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独自路線を突き進むKid Cudiのカッコよさを感じる。(Kid Cudi - "Surfin'" feat. Pharrell Williams)

今回は、Kid Cudiの"Surfin'"です。

この曲は、2016年に発売された『Passion, Pain & Demon Slayin'』という19曲入りのアルバムに収録されています。

以下がPV。

Kid Cudiはオハイオ州はクリーブランドの出身です。

エレクトロニカのサウンドをヒップホップに導入し、独特の浮遊感がある、魅力的な音楽をつくるアーティストです。

20歳でニューヨークに引っ越すと、ミックステープを製作・発表し、カニエ・ウエストに注目されます。カニエ・ウエストの楽曲などにも頻繁に参加していますが、そのカニエ・ウエストのレーベルであるG.O.O.D. Musicから2009年にデビューしました。

1stアルバムおよび2ndアルバムは、推定で全米50万枚以上を売り上げ、ゴールドディスク認定されています。しかし、その後には自殺願望に苛まれるなど、リリースは続けていますが、活動は必ずしも万全とは言えない状況ではないかと思われます。

ドレイクにも時代が終わったアーティストだとディスされたこともあります。

1節目ではCudiの出世作でDrakeも影響を受けた『Man On The Moon』を引き合いにだし、「お前はかつて月の上にいたが、今やもうお前の時代は終わってしまった」と、冒頭から痛烈だ。

しかし、この曲はポジティブなバイブスが溢れていて、曲調もオリジナルで、Kid Cudiの魅力が詰まっています。

イントロ

It's a revolution
Hmm, yea, hmm, yea
Hmm, yea, yea, yea, yea

【意訳】
これは革命だ

サビ

Now, I ain't riding no waves
Too busy making my own waves, baby
I ain't riding no waves
Too busy making my own waves, baby
I ain't riding no waves
Too busy making my own waves, baby
I ain't riding no waves
Too busy making my own waves, baby

【意訳】
俺は流行の波になんて乗らない
自分で流行の波をつくるのに忙しすぎるから
俺は流行の波になんて乗らない
自分で流行の波をつくるのに忙しすぎるから

Kid Cudiは、東海岸とも西海岸ともサウスともトラップとも違う、他にはない方向性のヒップホップ音楽をつくっているアーティストです。その姿勢がポジティブに分かりやすく歌われています。

Surfin' on my own wave, baby
Surfin' on my own wave, baby
Surfin' on my own wave, baby
Surfin' on my own wave

【意訳】
自分で作った波でサーフィンするぜ、ベイビー
自分で作った波でサーフィンするぜ、ベイビー
自分で作った波でサーフィンするぜ、ベイビー
自分で作った波でサーフィンするぜ、ベイビー

まるでメインストリームの音楽をやってる全員と、俺との闘いって感じだ。俺はそれをものすごく気に入っている。

これはKid Cudiの過去のツイートですが、主張は一貫しています。

1バース目(Kid Cudi)

Tonight is electrical
I done told y'all, this the cinema
I am on my Kubrick horn
Like a Spielberg Close Encounter form

【意訳】
今夜は電気的
みんなにはもう伝えた通りさ、これは映画だ
スタンリー・キューブリックのホーンを持って
スピルバーグの「未知との遭遇」みたいに

キューブリックとスピルバーグはどちらも映画監督です。キューブリックは、『2001年宇宙の旅』などを製作しました。スピルバーグは、書くまでもないですが、『ジョーズ』、『未知との遭遇』、『E.T.』、『ジュラシックパーク』などを製作した名監督です。Kid Cudiは、これらの名監督と自分を比較しています。

Feelin' awesome to be black
And I'm murkin' all competition
Makin' what I want and that's a flex
Can't do what you want, now ain't that a bitch?

【意訳】
黒人でいることを最高だと思ってる
競合を霞に包む
俺が作りたいものをつくる、それがフレックスさ
自分のしたいことができないなんて、それは糞だろ?

Kid Cudiは鬱病に苦労した時期もあったアーティストですが、この曲はポジティブなバイブスが溢れています。

ヒップホップでは人種問題が取り上げられることが多いですが、「黒人であることを最高だと思っている」というのは、短くて非常に力強いフレーズに感じられます。

また、流行に追われて、自分のつくりたいものではない曲をつくるのは本意ではないことが表明されています。

Slow up for no one when the show come
Magical feel in my palms
Rhythm go dumb with them hums
Mhmm, mhmm, mhmm

【意訳】
舞台で演じるときには、誰のためにも止まったりしない
手のひらには魔法の力を感じる
俺のハミングで、リズムすらバカになる

2バース目(Kid Cudi)

The industry is so full of shit
Welcome y'all to the enema
Nah, man, no subliminal
Cause they insecure, they know who they are

【意訳】
この業界は糞みたいなことばかり、浣腸へようこそ
潜在意識なんかじゃないぜ、あいつらは不安定なのさ
自分が何者なのかは分かってるはずだ

ここでは、ちょっとした言葉遊びがされています。

業界には「糞」みたいな曲ばかりが溢れていると歌っています。その「糞」だらけの状態を「浣腸があった」状況に例えているのです。

また、そうした曲をつくっているアーティストが意識的にメインストリームに寄せていることを批判しています。不安感から、メインストリームに寄せた楽曲をつくってしまうのです。

Feelin' awesome to be black
And I'm murkin' all competition
Everything that I do is a flex
If you don't get me, not my issue, bitch

【意訳】
黒人でいることを最高だと思ってる
競合を霞に包む
俺が作りたいものをつくる、それがフレックスさ
自分のしたいことができないなんて、それは糞だろ?

(1バース目と同じため省略)

Slow up for no one, the shogun
Got the magic in my palms
Rhythm go dumb with them hums
Mhmm, mhmm, mhmm

【意訳】
舞台で演じるときには、誰のためにも止まったりしない
手のひらには魔法の力を感じる
俺のハミングで、リズムすらバカになる

(1バース目と同じため省略)

まとめ

今回は少し短いですが、Kid Cudiの曲を紹介しました。

この楽曲は、Kid Cudiの中でも、ポップで聞きやすい曲に仕上がっています。歌詞の内容も、ポジティブで前向きな内容になっており、お気に入りの一曲です。

Kid Cudiは、カニエのレーベルを離れたり、うつに苦しんだりと、音楽活動以外のところで苦労を重ねてきたアーティストですが、また次のアルバムをぜひ聞かせてほしいですね!

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