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若き「リル」・パンプと、ベテラン「リル」・ウェインの共演を楽しむ。(Lil Pump - "Be Like Me")

Writer:@raq_reezy

Lil Pump(リル・パンプ)のアルバム『Harverd Dropout』がリリースされました。

リル・パンプといえば、ティーンから絶大な人気を誇りつつも、あまりにも内容のない歌詞が、ヒップホップ業界のベテラン達に衝撃を与え、賛否両論を生み出したラッパーです。(内容のないラッパーを、このマガジンで解読するな!という声もありそうですが笑)

今回のアルバム・リリース後には、リル・パンプが契約しているワーナー・ブラザーズが「リル・パンプがハーバード大学の卒業式でスピーチを行うことになった」とプレスリリースにて発表し、ハーバード大学側がこれを否定するなど、話題を振りまいています。

昨年には、現在のヒップホップシーンにおいて、最も「真面目」なラッパーなのではないかと思われるJコールとの、ちょっとしたいざこざ(和解済み)が注目されるなど、話題には事欠かないリル・パンプ。

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今回は、そんな若きお騒がせラッパーであるリル・パンプが、G.O.A.T(史上最高:Greatest of All Time)とも名高いリル・ウェインを客演に招いた、「Be Like Me」を解読していきたいと思います。

イントロ(Lil Pump)

So you know
A lot of people tryna be like me, but, you know...
You just can't be like me
Ooh, Lil Pump
(CB on the beat)
Ooh, yeah

【意訳】
知ってるだろ、みんな俺みたいになろうとしてる
だけど、えっと、お前らは俺になるのは無理だ
うー、リル・パンプ(ビートはCB)
うー、イエー!

コーラス(Lil Pump)

Everybody wanna be like me (Ooh, yeah)
Everybody wanna be like me (Huh?)
Everybody wanna be like me
Bust down, big chains and dress fancy (Ooh)

【意訳】
みんな俺みたいになりたがってる(うー、そうさ!)
みんな俺みたいになりたがってるんだ(え?)
みんな俺みたいになりたがってる
高級時計、ビッグなチェーン、ファンシーな衣装(うー!)

Everybody wanna be like me
Spent 2k last week on a white tee (Ooh)
Everybody wanna be like me
Dropped 10k on my Gucci bedsheets (Ooh, yeah)

【意訳】
みんな俺みたいになりたがってる
先週は白いTシャツに2,000ドルくらい使った
みんな俺みたいになりがってる
グッチのシーツに10,000ドルくらい使った

*音楽業界において、リル・パンプの真似をして成り上がろうとするラッパーが多いというのが、この曲のテーマです。

*2018年の冬には、複数のレコード会社が「リル・パンプ計画」なるものに従って、まだ無名のラッパーを売り出そうとしていたことなどが広まりました。その内容は、ソーシャル・メディア上のインフルエンサーと絡む、アーティストをミーム化する、Musical.lyに曲を入れるなど、10の行動計画から成り立っていたそうです。

1バース目(Lil Pump)

Everybody wanna be like Pump (Ooh)
Everybody got fake dreads and love to take drugs (Yeah)
I do this, bitch you do whatever you want (Huh?)
Yes, I'm hella ignorant, I don't give a fuck

【意訳】
みんなリル・パンプみたいになりたがってる
みんな髪型を偽物のドレッドにして、ドラッグを好んでる
俺はこれをやる、クソ野郎、お前は自分がやりたいことを勝手にやれ
俺はめっちゃ無知なのさ、そんなの俺にとっては、どうでもいい

*みんながリル・パンプを真似して、髪型をドレッドにして、ドラッグを好んでいる様子を歌っています。

And everybody wanna be like Ye (Ye)
Everybody wanna go and smash Kim K (Ooh, yeah)
You can talk shit about me everyday (Day)
But I'm still rich at the end of the day

【意訳】
それで、みんなカニエみたいになりたがってる
みんなキム・カーダシアンとセックスしたいのさ
毎日、俺の悪口を言ってればいいさ
でも、結局のところ、俺は未だに金持ちなんだよな

