、骨董品を使い妖かしを狩るのも生業だったりする。

 ある時、一般人は入店出来ないはずの異怪骨董やさんへ珍客が現れた。
 名を枢木明日夏といい、京都屈指の名家の令嬢だと言う。
 実はこの娘、強烈な霊力を持つ者であり、異怪骨董やさんの番頭の傾国の女狐様が〝最重要監視対象〟としてマークをしていた。

 その娘が迷い込こみ、開口一番「これ、買ってくれない?」と、国宝指定のお宝を戦国へと見せたのが骨董品以外に興味のない、やる気のない男の不運と事件の始まりだった。


第二話以降:2995文字(ルビを含む)

 それは最近、堕ちた付喪神に取り殺されそうになっていたのを、ある依頼者からの願いで救ったばかりの女子高生だった。
 それを見た番頭の女狐は、「あらあら」と言いながら彼女が監視対象の娘だと話す。
 その事実に驚いたのは明日夏だけではなく、戦国もまた驚く。
 
 異怪骨董やさんは敵対する者は無論、霊力の無い者は店舗を見ることすら不可能。
 だが明日夏は、見て・触れて・存在を認識し、さらに入店までするという、異怪骨董やさんのセキュリティを全て突破して来たのだから。

 だが戦国はそれよりも、明日夏が手に持つ骨董品が気になって仕方がない。
 それは千利休が愛した黒茶碗であり、全てはソコと、その奥の胸を見て「最高と残念を並べるのは失礼だぞ?」と言い放つ。

 そこで先日、この失礼な男と出会った記憶が急速に蘇り、「ぁ!! アンタあの時の変態!?」と、助けてもらった礼を言うのも忘れて驚くと共に、自分の胸が残念だと言われている事に気がつき怒る。
 しかし霊力が強いとはいえ、所詮はただの女子高生。戦国は気にせず黒茶碗と出会えた奇跡に悦に入る。

「おいおい、マジで本物か? ソイツは利休の愛した黒茶碗!? しかも長次郎七種の一つ、俊寛しゅんかん!! 〝のぺっ〟とした全体像に腰が〝むちょ〟とし、肌に吸い付く〝ぺもっ〟とした風合い……正しく本物?! ど、どこからそんな国宝を!?」
「ち、近いから!? 落ち着いてよド変態!! まったくもう、これはうちの蔵にあったのよ!!」

 こんな感じで自分勝手に振る舞うのが、古廻戦国(十八歳独身)その人だ。
 それを見た明日夏は、自分の持ち込んだ物がよほどの価値があるのだと悟る。
 そこで取引をすることにした。内容は最近回りで起きる怪奇現象から、身を守って欲しいというものだった。

 戦国の冷静な頭では、今すぐにでも追い出したいと思う反面、入店したという意味も考える。
 そして自分にとって何より大事なのは、全てに優先して〝大名品を手に入れたい〟という欲求。
 だから嫌々、仕方無しに「聞いてやるから座れよ」と言うが、明日夏に「人の胸ばかり見てないで顔を見なさい、顔を!」と叱られる。

 それに応えず「そんな残念な物を愛でる趣味はない。俺は利休と語らいたい……それだけぷもッ!?」と、利休を愛でていると頬を張られてしまう。解せん。
 まぁそんな訳で、戦国は明日夏のグチ兼、話を聞く事となる。 
 聞けば明日夏の家庭は、双方の不貞が原因で両親が離婚寸前だといい、そんな家に見切りをつけて一人暮らしをするために、家の蔵から骨董品を持ち出したという。

 そして家を出た瞬間、眼の前の空き家だった場所に異怪骨董やさんを発見し、これは丁度いいと暖簾をくぐったらしい。
 よくこんな怪しげな店に来たなと呆れながらも、戦国の視線は明日夏の持つ黒茶碗に釘付だ。
 それを見た明日夏は、口角を上げて「あっそ、ほしくないなら嵐山の骨董屋さんへ持っていこうかしら」と言い出す。

 それを聞いた戦国は静かに立ち上がると、戸棚からカステラとお茶を用意し、「お嬢様、またまたご冗談を! ささ、おくつろぎくだせぇ!!」と言いながら茶を勧めるのを見て、美琴は「またガラクタが……」と頭を痛めるのだった。

 ◇◇◇

 ――戦国が明日夏の身辺警護をして数日後、初めは霊障などは中二病的な妄想かと思ったが、彼女の心配は現実のものだとすぐにわかった。
 どうやら明日夏は極度に霊力が強く、そのせいで妖かしや悪霊。さらに堕ちた付喪神を引き寄せてしまう。
 しかもその力は日に日に増していき、このままなら確実に明日夏はいずれかに喰われてしまう。

