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Towards Multisig Administration in Lido for Solana(和訳)

著:Rishi Sidhu

Lido for Solanaでは、Lido Decentralized Autonomous Organization(Lido DAO)によって運営されます。LDOガバナンストークンを保有する、DAOのメンバーは 、新しいチェーンに拡張するかどうかなどのハイレベルな提案に投票することができます。日々のタスクにおいては、より狭い範囲でニーズに合わせるために、特権的な管理を行う人が必要です。それはつまり、アドミニストレータが必要であるということです。

アドミニストレータの権限は、確立されたバリデーターとエコシステムパートナーで構成される4-out-of-7のマルチシグにあります。先週、Lido for Solanaのテストネットにてマルチシグをセットアップに成功しました。sうう実後には、メインネットでも同じことが実行され、Lido DAOによるすべての新しい提案は、このマルチシグ構造を介して処理されることになります。

本記事では、なぜLido for Solanaを安全かつ効率的なものとするためにマルチシグが重要なのか、そしてLido for Solanaにおけるガバナンスのあり方について説明します。

マルチシグのコンセプト

マルチシグネチャーとは、複数のユーザーが1つのトランザクションに署名することができるデジタル署名方式のことです。トランザクションの中身には、ガバナンス提案、スナップショット投票、または単純な資金送金が含まれるでしょう。 マルチシグの設定を説明する一般的な用語は、m-of-n マルチシグと言います。。それぞれの秘密鍵を持つn人の当事者がいる場合、トランザクションを実行するためには、少なくともm個の秘密鍵がトランザクションに署名しなければなりません。例えば、グループ内に7人のメンバーがいて、トランザクションが完全に署名されるために4つの署名を必要とするmultisigは、4-of-7 multisigと呼ばれます。

マルチシグアドミニストレーションの必要性

なぜマルチシグアドミニストレーションが必要なのかについて答える前に、まずDAOガバナンスをどのように補うのかを理解しましょう。

DAOガバナンス

DAOガバナンスモデルでは、LDOガバナンスのトークン保有者が投票した結果を受けて、スマートコントラクトによって自動的に決定事項が実行されます。この結果は、分散型のガバナンスモデルとなり、意思決定を中央の権威に依存することがなくなり、単一障害点のリスクを取り除くことができます。

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しかし、 Lido for Solanaの場合、LidoのDAOが決定しても、マルチシグアドミニストレータが実行することになっています。

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なぜマルチシグアドミニストレーターに意思決定を委ねることが良いアプローチなのかを理解するために、以下のような場合、どのような管理方法が考えられるのか見てみましょう。

1.一人の人間が、アドミニストレーターとして活動する:これはオーバーヘッドが非常に低く、アドミニストレーターは、重要なバグを修繕するときに迅速に対応することができます。。しかしこの方法では、一人の人間に大きな信用を寄せなければなりません。

2.他方で、DAOプログラムがアドミニストレーターとして機能する:管理タスクは、LDOトークン保有者の過半数の承認を得てから実行することになります。これは、非中央集権的ですが、必要なときに迅速な対応を取ることが非常に難しくなります。

これら両極端の中間的なプログラムがマルチシグで、これは、n人中、m人のメンバーが承認した後、管理タスクを実行するプログラムです。mが1より大きい場合、1つのパーティーが一方的に管理タスクを遂行することはできません。それと同時に、mのパーティ(LDOホルダーの過半数ではなく)がmパーティと調整することで、達成することができます。

マルチシグにおける利点はこれだけではありません。マルチシグを使うこと終え一般的なユーザーが、投資をする際に抱える不安を解消することができます。それでは、マルチシグを使うことで解決できる問題をご紹介していきます。

1.信頼する場を減らすこと

私は、重要なパラメータを変更しません、というプログラム製作者の宣言を信頼していいのでしょうか?