*キム・カーダシアンは、カニエ・ウエストの妻です。

*リル・パンプは、どれだけ悪口を言われようと、自分がお金持ちであることを歌っています。このアルバムのリリース時には、リル・パンプの資産は6.5億円ほどであると推計されています。

I take drugs like it's vitamin C
I'm a millionaire, but I don't know how to read (Nope)
I'm a role model that these kids wanna be (Ooh)
I just smashed a pregnant bitch that's overseas (Yeah)

【意訳】
俺はビタミンCかのようにドラッグを摂取する
俺はミリオネア、だけど文字の読み方もしらない
俺は子どもたちが憧れるロールモデルさ
俺は海外で妊娠してる女とヤッたばかりさ

*自分が子どもたちのロールモデルであることに自覚的なようですが、態度を改めるつもりはないようです。子どもたちのロールモデルとして、どう振る舞うかという話は、Jコールとの対談の中でも出ていました。

Walk around with my side bitch on a leash (Leash)
I was 13 when I started sippin' lean (Ooh)
Ballin' so hard, I feel like I'm KD (Yeah)
Wear two bust downs, even when I sleep (Sleep)

【意訳】
愛人を革紐に繋いで歩き回る
俺は13歳でリーンを飲み始めた
めっちゃ派手に生きてる、ケビン・デュラントみたいな気分さ
寝るときにだって、高級時計を2つ身に着けてる

*「Ball」は派手に生きるという意味で、さらにバスケットボールと絡めて、NBA選手のケビン・デュラントに繋げています。「Ball(派手に生きる)、まるで<NBA選手の名前>みたいに」というのは、ラッパーが頻繁に使う表現です。

*「bust down」は高級時計を指すそうです。なお、こちらの写真では2つどころではありません。

2バース目(Lil Wayne)

I'm me, I'm me
So who you? You not me... urp
Everybody wanna be like Tune
Grow up to be like Tune, throw up the B like Tune

【意訳】
俺は俺、俺は俺
それでお前は誰?お前は俺じゃない
みんなリル・ウェインみたいになりたがる
リル・ウェインみたいに育ちたがる
リル・ウェインみたいにブラッズをレペゼンしたがる

*「Tune」というのは、リル・ウェイン自身のことです。リル・ウェインのおばあちゃんが、まだ幼い頃のリル・ウェインを「Lil Tune」と呼んでいたことに由来しています。

*「ブラッズ」はアメリカのカラーギャングです。リル・ウェインは、衣装に積極的に赤を取り入れて、ブラッズギャングをレペゼンしてきました。

No one can be like Tune, know why? 'Cause he tycoon
And if the shoe fits, wear it, I can't if these not new
Lil' nigga, please, y'all my mini-mes
But the kid is not my son, shout out Billie Jean

【意訳】
誰もリル・ウェインにはなれないのさ
何故かって?彼は巨頭だからさ
もしも靴のサイズが合っていたら履く、だけど新作じゃなきゃ履けない
リル・ナンチャラ、頼むぜ、お前らはみんな小さな俺なのさ
だけど、このガキどもは俺の子どもじゃねえ、ビリー・ジーンにシャウトアウトするぜ

*リル・ウェインを表面的に真似をすることは出来ても、リル・ウェインのような輝かしい実績を手に入れることは非常に困難です。リル・ウェインがリリースした全てのアルバムは最低でもゴールドディスク認定されており、『Tha Carter Ⅲ』はトリプル・プラチナムディスク認定のうえ、グラミー賞を受賞しています。また、リル・ウェインは過去に合計161曲をビルボードのトップ100にランクインさせています。ビジネス面でもファッションブランドなどを立ち上げ、純資産は120億円を超えています。

*ビリー・ジーンは、マイケル・ジャクソンの曲です。マイケルの恋人であり、マイケルの子どもを産んだと一方的に主張する女性について歌われています。ここは前のラインの「このガキどもは俺の子どもじゃねえ」から繋がっているわけですね。

You followin' my lead, my chopper isn't clean
And Lil Pump, he got the pump, I got the M-16
My pockets stuffy, they gon' need some antihistamine
Niggas always bit the stee, the bitches never bit the D

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