 面倒だと思いながらも、戦国は明日夏の警護を続けるが、そこへ番頭の女狐から緊急で一報が入る。
 どうやら明日夏はただの霊力が強い娘というだけじゃなく、この時代に選ばれた地脈の調律者――祕巫女ひみこであると判明。
 
 戦国は祖父から聞いた伝承を思い出す。過去に祕巫女と呼ばれた厄災の中心になった人物を。

 ――祕巫女とは、日ノ本に走る龍脈が狂いだし、それを調律し清浄な状態へと仕立てる者を指す。
 祕巫女に選出されるのは〝ことわり〟という超自然現象が、その時代最高の巫女として選び、その生い立ちは貴族から村娘まで家柄など問わない。
 
 異怪骨董やさんの番頭は二千を超える年月を生きており、その経験から祕巫女の覚醒はまだ先だと予想していたが、今代の祕巫女。つまり明日夏の霊力が異常に高く、それで半覚醒状態になったのが今回の原因だと言う。

 バッドニュースに思わず眉をしかめる戦国だったが、さらに悪い状況は加速。
 急活性化した淀んだ龍脈を餌に、妖かし共が攻撃的になる。
 さらに堕ちた付喪神は敏感に明日夏の霊力を感じ取り、彼女を喰って取り込むことで力を増そうと動く。
 
 しかも状況はそれだけでは済まない。
 一連の動きを注意深く状況を探っていた、濁った霊力を司る組織が動く。
 名を〝闇神楽会〟といい、異怪骨董やさんと敵対する組織であり、ここ半世紀おとなしかった闇神楽会だったが、それには訳があった。

 祕巫女の復活の周期を狙い、それを使い日本の霊脈を壊し、徳川家の大結界を破壊しようと目論む。
 それらがついに動き出し、半世紀前に祕巫女の次の出現場所を特定した事で、明日夏を手に入れようとこれまで力を温存していたのだ。
 そこで陰陽の力のバランスが最もよく、さらに霊場として日本の最重要拠点の一つ、いにしえの都――京都に〝祕巫女崩しの邪法〟を京都へと仕込んでいた。

 邪法の発動条件は百年に一度の〝血に染まる皆既月食〟をトリガーとし、陰の力を強制的に固定し、明けない夜と終わらない皆既月食を大空へと焼き付ける。

 政府は対応に動き出すが、政府子飼い術者や超常の力を持つ者。そして科学も無力だった。
 焦る政府は存在しないはずの特務機関。公安零課へと状況の改善を指示。公安零課長はすぐに動き出し、超常現象担当の〝おそれ流那るな〟から状況を変える力を持つ存在――古廻家の事を聞く。
 だが探せどその存在を見つけ出すことは出来ず、焦りがつのるが、京都タワーに妖かしが出たと通報があり、流那は向かった先でソレを目撃する。

 そこで見たもの……それは流那が経験したことの無い妖かしが振ってくる光景だった。
 その中心に居たのは血の月光を反射した、赤黒い暴風ともいえるモノであり、それらが吹き飛ばす妖かしと、血色の皆既月食を見た流那は「美しいな……」と絶句しつつも、アレが古廻なのだと確信するのだった。

 だが同時にそれを見ている存在が居る。
 そう、この騒動を引き起こした張本人〝闇神楽会〟の幹部達だ。

 その首領たるおきなの能面を被った男が、ビルの屋上から見下ろしながら、半世紀越しの絶対結界術の成功を確信しつつ、背後に控えるましらの能面の人物へと「ぬかりはあるまいな?」と語りかける。
 それを聞いた猿面の黒子は、「無論デスネ」と答えると薄く嗤う。

「さぁわがに魅せてみよ。半世紀越しの意趣返しじゃて。無駄なれど凌いで見せよ――古廻ッ!!」

 明日夏の早熟な覚醒から始まった、三つ巴の思惑はどこへ向かうのか。
 戦国は明けない夜を討滅し、朝日を取り戻せるのか? 
 それは今、これを見ている貴方だけが目撃する事となる……。



登場人物

名前:古廻こまわり戦国せんごく
年齢:18歳
性別:日本人の男
容姿:黒髪(マンバンヘア) 細マッチョ 
身長:181センチ

名前:美琴みこと
年齢:17歳(死亡時)
性別:日本人の女
容姿:西陣織を着込む、愛嬌のある漆黒髪の幽霊娘
身長:158センチ

名前:枢木くるるぎ明日夏あすか(祕巫女)
年齢:17歳
性別:日本人の女
容姿:セミロングのマルーン色。いたずら好きと言う顔の美人。興奮すると目の色が赤くなる。
身長:162センチ

名前:おそれ流那るな
年齢:20代に見えるが実年齢は不明
性別:日本人の女
容姿:公安零課用の改造軍服を着用し、キツメの美人。黒髪ボブの将官に見える。愛称は少佐
身長:170センチ

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