アドミニストレーター(DAOの意思決定を実行する権限を持つ)は、恣意的に意思決定を実行するリスクが常に存在します。マルチシグに複数のパーティを含めることで、信頼する場を減らし、意思決定の実行をより分散化することができます。

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2.実行速度に関して

Lido for Solanaでは、致命的なバグが生じた際に迅速にプログラムのアップグレードが行えますか?

オンチェーンガバナンスの落とし穴は、致命的なバグ修正が必要な場合、オンチェーンでコンセンサスを得るには、非常に遅く、コストがかかってしまいます。

完全に分散化されたガバナンスモデルでは、特にプロジェクトが初期段階にある場合、プロジェクトの実行が遅くなります。実行のしやすさと分散化の度合いは常にトレードオフの関係にあります。しかし、だからといって、完全な分権化を諦めるのは、ナンセンスです。

Lido for Solanaのようなプロジェクトでは、マルチシグアドミニストレーターによるガバナンスモデルが最適な妥協点です。これにより、初期段階での意思決定を迅速に行うことができ、重要なバグの修正が遅れるリスクを軽減することができます。

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3. プログラムアップグレードの分散化

将来どのようなアップグレードが行われるのか決めるのは誰なのか、またその人が善意なままでいると信じてもいいのでしょうか?

ップグレードのプログラムに関する決定

プログラムのアップデートはマルチシグが決定します。これが合理的なソリューションなのかを理解するために、2つの極端な例を見る必要があります。

1.アップグレード権限が単一である場合 - Solanaでは、アップグレード権限(アップグレードに署名できるアドレス)が大きな力を持っています。アップグレード権限が単一である場合、自由に悪意を持ってプログラムをアップグレードすることができます。例えば、悪意のあるアップグレード権限者は、Lidoに保管されている全資金を引き出す新しいLidoプログラムをアップロードし、その資金を持ち逃げすることができます。

2.アップロードを認めない場合:一方で、プログラムのアップグレードを一切認めない場合、それは致命的なバグがあることが判明しても、修正できないことを意味しています。

よって、マルチシグは、単一のエンティティは、プログラムの全てと資金をコントロールできないが、アップグレードを可能にすることができるという、良い意味での中間的な存在なのです。

マルチシグの善意を信じること

DAOに対して信頼におけるのは、LidoDAOは大規模に分散化されており、長期的に利害関係が一致しているステークホルダーによって構成されているからです。彼らが積極的に投票を行う提案は、定義上、利害関係者の利益と一致しています。

マルチシグはDAOによって決められた決定事項を実行します。マルチシグに対して信頼がおけるのは、マルチシグの参加者がすべて信頼できる業界のパートナーだからです。突然、悪に転じてしまえば、彼らの評判が台無しになってしまうからです。それに、マルチシグのメンバーの中には、不正をしても何の得にもならない人もいます。

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4.クロスチェーンにおけるガバナンスの複雑さ

なぜLido DAOの提案は直接オンチェーン上で実行できないのか?

これは、Lido DAOがガバナンスにEthereumを使用しており、Lido DAOの決定をSolanaブロックチェーン上で実行できるようにするには、クロスチェーン実行が必要だからです。クロスチェーンガバナンスは、現時点では実現可能なソリューションとして十分な速さや、計画案がありません。

したがって、マルチシグの役割りは、Lido DAOが決定したことを実行することにあります。Lido DAOにおいてのガバナンス権限は、長期的な目標を設定し、重要な提案を決定します。マルチシグのアドミニストレーターは、それに基づいてプログラムをアップグレードしたり、パラメータを変更したりします。

Governance — Lido DAO
Administration — Multisig.

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5.透明性について

ソースコードは公開されていて、そのソースコードからLidoプログラムが構築されていることが確認されていますか?

それは、Lidoを使用してSOLを投資するユーザーにとってLidoプログラムに隠し事がないことや、隠された機能がないことを確認することは必須事項です。

それに、この事実を確認したい場合は、ユーザー自身が確認することもできます。

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6.信頼性

マルチシグに含まれるパーティをどのように信頼すればいいのでしょうか?

Lido for Solanaのおける固有の透明性のもう一つの側面は、マルチシグセレモニーに参加している7つの組織をすべて公開していることです。公開することで、ユーザーはプログラムをコントロールしているパーティを知ることができ、信頼するかどうかを判断することができます。信頼できる参加者のみを掲載し、この情報を公開することで、ユーザーの信頼を高めています。

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マルチシグセレモニー

マルチシグセレモニーは、マルチシグが決定を実行する際に使用されるプロセスです。重要なレベルにおいて、このプロセスは、一連のステップとして機能します。

1.Solanaのトランザクションを構築し、提案する

2.マルチシグの中で、トランザクションをラッピングする(通常行うようなウォレットで署名して実行するのではなく)

3.ラップされたトランザクションを署名し、ブロックチェーンにブロードキャストする

4.他のN-1署名者にトランザクションの確認を通知を送る

5.署名者は承認取引に署名し、ブロックチェーンに提出する

6.マルチシグトランザクションに十分な承認が得られた場合、誰でも(通常は最後に承認を得た人)、そのトランザクションを実行することができます。

先に説明したように、マルチシグプログラムでは、トランザクションを承認するために複数の署名を必要とします。 これにより、署名者はブロックチェーン上のアクションが実行される前に確認することができます。これはガバナンスの分散化を図るためです。Chorus Oneは、Lido for Solanaに分散性を導入するために、 Serum Multisig programを使用しています。 私たちが設定したマルチシグには7人の参加者がいて、取引が承認されるためには少なくとも4人の参加者が署名する必要があります。

マルチシグに参加している7つのパーティーは以下で構成されています。

Solana Foundation
Staking Facilities
Figment
Chorus One
Bonfida
P2P
Saber

今度の道について - オンチェーン上でのガバナンス

今のところ、(DAOの推薦により)Lidoプログラムをアップグレードする権限はマルチシグにありますが、長期的にはLido for Solanaのガバナンスは、LDOトークン保有者が提案に対してシェア率で投票し、一括して承認または拒否するという、完全にオンチェーンの意思決定プロセスになります。

クリプトの世界において、分散型の政策立案は、複雑な問題です。中央集権的組織にあるトップダウンなガバナンスでは、実行に移すことは容易ですが、それではステークホルダーにとって最善な利益とニーズを表現しているとは限りません。他方で、 水平型の分権型ガバナンスは、ステークホルダーの声をより公平に反映させることができますが、実行するのは非常に困難です。

世の中には、分散化の度合いや実行のしやすさが異なる複数のガバナンスフレームワークがあります。 ガバナンスモデルをどれだけ簡単に実行できるかと、どれだけ分散させるかは常にトレードオフの関係にあります。 プロジェクトのライフサイクルの初期段階では、分散化されていませんが、実行しやすいガバナンスモデルの方が理にかなっていると思います。

Lido for Solanaの長期的な目標は、決定事項をオンチェーンで実行できる分散型のガバナンスシステムを持つことです。それまでの間、マルチシグを通じて決定事項を実行することで、初期段階では単一のパーティーを信頼することなく、迅速に行動することができます。

プロジェクトのロードマップについては、今後、コードの再監査を検討しています。これとバグバウンティの結果を合わせて、メインネット立ち上げへの道を歩むことになります。

Lido for Solanaは、市場で最大のリキッドステークスソリューションになることを目指しており、DAOガバナンスとマルチシグ管理を通じて、安全で効率的なものにしています。私たちは、Lido for Solanaで必要とされる信頼面を減らし、このプロジェクトを迅速なペースで安全に開発し続けることを約束します。

Lido for Solanaのロードマップについてはこちらをご覧ください。

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Chorus Oneについて
Chorus Oneは、ステークサービスを提供し、Proof-of-Stakeのエコシステムを推進するためのプロトコルやツールを構築しています。

Website: https://chorus.one
Twitter: https://twitter.com/chorusone
Telegram: https://t.me/chorusone
Newsletter: https://substack.chorusone.com



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